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既存擁壁の話 その2

擁壁の上に計画する場合でのお話です。

安全なのか?そうでないのかは既存擁壁の状態で異なります。
これから土地を買おうと思っている方にも参考になればと思います。

古い分譲地になると結構多いのが、
間知擁壁の上のコンクリートブロック土留めの2段擁壁です。

このような擁壁はどのように考えれば良いのか?

①擁壁全体で開発行為、宅造法、工作物などの検査済証が取れているか?

検査済がある場合は適法な擁壁なので、そのまま使えることが基本です。
(注意して欲しいのですが、検査済があること=今後永続的に安全と言う事ではありません。擁壁に亀裂やはらみなどがあった場合は専門家に相談してください。
また、いまだかつて間知擁壁上のコンクリートブロックまで検査済が取れていたことはありません)

②間知擁壁にしか検査済が無い場合、擁壁全体の高さはどのくらいか?確認します。
 今回のイラストで言うと、間知擁壁+コンクリートブロックの高さです。
 道路が坂道になっている時は一番高いところで測ってください。

高さ2mを超えるかどうかが1つの基準です。

2mを超えている場合は、建築基準法の工作物に該当します。
工作物に2段擁壁はありませんので、是正する対象となります。

是正の方法は大きく2つ
2段擁壁の解消
新設擁壁の設置
です。

2段擁壁の解消は、
上段の土留め(今回はコンクリートブロック)に接している土を法面に除却して、土圧がかからないようにします。
法面の角度は30°です。
このようにする事で、検査済のある間知擁壁は当時と同じ適法な状態にあるため、通常通り設計を進められます。

新設擁壁の設置は、
絵の通り、新しく安全な擁壁に造り替えます。
その際に2mを超える擁壁の場合は、
工作物申請が必要になります。
計画によっては、宅造法の許可が必要な場合もあります。

③高さが2m以下の場合は、設計者が既存擁壁の安全性を確認した上で、
 安息角の検討により深基礎もしくは鋼管杭にて計画をする事となります。

深基礎や鋼管杭にする事で、建物の重さを擁壁にかかり難くすることになるため、安全性を確保した計画となります。

しかし、一般的には間知擁壁の上のコンクリートブロックは基礎が無いことが多く、間知擁壁の天端に乗っているだけの時もあります。
目隠しフェンスなど風圧がかかる場合や人が良く通るところなどの場合は、安全性を考慮したいものです。

土地を見る際に高低差がある場合はご注意ください。

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