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【初心者/中級者さん向け】木を見る前に森も見ろ!海運株戦略のおまけ付き!

【はじめに】
 今回の記事は、木を見る前に森も見ろ!というテーマで話を進めていきます。こちらの記事は投資初心者/中級者さん向けの記事になります。ご了承ください。

 皆さんは個別銘柄をこれから買おうとするときに、何を判断材料にしていますか?
 例えば、直近の決算・増収増益をしているか・配当がどれくらいか・株主優待はなにか・何かニュースが出て急騰しているか・Twitterでトレンドに乗っているか・PER/PBRが割安か・テクニカル分析から・・・などなど投資家さんによって様々だと思います。

 私は個別銘柄(=木)を見る前に、株価指数などの大きな枠(=森)も一緒に見て、なるべくリスクを抑える戦略をとるようにしています。1つの見方としてご参考にしていただければ幸いです。

目次
1.         株価指数とは?
2.         今の金融政策を確認しよう
3.         連動性を知るためには?
4.         ベータ値を意識したリスクヘッジ戦略
5.         さいごに

【株価指数とは?】
 みなさんはニュースなどで、「今日の日経平均株価は○○円でTOPIXは○○です。」というワードは聞かれたことはありますでしょうか?
日本の主な株価指数は日経平均株価・TOPIX・マザーズが代表的な指数になります。それぞれの指数の特徴を見ていきましょう。

l  日経平均株価
「日経平均」は、日本経済新聞社が東証プライムに上場する企業の中から、業種等のバランスをとって選んだ、日本を代表する225社の平均株価です。「日経平均株価」や「日経225」と呼ばれています。

「日経平均が上がっていれば多くの企業の株価が値上りしている」、「日経平均が下がっていれば多くの企業の株価が値下りしている」という見方ができ、株式市場全体の大まかな値動きを把握することができます。

松井証券 「日経平均」ってなんですか? より参考

l  TOPIX
 TOPIX(東証株価指数)は、日本の株式市場を広範に網羅するとともに、投資対象としての機能性を有するマーケット・ベンチマークです。

 昭和43年(1968年)1月4日の時価総額を100として、その後の時価総額を指数化したものであり、日本経済の動向を示す代表的な経済指標として用いられるほか、ETFなどの金融商品のベンチマークとして利用されています。2023年3月現在では、約2,200銘柄ほどが構成銘柄となっており、日本株の大まかな流れを見ていくのに適しているといえます。

l  マザーズ
 「東証マザーズ」とは、東京証券取引所が運営している、ベンチャー企業(新興企業)向けの株式市場です。「マザーズ」と略して呼ばれることも多く、1999年11月に開設されました。
マザーズは東証一部や二部と比べて上場基準は緩く、審査基準も「成長性」が重視されます。そのため、経営者としては高い成長力があれば上場することができ、また投資家としては相対的により大きな株価の値上がり益が期待できるという特徴があります。

【今の金融政策を確認しよう】
 次に今の金融政策を確認しよう、というテーマで話を進めていきます。

 この図のように相場には4つステージがあり現在どこに位置しているかを知っておくのは非常に重要です。2020年から2021年までは金融相場~業績相場で、中央銀行が資金を流してくれたので、株価も上がりやすく買いっぱなしもアリな相場環境でした。

 しかし2022年からFRBがインフレを抑えるために利上げをしており、逆金融相場に突入したことで、買いっぱなしではなく上がったところで利益確定も必要な相場へと変化しています。

 業績も金融相場と打って変わって悪い内容が出るケースが増えてきますので、決算もまたがない方が無難だといえます。

【連動性を知るためには?】
 ここまで大まかに株価指数について紹介してきましたが、株価指数と個別銘柄がどれくらい連動しているか?を知るためにはどうしたら良いかについて話していきます。

 ところで「ベータ値」という言葉は聞かれたことはありますでしょうか?
ベータ値とは市場全体、株価指数に対する、各個別銘柄の株価の感応度を示しています。日経平均株価やTOPIXといった株価指数が1%動いたとき、個別銘柄が何%動くかを示したものです。

 

例えば日経平均株価を基準とした場合、ベータ値が1の銘柄は、日経平均株価が1%上昇すると1%上昇、日経平均株価が1%下落すれば1%下落というように、日経平均株価と同じ値動きをすることを表します。

 ベータ値が2の銘柄は、日経平均株価が1%変動するとその2倍の2%変動することを表し、ベータ値が0.5の銘柄は、日経平均株価が1%変動するとその半分の0.5%変動することを表します。

 なお、ベータ値がマイナスになる銘柄も時折あります。これは、日経平均株価が下落すると逆に上昇するといった、日経平均株価と逆相関の関係を有する銘柄です。

 こちらのベータ値ですが、日本経済新聞社のページからもランキング形式で見ることが出来ます。日経平均株価と個別銘柄がどれくらいの感応度があるか、過去3年分のデータから算出しています。

 こちらの「時価ウェイト平均33業種ベータ」を参考にすると、TOPIXと比較して1位が海運業で1.90、2位が鉱業で1.64、3位が鉄鋼で1.63、と続いており、株価指数よりも変動が大きい業種、小さい業種が丸わかりになります。(2023/03/02現在)

【ベータ値を意識したリスクヘッジ戦略】
 ここからはリスクヘッジ戦略へと話を移していきます。
このベータ値を利用することで、より安全性を高めた投資戦略も考えることが出来ます。
例えば、海運株を見ていきましょう。

 海運業は先に述べたように業種でみたベータ値はTOPIXと比較して1.90となっていますが、個別で見ると日本郵船が2.02、商船三井が2.01、川崎汽船が3.00となっております。(2023/03/02現在)
 つまりTOPIXが1%上昇すると、日本郵船、商船三井は2%ほど上昇、川崎汽船は3%ほど上昇していることになりますし、反対にTOPIXが1%下落した場合は、日本郵船、商船三井は2%ほど下落、川崎汽船は3%ほど下落している、と考えられるわけです。

最近の海運株の特徴は、3月上旬のタイミングでは、ボラティリティが上がりやすく、決算が3月末と9月末に控えているので、配当狙いの思惑が交錯し、値動きが大きくなりやすいです。そして配当落ちで底打ちし、そこから値上がりしていく傾向にあります。

9101 日本郵船


9104 商船三井

(黒矢印は底打ち、赤丸はその後の上昇を示しています。)

 こういうときにヘッジとして、TOPIXに2倍の逆連動するETFを海運株の運用資金と同額買っておくと、ヘッジになり得るのでは?という考え方ですね。

 あらかじめ配当落ちで下がるだろうと見越して、TOPIXに2倍の逆連動するETFを購入しておき、配当落ち後にTOPIX ETFは売却。そして海運株を配当落ち後の安値で買っていく方法も考えられます。
 このように指数との連動性を意識しながら、配当取りの難しい局面に対処するのも一つの手ではないでしょうか?

【さいごに】
 ここまで【初心者/中級者さん向け】木を見る前に森も見ろ!というテーマでお話ししてきましたがいかがでしたでしょうか?
 個別銘柄の見方や勝ち方は投資家さんによって様々だと思いますし、投資に絶対の勝ち方はありませんので、ベータ値をマスターしたからと言って、利益を上げ続けられるわけではありません。
 ただこういう見方もでき、投資におけるリスクを排除するために、何が出来るのかを考えることは、大切なことだと思っています。この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。

参考資料
松井証券 「日経平均」ってなんですか?
https://www.matsui.co.jp/stock/study/qa/qa_04.html

日本取引所グループ
https://www.jpx.co.jp/markets/indices/topix/index.html

ベータ値について
「ベータ値」ってなに?~ベータ値を銘柄選びに役立てよう
https://media.rakuten-sec.net/articles/-/2819

日本経済新聞社 β(ベータ)値高位ランキング
https://www.nikkei.com/markets/ranking/page/?bd=betahigh

マネリテ
分散投資をする上で重要な「ベータ値(β値)」とは?リスク軽減するための有用な指標活用方法をわかりやすく解説。
https://manelite.jp/beta/#i

時価ウェイト平均33業種ベータ
https://costofcapital.jp/beta/sectorbeta/g33mvbeta/

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