私が追い求めたい正しさとは?マンガの日英翻訳について
成冨ミヲリさんのマンガの日英翻訳に関わり始めて、約4か月。やっと私もミヲリさんのマンガについて、そしてKaduとNamについて、理解が進んできたように感じます。今回は、私がベストな翻訳を目指す際に、「正しさ」についてこだわる理由について書いてみたいと思います。
以前、you の代わりに they にすると、Kaduの性格が意地悪になってしまうという記事を書きました。ネイティブの人の中には、このような違いを気にしない人もいると思います。でも、私は細かいところもこだわって、できる限り正確に伝わる英語にするように心がけています。
「ミヲリさんのマンガを英語できちんと伝えるため」
母国語が日本語でない人が読む場合、絵だけでも楽しめると思いますが、ストーリーやメッセージを受け取ることは難しいと思います。英語のコミュニケーションの背景や、言語のもつ性質も理解した上で、「きちんと伝わる英語翻訳」を目指しています。
英語が文法的に正しいのは当たり前ですが、ニュアンスが合っているか、英語ネイティブが読んで違和感のない英語になっているか、より良い表現やセリフはないか、と何日もかけて考えます。また、マンガ翻訳では、絵から得られる情報や、コマによる話の流れがあるため、他にもたくさん考えることがあります。例えば、英語のセリフが説明口調になりすぎていないか?冗長になっていないか?二人(匹?)のやり取りは自然か?流れはスムーズか?など、挙げていけばキリがないほど、考えるべきことがあります。
英語だけ読んだ時でも、
①日本語とは異なったニュアンスのセリフにならないように
②キャラクターが本当に言いそうなセリフを
③読みやすく、正確に
④過不足なく、流れ良く
これが私が追い求めたいと考えている翻訳における「正しさ」です。マンガにおける日英翻訳においては、おそらく、これしか許されないといった「唯一の正解」は存在しないのではないかと思っています。100人で訳したら、100通りまではいかないけれど、おそらく50〜70通りくらいはアイディアが出そうな気がします。(数字は勘で書いています。)
以前も一度記事にしており、今回述べたことも至極当たり前のことですが、今一度宣言したくなりました。
次は翻訳のbackstageの記事で、翻訳する際の私なりの手順について書いてみたいと考えています。
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