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【日記】 「難しいから選ぶ」

午前中は曇り空。
たまに太陽が顔を出すと、世界が一気に華やいで、心が弾み出す。
こんな時、太陽のありがたみを感じる。
でもできることなら、晴天続きの4日目あたりでも太陽に感謝できる人間になりたいと思う。
当たり前にこそ愛を。
日記をつける行為はその感覚を養うための訓練でもある。

仕事場で作業した後、
尊敬するライターの知人と久しぶりにお会いした。
デビュー作の報告をして、近況を語らう。
話の中で「今まで色々な創作活動をしてきて、小説がダントツで難しいです」と弱音がこぼれた。
すると彼は「遠未さんは『難しい』から小説という表現を選んだんですね」と納得する。
難しいから選ぶ……
理屈としては逆な気もするけれど、妙に腑に落ちた。

キャリアを積み重ね、できることが増えていくと、「できること」が進むべき理由にならず、むしろ「できないこと」「やったことのないこと」が登るべき山に見える瞬間があるのだ。
もちろんそれで1歩踏み出しても、「できない」からひたすら苦しい。失敗を重ね、選択を間違ったのでは、と何度も後悔する。
ただそんな時、未来の自分がそっと教えてくれる。
未来から過去を見たら、
この七転八倒する苦汁に満ちた日々こそが、
どんな成功の瞬間よりも、愛おしく思えるのだと。

そう考えると、今の苦しい日々を少しだけ肯定したくなった。
誰かと会って話すと、相手はもちろん、思いもよらない自分にも出会えるから面白い。

photo   遠未真幸

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