髪の長いお姫様
幾千年の昔、世界一髪の長いお姫様がいました。
お姫様は自分の髪が大好きで、四六時中髪をくしでといていました。
そして髪がとても長いので、移動するのも一苦労で、毎晩毎晩、城の家政婦さんたちは世界一長いお姫様の髪の毛を100人がかりで洗い、100人がかりで乾かしていました。
「そこのあなた。くしの流し方がちがうわ。それじゃあ私の美しい髪がいたんじゃう」
「ちょっとあなた、そこの髪が絡んでいるじゃないの。私の髪に癖がついたらどうするつもり?」
お姫様は自分の髪が好きすぎるあまり家政婦さんに強く当たってしまい、周りの人たちからねたまれていました。
とある日、お姫様はピクニックに行きたいといったので、100人の家政婦さんたちは、お姫様の長い髪が地面についてしまわないように持ち上げて、山までついていきました。
頂上につくと、お姫様は言いました。
「少しの間一人にしてちょうだい。この自然に囲まれた空間でおいしい空気を堪能したいの」
家政婦さんたちは言われた通りその場から離れました。
そして爽やかな風の中でお姫様は眠ってしまいました。
すると木の陰からお腹をすかした森のヤギさんが現れ、お姫様の髪の毛をパクパクと食べ始めました。
自分の髪の毛を食べられていることに気づかずスヤスヤと眠っているお姫様を、100人の家政婦さんはいつも意地悪されている腹いせで、起こすことなく知らんふりしていました。
しばらくしてお姫様が目を覚ますと自分の髪の毛がないことに気づき発狂してしまいました。
その後お姫様は部屋に籠りっきりになってしまい、いつも髪の世話をしていた家政婦さんたちは仕事がなくなってしまったので城から追い出され、町の仕事の賃金のあまりの安さに発狂してしまい塗炭の苦しみを味わいました。
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