5、不気味の谷「Bull & Gate 2231」
『Bull&Gate 2231』( 2231年の暑い夏ロンドンにて)
大きなフィードバックの洪水の中、ひときわ大きい高音が響いてきた。
地響きのような演奏が15分ほど続いて。ボクの耳は、限界にきていた。
やがて、長髪の青年がすくっとたちあがり、アンプに絡まってつながれているケーブルを
暴力的に引き抜くことで、突然演奏は終わった。
無音…
いやガサガサの残音が、いたるところで耳になっていた。
誰もが予想しなかったエンディングに呆気にとられ、拍手もまばらであった。