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tomekantyou1
花の魔女
幾千年の昔、真顔の少年がいました。
少年はどんなことをされても表情を変えません。
そのせいで、町の子供達からからかわれたり、いじめられたりしました。
そんな時でも少年は絶やさず真顔なのです。
しかし実は少年は過去に、花の魔女によって表情を奪われていました。
今の今までずっと無表情の下では泣いていたのです。
しかし誰にも気づいてはもらえませんでした。
町の子供達は今日も少年をいじめます。
無垢な彼らには罪悪感などありません。
目に映るものだけで判断しないようにしよう。
君には立派な耳がついているじゃないか。
よく耳を澄ましてごらん。
聞こえるだろう?
助けてって
馬鹿と鋏は使いようである。
君が他人を傷つける為に振り上げた拳。
ああ。ちょうど愛しのあの子の頭の高さだ。
撫でたらどれほど喜ぶことだろう。
君が他人を傷つける為に開けた口。
ああ。その口から漏れる空気の震えが。
ほんのちょっと違ったら。
運命が変わったというのに。
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