遊んで叱られた話

私には小学生の頃エッちゃんという友達がいました。

彼女はとても大人しくて、あまり話さない子でした。

その子とお人形遊びをよくやりました。

その時に、「あっ！！ダメだよ！」とエッちゃんに言われました。

「何?どうしたの？？」と聞くと…

リカちゃんをお布団に寝かせると…

「そっちは北枕だよ！！」

と、言われるたのです。

「キタマクラ？？？」

私は聞き馴染みのい言葉に「クエスチョンマーク」で頭がいっぱい。

「そっちの方向に寝かせるのは、死んだ人だけだよ」

と説明をしてくれるのです。

「死んだ人が寝る方角」だと言うのです。

そんなの全く知らなかった私は、本当に驚きました。

そんな事は家族の誰からも聞いたことが無かったから、「うちの家族は知らないのだ！」と思いました。

そもそも、方角なんてどっちがどっちかなんて分かってもいませんでした。

ボケっとして生きてる子供だったのです。

そして、家族の誰もそんな話をする事が無いのです。

「うちは北枕で寝てないのだろうか?」と疑問に思いました。

帰宅後、母に聞きました。

「北枕って知ってる?今日エッちゃんにリカちゃんを北枕に寝かせたと叱られた」と言うと…

「知ってるけど…」と母はアッサリ言う。

「へ？そんな程度？」と思いましたが、家族の誰もがそんな程度。

エッちゃんの家族は北枕に対してあんなに「北枕はダメだよ！」と子供にもしっかり厳しく躾けてるのに、うちの家族は何故こんなにとぼけてるのだろ？

子供ながらに疑問でした。

母が「でもさ…北枕って体に良いって言うよ。寝やすくなるんだって。」と、エッちゃんがすごい勢いでリカちゃんの北枕を阻止したのに…母は「北枕健康説」を推してる。

この事で私は、エッちゃんの北枕は駄目説をスッカリ軽んじてしまった。

だから、エッちゃんとのお人形遊びの時は北枕にしてしまい、毎回叱られた。

「それにしても、何も見ないで方角が分かるなんて凄いな」と尊敬した。

エッちゃんはおとなしい子だったけど、きちんと北枕はダメだと厳しく言える子だったんだな。

私の家族は、躾に厳しいようでいて…

躾が厳しかったのでは無く、親の都合だったのだな…と思った。

だから、私は色々知らない事が多くて大人になって恥をかくことが多かった気がします。

エッちゃんと遊んでいて毎回叱られるボケた私でした。

北枕を軽んじて御免なさい…。

私は元気に長生きしてますからね😌