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絶望の吊り橋

幾千年の昔、絶望の吊り橋という橋がありました。

この橋はどれだけ進もうとも終わりは現れません。無限に橋が続いています。

とある日、この絶望の吊り橋がどこにつながっているのかを調べようと、ある国が大人数の調査隊を編成し派遣しました。

彼らはこの調査が数年規模になると思っていたので、大量の食糧などを準備して橋に挑みました。

がしかし、三年、四年、五年、六年と歩き続けても終わりが現れる気配が一切ありませんでした。

次第に食料が尽き餓死するものも現れ始めました。

そうしていくうちについに最後の一人になってしまいましたが、その者は諦めることなく空腹に耐えながら歩き続けました。

しかし数日後、足に一切の力が入らなくなり衰弱しきって一ミリも動けなくなりました。

その時です。動けず意識朦朧とする最後の一人の目の前に、終わりが現れたのです。

「やった。やっと終わりを見つけた。」

最後の一人は喜びました。しかし体が動かないのです。

目の前にたくさんの犠牲を出しながら人生をかけて探し求めたものがあるのに体が一切動かないのです。

最後の一人は絶望し、悔し涙を流しながら終わりの一歩手前で死んでしまいました。


この橋に入った者は皆絶望しながら死んでいくことから名付けられた絶望の吊り橋ですが、一体誰が名付けたんでしょうか。




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