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花の魔女

幾千年の昔、真顔の少年がいました。

少年はどんなことをされても表情を変えません。

そのせいで、町の子供達からからかわれたり、いじめられたりしました。

そんな時でも少年は絶やさず真顔なのです。


しかし実は少年は過去に、花の魔女によって表情を奪われていました。

今の今までずっと無表情の下では泣いていたのです。

しかし誰にも気づいてはもらえませんでした。


町の子供達は今日も少年をいじめます。

無垢な彼らには罪悪感などありません。




目に映るものだけで判断しないようにしよう。

君には立派な耳がついているじゃないか。

よく耳を澄ましてごらん。

聞こえるだろう?

助けてって


馬鹿と鋏は使いようである。

君が他人を傷つける為に振り上げた拳。

ああ。ちょうど愛しのあの子の頭の高さだ。

撫でたらどれほど喜ぶことだろう。

君が他人を傷つける為に開けた口。

ああ。その口から漏れる空気の震えが。

ほんのちょっと違ったら。

運命が変わったというのに。








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