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なんたる糖度の高さ、これが乙女ゲームか…【ニルアド感想】


「ニル・アドミラリの天秤 帝都幻惑綺譚」のアプリをプレイしました。ネタバレ込みの感想です。途中まではネタバレ無し。

プレイ順は 翡翠→あきら→昌吾→紫鶴→累→隼人です。

ルートごとに話が独立してて、同じ世界線の話ではない、若干ズレる感じ。
もちろん一致するイベントもあるんだけど、悪役がしでかす内容が変わってくるし、同じ時間軸でこの人視点の話、ではなく、異なる世界線にいきます。
私はめいこい畑の人間なのでフォロワーに向けていうと、めいこいは同じ時間軸でこの人視点の話って感じだったので、そこらへんが大きく異なるかな…

第一印象では累をやりたいと思ってたら、最初はまさかの4人しかできなかった。
なのでこの4人なら翡翠かな〜、とビジュアルで選んだ。かわいい子に惹かれやすい。

ツグミの性格と合わないときついかもしれない。私はこの√のツグミは平気だけどこの√のツグミ無理だな…と感じることがちらほら。
オトメイト作品をプレイするのは初です。これまでにプレイしたことあるのはうたプリAS、めいこいシリーズくらいです。

世界観
大正ファンタジー。めいこい好きな人はたぶんこれの世界観も気に入る人多いと思う。
しかしドロドロしてるかな。なんかたまに昼ドラぽさ感じた。CERO Dはエロに振られてます。

※以下キャラ別の感想、ルートごとの重要なネタバレを含むものがあります。尾崎隼人のみ意図的にネタバレを避けました。
※ネタバレ完全回避したい方は最後にストーリーの感想があるのでそこまでスクロールしてください。気にならない人はどうぞ

【翡翠】

火を操れる男の子。彼のルート以外ではこの能力ほとんどフォーカスされない。芸者さんの子供だったのね。めちゃくちゃ笹乞さんのところに通うので、笹乞さんを救済してくれるルートでもあるんだけど、紫鶴さんのルートやったら笹乞の罪が重すぎてこの人は裁かれるべきだろ!となった。

最初にこの子でよかった。可愛い顔してちゃんと男の子です。プレイして思ったのがキャラクターの人物像が細かく描写されているな、と。
ソシャゲでかわいい男の子結構出るけど、ソシャゲはソシャゲだからここまで距離近くならないし、それゆえ細部は二次創作で補われちゃうからビジュ人気のこと多いじゃないですか。
彼はビジュに惹かれたものの、恋愛目線でかわいいキャラを見たことがなかったので新鮮だった。一種のギャップ萌え。可愛い顔して結構男らしいところある。肉食系というべきか。温室でいたすのはちょっとびっくりしたけど、ラブシーンは全体的にどれも好きだった。髪の毛触るの好きなの可愛い〜!
私はこういうの好き。プラトニックがよかった人は嫌かもしれない。でもCERODだからな…。可愛い感じの男の子と付き合うとこんな感じではある。本当に疑似恋愛。
あとしょうこさんが好きになるルートです。翡翠の母の友人なんだね。最初に翡翠をプレイしたので、しょうこさんが他のルートで登場しても安心感しかなかった。
醜いとか綺麗とか、そこらへんがキーワードなんかな。好きだからこそ誰のことも好きになってほしくない、汚れてほしくない、というので納得した。
恋愛しつつ、お話の終わり方も綺麗だった。綺麗なアウラもあるんだよ、ていうやつ、彼のルート以外でもあったらよかったんでは?と思いつつも、彼だけで十分な気もする。

【あきら】
漢字変換が見つからない。低音の岡本さん。岡本さんはめいこいの鏡花ちゃんのイメージが強かったけどこの岡本さんもいい。落ち着いた感じ。もっとはしたない女になれよ…っ!で笑っちまった。
岡本さん笑わんかったんか? 乙女ゲーム、そういうところだぞ。
先に言っておくと後述のルートでもたくさん笑ったところがあるんだけど、ネガティブな笑いじゃなくてポジティブな笑いです。ゲラゲラ笑いながらもニヤけてるイメージでお願いします。
刺さる人にはめちゃくちゃ刺さる胸糞バッドエンド持ちの人だと思っている。
推しキャラにまではならないけどこのルートも面白かったし、あきらというキャラも好き。
昼ドラっぽい雰囲気あるのに、月とか映画とか、印象に残る綺麗なシーンもある。夜のイメージが強い。バランスがすげえ。
彼をプレイしたことで、あれ?じゃあ隼人はなんなんだ?と疑問に思うことになった。この時点ではてっきり隼人が四木沼夫妻と何か関係があるのかと思っていた。翡翠のルートだったかでしょうこさんを見て誰かに似ているような…という文章もあったからね。いや、お前が四木沼喬との血縁者なんかーい!と。スパイやってたけど、他のルートで彼はスパイから解放されたのかな…。ナハティガル関連がさらっと流れるルートもあるから、どうなんだろう。 ナハティガルに深く関わるルートってあきら以外だと翡翠と累なんだけど、翡翠は結果的にナハティガルを燃やしちゃう、累はそもそもフクロウメンバーじゃないから情報があきらにまで渡ってないって感じだからそこらへんは気にしなくても良いのだろうか。


【昌吾】
鵜飼昌吾てめえ…!!!!ルート分岐前から、というか√プレイしてるときも腹が立つタイプなんだけど、その分デレがすごい。声優の演技で丸め込まれた感もある。木村良平さん。シュガシュガルーンのウー…。雰囲気全然違うや。ツンデレと一言で済ませてはいけない。
好きな人は本当に好きなタイプだと思う。彼は朝チュンスチルで肌色が多い。個人的には翡翠くらいにしてほしかったな。出てきたときかなりびっくりした。
私の好きなシーンは気絶かなんかして(全然覚えてない)泣きながらこうなったのも、こうなったのも、全部お前のせいだ!みたいなところです。あそこはね〜〜、グッとくる。めちゃくちゃ好き。その後の電気消すくだりがリアルで笑った。笑ってるけど嘲りとかじゃないよ。ここまで描写するのか、と。
この子なりに考えもあって、繊細さもありつつ、ただツンデレしてるわけじゃなくてよかった。天邪鬼な子ってなんでこんなに可愛いんだろうな。それにちゃんといいとこの坊ちゃんですね。ナハティガルでの振る舞い見てそれがよくわかった。
このルートは昌吾の事件を深掘りするのかと思ってたらまさかの雉子谷さんの裏切りでびっくり。あんまり深掘りしてた印象はない。うろ覚えなところもあるので深掘りしてたやんけ!ってなったら後で書き直します。
あと笹乞の救済もちゃんとある。
昌吾の事件自体はサラッとした感じだったし、ナハティガルがどうこうって感じじゃなかったな。一緒に料理してくれるの見ると、前時代的な子じゃなくて対等に付き合ってくれそうで良いな〜と思った。個人的に良妻賢母だったり、女としての役割みたいなのが求められるのが苦手なので…。

【紫鶴】
CV鈴村さんか…!!うたプリのイメージがつよいんだけど鈴村さんボイスのキャラはほぼ初めてプレイするようなもんでした。
女好き、チャラい人枠。と思ったけどチャラいけど実は◯◯系、ではない気がする。よくあるよね、女好きが実は女恐怖症とか女嫌いとか、ああいうギャップ萌えキャラではないなーと。
最初から飄々とした感じで口説いてくるのでCERODでもぎょっとしない。意外と紳士的。
な ん だ け ど
この人目隠しするんですよ、目隠ししてお菓子をたべるくだりのスチルがちょっとあの…いけないものを見せられてるような…笑
下品な表現になるけどAVとかエロ漫画みたいなものを想起しちゃったな…AV見たことないから想像だけど…。
ストーリーがなかなかに面白い。笹乞はいくつ罪を重ねるんだ…笑 紛い物の稀モノ作るわ、売るわ、先生殺害するわ、パクるわ…。その理由や笹乞の気持ちも明らかになるからこのルートで笹乞に関わることが全部回収された。翡翠ルートや昌吾ルートでは笹乞が救済されてたけど、肝心なところは掴めてなかったんですよね。笹乞が最近は低迷してる話とか、偽物の稀モノ作成に協力してる理由とか。
終わったと思ったら終わらない。人形そういや回収されてないな、とは思ってたけど最後の最後で出てきた。人形刺してるスチル、美しくて好き。笹乞が片付いたと思ったら紫鶴さんも闇を抱えていたんだよ、と…。
目隠しスチルにギョッとしたけど、綺麗な印象も残っているルート。
本の話だからなのか紫鶴さんに限らず文学みたいな美しさ、上品さがある。ただ独特な言い回しもあるから合わない人もいるかも。

【累】
なぜ彼が最初に気になったかと言うと、私の今まで好きになったキャラの見た目に謎の共通点があって、みんな髪型が似てるんですよね。
みんな髪の毛が横にはねてるんです、何故か。鷺澤累の髪型も横にはねてたので気になっていたわけです。
一言で言えば好き。翡翠と同じようにどこか儚さのあるキャラ。だけど櫻井孝宏さんのボイスに慣れてなくてのめりこめなかった部分がある。おそまつのイメージが強くて…。それ考慮しても好きなんだけど、カグツチの人間で、途中からアパートから離れちゃうから邪道な感じがして複雑な気持ちになる。最後の終わり方も、え!?そこで切り替わるんか!?と私がタップ早かったのか急な感じがしたのでストーリー的には複雑な気持ちがあります。好きなんだけどね〜!!!
お風呂の人扱いされているらしい。他の人の感想見たらそんな感じだった。公式の2016年ごろの人気投票でのコメントも入浴剤について言ってたので公式的にもお風呂担当っぽい。
この人が一番糖度高かった気がする。隼人も糖度高いんだけど、あちらは正統派というか…。表現は下品になるけどこの人が一番エロかった気がする、すみません。エロいというかスケベ。
彼のルートは全部が好きというよりは部分的にめちゃくちゃ好きな要素が盛り込まれていると言った方が正しいかも。
あとは彼は一目惚れ設定なのがずるいです。というか私は乙女ゲームでの一目惚れって最強だと思っています。
なぜかというと、恋に落ちる過程を描くのって結構難しいと思っているからです。リアルの恋愛もわりと突拍子もなく始まったりするし、好きになったきっかけ、みたいなエピソードとかあんまりない。他の人はわからないけど、私は会話の波長が合うから、とか、この人好きかもしれない、とかそんなレベルで好きになる(=半分自己暗示みたいな時もある)から、箱入り娘で男性に耐性のないツグミなんかすぐ好きになっちゃうと思うんです。恋に落ちる過程って論理的に表現するの難しいから、乙女ゲームでの最大の壁とも思っています。だから一目惚れの累はそこの壁が最初からないし、なんならプレイヤーからしたら自分はまだそんな好きじゃないけどイケメンが口説いてくる、という体験ができるから楽しい…。
そして累はめちゃくちゃグイグイくるので照れる。
頸動脈の下りは笑ったし、ツグミがはぐらかそうとして「カステラたべたり、お風呂とか」と言ったら「じゃあ一緒に入ろうね」と言われていきなり風呂に入ってるシーンに切り替わったときも爆笑した。散歩とかカステラ食べるシーンいれてもいいのでは…!笑笑
そりゃあお風呂要員と言われても仕方ない。ツグミが恥ずかしいと言ってたけど見てるこっちも恥ずかしい。いきなりすぎて笑った。櫻井さんこれ笑わなかったんか?笑笑
でもここのお風呂入る直前の会話、好きです。
ハッピーエンドのタイトルも好きだし、中身も好き。あと彼は唯一アパートの人じゃなくて、同棲する前まで会えない時があるので他のルートとは一味違うかもしれない。


ストーリーについては君がしょうこさん関係者だったのか…!!!!とびっくりした。
本気で気付いてなかった。言われてみれば立ち絵の顔めちゃくちゃ似てるし、さといさんのキャラデザの中でもあんまり見ない顔立ちだったので納得。髪の色も一緒だし、私どんだけ鈍チンなんだろうな…。尾崎隼人が敵と関係あると思い込んでたので気づかなかったし、ここでますます尾崎隼人がなぜメインヒーローなのか気になった。

四木沼喬の少し歪なしょうこさんへの愛が垣間見えるルートでもある。このルートで四木沼の印象が少し変わったし、しょうこさんにも幸せになってほしいなと思った。累と顔合わせできてよかった。
百舌山関係が累のルートで完全に回収されました。となると、尾崎隼人のルートはそもそもの発端、ヒタキ(弟)関連なんかなぁ、と思い始める。

【隼人】
お前がメインヒーローだ。間違いない。ハッピーエンドに入って、まだ嘘ついてることがあると言われてもピンとこず、その次の言葉でアアアアア!?と騒いでしまった。そういうことか。
もう結ばれる運命じゃん、それは。これは全部書いちゃうと野暮なので、ネタバレ感想見てやった気にならずにちゃんとやってほしい。
この人も一目惚れ設定があるので何が来ようとも受け入れられる。そんな前から好きだったんだね…。朝チュンのときの会話がめちゃくちゃ好き。朝チュンのスチル肌色多くてびっくりしたけど、そこで口説くんじゃなくて普通の会話するのめちゃくちゃ良い。好き。このシーンは何度でも見たい。一番満ち足りた睡眠だった、でも今日の太陽は一番嫌い、みたいなセリフ好きだったな〜!!!詩的な表現なんだけど自然と頭に入ってきた。粋なこと言うわね、あなた。
ツグミが好きって言うまで我慢する、えらい。彼は正統派なんですよ…!! 少女漫画的恋愛を繰り広げてくれる。ア〜!好き。
紫鶴先生以外で唯一ヒタキに認められる(?)男。
このルートでいきなり隠さんがたくさん出てくるので隠しルートが何なのか察してしまう。全ての発端であるヒタキの事件とたびたび登場していた朱鷺宮さんの旦那さんの事件が回収される。さりげなく百舌山が死ぬからナハティガル関係も芋づるで解決してたっぽい。隼人のルートは最後にやらなきゃダメだね、そりゃ制限つくわ。あと普通にかっこいいんですよ、彼は。分岐前から思わせぶりな発言をサラッと言うから気になってしまう。このルートやったことで理由も判明したけど。


比翼の鳥の話もここで回収されてすっきりする。隼人に限らず、どのルートもたしかに1人では飛べない、1人だと成長ができない、そんなルートだったかも。隼人の場合はお互いが1人では飛べないというよりは運命のような巡り合わせで、隼人に支えられながらツグミが成長して一緒に飛んでいくような印象だった。他は2人で成長して飛んでいくって感じだったかな。

【ストーリー全体の感想】

比翼の鳥と稀モノと呼ばれる和綴本を軸に展開していくストーリー。隼人のルートで比翼の鳥が回収されるけど、どのルートもたしかに比翼の鳥という題材だった。
比翼の鳥については隼人のルートが異質。飛び抜けている。運命的な巡り合わせで、その引き寄せによってツグミが成長して鳥籠の外に羽ばたいていく。かといって他の人のルートで比翼の鳥が意識されてないかと言えばそうでもなくて、バッドエンドを見るとツグミが新たな他の鳥籠に捕らえられてしまったり、どちらかが片翼を失って壊れてしまう印象だった。

そして稀モノですね、最後の隠しルートやってて思ったのが、稀モノの影響を受けて危ない目に遭ってしまうというのが隼人ルートまでの印象だったのが、本に込められた思いが人を動かしてしまう、というような表現を見てこういうことって普通にあるよなぁ、と印象が変わりました。
何かの作品を見て感激して何か行動を起こすことだってあると思うんだよね。本を読んで自殺することなんてないから、ファンタジーとして成立してるんだけど、本に込められた思いが人を感動させることって普通のことじゃないですか。なんかその点でも稀モノなんて仰々しい名前ついてるけど、私たちの日常との接点を感じて面白かったです。

最後にましこさんの手記を読んだんですけど、まるですべてのルートを見たかのような手記の内容だったので、彼はメタ的な存在なのかも。こっち寄りの人間でしたね。どのルートでも回収されない物語があるのに全部知ってたからね。一つのルートで何もかもが回収されるわけじゃないから、全員に幸せになってほしい人間としては少し物足りなさもあるんだけど、全体的にはどのルートも面白かったし、プレイヤー目線で言えばすべての繋がりが見えて良かったと思う。
ドロドロした昼ドラや暗すぎる物語にならずに、どこか儚さや綺麗な印象もあるのはシナリオで随所に見られる文学っぽい表現や、特徴的なアイテムの存在(翡翠の石、ステンドグラス、金魚、万華鏡等)があったからなのかな〜と。オープニングの雰囲気や、さといさんの絵も世界観の儚さや美しさに拍車をかけててよかったと思います。
まだやってないけど気になってるよ〜って人もネタバレで満足せずにプレイしてみてほしいな。感じ方は人それぞれで、似ているものがあってもこれは私が感じたことだから、きっと読んでる人にしか感じられないこともあると思う。

なんの予備知識もないままにプレイする乙女ゲーム、楽しかったです。また他の作品もプレイしたい。



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