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肉片

自分よりも少しでも幸せそうにしている人をみるのが嫌だった。
少しでも自分が劣っていると感じると、相手をなんとかして
自分と同じ不幸な目にあわせてやりたいと思った。
だから、自分より幸せそうな奴を片っ端から殺していった。
最初の内は殺したらすっきりすると思って、殺していったけど
気づいたら、殺す事自体が気持ち良くなっていった。相手が
不幸か幸せかとかはどうでもよくなっていった。

その内、殺した相手の断片を持ち帰るようになった。
最初は髪の毛、次に小指、中指、ばらばらになった体をつぎはぎしていくと、ただの肉片のような化け物のようなものが出来上がった。
それを見ていると、なんだか胸がすっとして気持ち良かった。
肉片が肉片じゃなくなっていくような気がした。
でもそれは間違いだった。

肉片でなくても肉片の中に肉片があった事があった。
それですら、肉片の中に肉片がない事になっていたのだ。
私は肉片のひとつになった。
私は憎しみを失った。

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