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長く続ける秘訣は笑いと「酒」、その二

『たかがハーモニカ、されどハーモニカ 』
第5回 長く続いた秘訣は笑いと「酒」、その二

前回予告した笑いと「酒」について書きます。笑いはもちろん、酒は百薬の長と昔から持ち上げられる一方、よろずの病は酒よりこそ起これ、とも言われます。

江戸時代の本草学者、貝原益軒の『養生訓』にも「酒は天の美禄という言葉がある。少し飲めば陽気を補助し、血気をやわらげ、食気をめぐらし、愁いをとり去り、興をおこしてたいへん役にたつ。またたくさん飲むと酒ほど人を害するものはほかにない」(松田道雄訳)とあります。

最近では酒の飲み過ぎは癌のリスクを高め、認知症の危険因子になるなどともいわれ、どちらかといえば日陰者の趣きです。ただ適量の酒の効用はあるはずだ、と思うのです。若かったわれわれに「適量」への配慮があったかどうかは不問に付す他ありませんが、「酒」と笑いこそ四半世紀にわたってのメンバーの結束を促す一大要因であったのです。

一年は新年会で始まります。いまでこそ会場は居酒屋ですが、昔はわが店に一人一品と酒を持ち寄り集いました。

「この料理は誰が?」「これは美味い!絶品!」とワイワイ。いつもは静かで無口な誰かさんも料理には腕をふるってアピール。一旦ハーモニカを置けば、意外なご自慢があるんです。

春ともなればお花見。その実、花より団子。誰かが用意したシートに酒席を張って宴会の始まり! 夏になれば暑気払い。遠征旅行や合宿があれば宴会、また宴会! 一年の締めは忘年会! 全てにかこつけてお酒なのです。

私たちは日頃、週1回の練習を25年間ずっと続けてきました。そこには常に発表会やコンサート、あるいはコンテストへの出場という目標がありました。そして行事が無事終われば、自然と打ち上げ!

酒あるところに笑いあり、しかつめらしい練習では図れない互いのコミュニケーションや信頼関係が自ずから生まれます。まさにそれこそが長続きの秘訣だったのです。

(2020.4 ハーモニカライフ88号に掲載)


岡本吉生
-Profile-

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日本唯一のハーモニカ専門店「コアアートスクエア」の代表。教室を主宰するほか、1996年にはカルテット「The Who-hooo」を結成。全国各地に招かれて演奏活動を続ける。
コアアートスクエア(月曜定休)
〒243-0303 神奈川県愛甲郡愛川町中津3505
Tel:046-286-3520

●コアアートスクエア Webサイト
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