私的偏愛録 其の七 銀杏BOYZ『君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命』

「ジャケ買い」「タイトル買い」というものをするのは、きっとこのCDが最初で最後だろうと思う。

十代後半によく聴いていた銀杏BOYZは、社会人になってからはあまり聴かなくなってしまった。

「僕は君が本気で好きなだけ ソフトクリームを一緒に食べたいだけ」

なんて歌詞に魅力を感じたのは、青春の余韻に浸っていた学生だったからかもしれない。そんなことを考えながら、二十代のわたしは日々の仕事や人間関係に向き合うふりをして、目を逸らしながら暮らしていた。

ふとしたきっかけにお笑いにはまり、深夜ラジオを聴くようになった。そこで、わたしは銀杏BOYZに再会したのである。曲は色んな番組で流れていたし、ゲストとして峯田さんは芸人さんと他愛もない話をしたり、イベントに出て芸人さんに向けて歌ったりしていた。

それを聴いたり観たりして、わたしは思ったのだ。銀杏BOYZは青春の只中にいる人たちにだけ届くわけではないんだな、と。

青春を通り過ぎた人も、青春を置いてきてしまった人も、青春に目を背けてきた人も、青春を理解しないまま大人になった人も。

青春のはずれにいる人たちにも、時には優しく、時には残酷に。銀杏BOYZは、これからも私たちに青春をそっと教えてくれるのだ。



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