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【製品開発エピソード】No.1921S IWASAKI SOLO (イワサキ ソロ)

美しいピアニッシモを求めて
“IWASAKI SOLO” (イワサキ ソロ)

複音ハーモニカは文字通り、1つの音を2枚のリードを使って出します。
この2枚の音程(ピッチ)を僅かにずらすと複音独特の爽やかなトレモロ音色が生じます。
問題は、このリードのピッチをどの程度ずらすか?です。
ずらし方が多過ぎるとトレモロが多く荒い感じになり、少な過ぎると音量は小さく、複音らしい味が薄れてしまいます。
複音ハーモニカでは音色を決める整調作業は重要なのです。

市販されている一般的な複音ハーモニカは伝統的に日本人が好む音色に合わせています。(例:No.3121) 
いわゆるベースを入れて吹く一般的な生演奏に向いています。
一方、オクターブ奏法や分散和音奏法などを多用する上級者にはトレモロが少なめの方が向いていると思います。(例:No.1521や超特級)
この“トレモロ”という表現ですが、むしろ2枚のリードが作り出す“音色”と言った方が判りやすいと思います。

厚木の岩崎重昭先生は87歳で亡くなられましたが、日本のハーモニカ界に大きな業績を残された方です。
優れたお弟子さんを大勢育てましたが、先生自体が複音ハーモニカの名手でした。
その岩崎先生の奏でる美しい音色を “イワサキ・サウンド” と呼んでいました。

あるとき岩崎先生のお宅で複音ハーモニカの音色についてお話ししたことがあります。
先生は「現在はステージの音響設備が格段に良くなったので、大きな音で吹く必要はなくなった。特に私は複音ハーモニカの魅力は“ピアニッシモ”にあると思っている。どんな楽器よりも美しい。私はいつも自分の演奏の前にハーモニカの整調をしている。また私の弟子達に頼まれてハーモニカの整調をしてやっているが、トンボで作って貰えると有り難い」。 

そこで当社の整調者を岩崎宅に行かせて先生から直に整調の具合を教わりました。
宿題で何本か作っては岩崎宅に行き評価していただきながら誕生したのが上級者向けの複音ハーモニカ、“イワサキ・ソロ”です。

この機種の主な特徴は、トレモロを少なめにしてクラシカルな味わいを出す、特にピアニッシモに対応するため「アゲミ」(リードの反り)を少なくしてあることです。本体は柔らかい音色の木製です。
という訳で、このハーモニカは初心者には向いていません。
ある程度の演奏経験をした人ならば、なるほど!と、このハーモニカの味を判っていただけると思います。

No.1921S 超特級イワサキソロ 商品詳細ページ


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