STREET FIGHTER 6と約7か月かけて和解した話、自分のふるまいの話
はじめに
スト6のことをボロカスにネガっている描写があります。
今はそんなことないですが、自分の過去の過ちとして記しています。
そういうのが苦手な方は注意してください。
なぜ始めたのか
いわゆる格ゲーには全く触れてこなかった人間です。そういう環境にいなかったのもあり、その手の話題に触れる機会自体全くありませんでした。
そんな自分でも「STREET FIGHTER 6」の流行り具合は感じていました。
最も大きいのはやはりモダン操作の存在でしょう。→↓↘を入力しなくても昇龍拳が出せる。
自分が初めてスト6をしっかり見たのはJAWS PLAYERS #03です。そこではモダン操作で高度な戦いを繰り広げるプレイヤーのガチ対戦を見ることができました。
また、自分がいるMisskeyのインスタンス「ゲームすきー」でもかなり流行っておりました。ゲームが好きなざりがに人が集まるインスタンスですからね、当然と言えば当然。
そんな風にやってないゲームを受動喫煙すると、自分にもできる気がしてきてしまうんですよね。(モダン操作の存在を知っていたのもありますが)
自分のゲーム遍歴を振り返ると、(通常プレイに限れば)高い技術を要さないゲームが多いんですよね。
そんな自分が格ゲーなんてできるのか?
DEMO版が無料でできたのでやってみました。
まずチュートリアルのある一か所がムズイ。モダン操作なのにムズイ。
出来なかったのはキャンセルドライブラッシュですが、DEMO版はバージョンが古くて、キャンセルできるタイミングでパリィボタンを押す方法が実装されていないという情報を得ました。
操作はともかく使い方がよくわからなかったこともあり、「これはできなくてもいーや」と思いCPUと気ままに遊んでみました。
やってみると、アシストコンボのお陰で思いのほか戦える(戦えてる気になれる)。
いけちゃうんじゃない?
かくして、全く手を出したことのない格ゲーを購入しました。2024年の初めのことです。
気持ちが折れるまで
「初心者はワールドツアーをやるといい」ということはどこかで聞いたので、とりあえずワールドツアーを進めることにしました。
ゲームのシステムを学びながら進められる、ストーリーもちょっと気になる。
そんな感じで進めていたのですが、徐々にレベル上げが面倒に感じてきました。
ストーリーも進捗がなくなってきて、なんかつまんない。
そんな風に思うようになった自分は、あろうことかランクマッチをやり始めてしまいました。
はい。対人戦です。なんなら本番と言ってもいいモードです。
この男、まだワールドツアーが終わっていません。でも結構進められてる(後半のほうまで)し、進捗がないんだからしょうがない。ろくにコンボ練習してないけど、アシストコンボがあるし大丈夫。
そういう気持ち(とアホな理論)で地獄に飛び込んでしまいました。
ちなみに当時のプレイスタイルは、とにかく楽をすることでした。
とにかく強くなる過程を歩むことに抵抗があったんですよね。
ゲーム製作者側が想定していないであろうRTAならまあ仕方ないかなと思って座学とかできるんですが、対人戦ってゲーム製作者側が想定している通常プレイの範囲じゃないですか。
通常プレイでそこまでやらなきゃいけないのはちょっと…という気持ちがとても強かったです。モダン操作があるんだから大丈夫とも思ってました。
そんなんでやるもんだから、しゃがみガードできないわ、フレームも気にしてないわ、中段・下段もわからないわ、全く知識を仕入れようとしないわで、こうして書き出してみるとひどいですね。
結果はお察しの通り、ブロンズランク(下から数えたほうが速い)でぼっっっっっこぼこにされました。
キンバリーの下段攻撃をガードできず、ジェイミーにPERFECT K.O.され、連敗数を数えるのもやめてしまいました。
今思えば100%自分が悪いのですが、ここで思いっきりブチギレました。
「モダン操作にしたところで全然簡単じゃないじゃんこのゲーム!」
「格ゲーなんて格ゲーおじだけがやってればいい!」
こうしてスト6のことを(一旦)世界一嫌いなゲームに認定しました。
なんとここまでたった11日。もうちょっとやってほしいですね。
父のようになりたくない
唐突ですが、ここで父の話をします。
父はいろんなことを知ってて、英語も中国語もできて、大変頭のいい人でした。
そんな父は3年ほど前に心を壊しました。
原因は仕事で言いたいこと(言うべきこと)を言えなくなってしまったためです。
あんなに頭のいい父がこんなふうになるなんて。信じられませんでした。
同時に、「絶対こうはならないようにしよう」とも決意しました。
白目を向けられるようなことでも言うのを我慢しないようにしようと。
それこそが父よりも頭のいい生き方だと、「真の大人」だと。
少なくとも、この時点ではそう信じていました。
スト6をネガり、折れるまで
そんな生き方を3年弱してきた人間のSNSに、スト6の話題が飛び込んでくるわけです。
(当時)大っっっ嫌いなスト6の話題が。
当時は「カプコンがモダン操作で初心者を釣って金稼ぎしてる」とか本気で思っていたので、「スト6から格ゲー始めた!楽しい!」みたいなツイートをスパムの類と同一視していました。「アシストコンボだけでマスターになりました!」っていうツイートはさすがに今でも疑っていますが…
言いたいことを我慢しない生き方を目指す自分がとる行動は一つ。スト6は初心者お断りゲーであることの発信です。
かくして、不特定多数に見える場でスト6をネガり始めました。
こういう発言をしてても、本当にそう思った=嘘をついていないから何とも思わないし、何なら発信すべきとすら思ってるわけです。
そんな風にふるまっていたら、多少ですが交流のあった方からブロ解されていることに気づきました。
少し落ち込みました。正しいことと思ってやってるならそれくらい気にするなよって思いますけどね。
父のようになりたくなくて始めたことなのに、この時は父のように消えてしまいたくなりました。皮肉ですね。
なぜやり直そうと思ったのか
そんな最悪なゲーム(当時)をもう一度やり直そうと考え始めます。 と言ってもそこそこ月日が流れた後ですが。
ある日、とあるRTAリレーイベントで私が走っている「コロコロカービィ」が採用されたので、走者の助けになるよう自分が使ってるチャートを書き出していました。
記事の流れとしては、①RTA全体を通して必要になる前提知識・テクニックを説明してから、②各ステージでの詳細な解説に移るというものでした。
②だけあっても自滅してる理由なんて分かるわけありません。チャートに疑問を抱かれぬよう、①でしっかり理由を説明してからチャートを解説したほうがいいだろうと考え、このように順序立てて書くことにしました。
そうやって書いていたときに、なぜかスト6のことが頭をよぎりました。
「スト6も順序立てて説明されてたら?順番を飛ばさずにやってたら?」
あのときは禄に向き合わずに対人戦に飛び出してしまったので、出来なくて当然だったんじゃないか。
ちゃんとやるべきことをやってからじゃないと「カプコンが初狩りしてる」とか言えないんじゃないか。…といえばマシかもしれませんが、実際は「このゲームのことをボロカスに言えるようになるためにやるべきことをちゃんとやってみるか!」という思考のほうが近いです。根が陰湿すぎる。
かくして、以下の2つを目標として設定しました。
対人戦まで、何らかの順序(=ロードマップ)を設定してプレイしていく。
ゴールドまで上がる。
この2つを達成した時にスト6と和解したと言っていいのではと考えました。
ロードマップは強くなる過程そのものであり、それを守れるということは強くなる過程に抵抗がなくなったことを示すのではないかという意図で設定しました。
ゴールドは具体的な目標があったら頑張れるかなと思って設定しました。
どんなロードマップ?
上達するためのロードマップをゲーム内で教えてくれるゲームはまずありません。これは「チュートリアル」と「攻略」の違いだと思っています。
こんなシステムがある、この時にこんな操作をするとこうなる:チュートリアル
こういう時はこうするとこうなるからオススメorやめたほうがいい、これは難しすぎるからできなくてもいい:攻略
自論ですが、ゲームが教えてくれるのは「チュートリアル」までであり、「攻略」はその先にあるものなので自分で調べる必要があるものだと考えています。
ロードマップは「攻略」にあたるものなので、とりあえずGoogle先生を頼りました。
「スト6 ロードマップ」で検索して出てきたこちらの記事に従って進めることにしました。
ロードマップを読みながらやり直し前と比較してみました。1が終わらないうちに3-1に行ってますね。アホですね。
これはマジです。(ワールドツアーすらちゃんとしていませんでしたが)あの頃の私が保障します。
というわけで「ちゃんと」やり直すことにしました。ROUND 2の始まりです。
ワールドツアー再開
ワールドツアー再開ついでにお試しでいろいろ触ってみようと思いキャミィスタイルにしてみました。いろいろ触るつもりでしたが、ここからずっとキャミィスタイルです。
ワールドツアー中、新しく使えるようになった技のキャラクターガイドを見に行きました。これだけはロードマップと比べて順番が前後したところです。アクセルスピンナックルに飛び道具無敵がついてるとか知りました。
やり直してみてわかりましたが、RPGの側面が強めであり、ちゃんとレベル上げしないとキツいです。レベル上げのためにサブミッションだけじゃなくて料理も頼るといいです。
たまに「クリア後にやる想定なのでは?」と思えるミッションがあったりするので、全部できなくても泣かなくていいです。
ストーリークリア前にラシードに全然勝てなくて心を溶かしてましたが、今振り返ると気にしすぎでしたね。
FIGHTING GROUNDで勉強
なんとかワールドツアーをクリアして、次はコンボトライアル(ロードマップでは中級まで)ですが、初級を一通りやっても対人戦で十分な火力があるように思えず、中級は成功させるのに時間がかかり、成功しても「これ実践でできるのか?」と不安になったりしました。
が、そこは「コンボという行為そのものの練習」で、安定してできるようになれば使いたいコンボもできるようになるだろうと言い聞かせました。
そこでRTAのように、繰り返し周回することにしました。5日だったか1週間だったか、それくらいでそこそこできるようになったと思います。
自信がそこそこついた(と思っていいのか、比較対象がないのでわかりませんでしたが)ところでCPUとのスパーリングに移りました。
するとどうでしょう、何をしたらいいか全くわからないんです。
せっかく周回したコンボトライアルもほとんど活きず、結局アシストコンボばかり…。
これではいけない。助けてGoogle先生。
[モダン キャミィ 使い方] 検索
ヒットした動画で弱アシストコンボがヒット確認を自動でしてくれることを知りました。ガードされたときはアローが出ません。初心者に優しい…
ここで「柔道」と呼ばれるプレイスタイルも教えてもらいました。
「投げとアシストコンボでいいんだ…」の気持ちになりました。やることが少ないのは助かる。
とりあえずけん制の立ち中攻撃、柔道用に投げと弱アシストコンボ、大ダメージコンボ用に強アシストコンボ、ドライブゲージ節約用に強アシストコンボ2段目止め(スイングコンビネーション)をデッキに入れました。
ハマれば勝てる、そんな感覚がついてきました。
ここまででロードマップの2が終わりました。いよいよランクマです。ロードマップには「おそらく勝てない」と書かれていたので、まあシルバーにギリギリなれたらいいな…の気持ちで認定戦へ…
7勝くらいした気がします。
マッチングの運が良かっただけかもしれないけど、いくらなんでもそれは盛りすぎじゃない?
ゴールドまで上がることを目標にしていましたが、そうじゃないんだ。
目標変更です。
(YouTubeでもなんでもいいので)自分で知識を仕入れることができるようになる
プラチナ★★になる
これだけできれば強くなる過程に抵抗がなくなった=今度こそスト6と和解できたと言っていいでしょう。
ゴールド帯(プラチナの一つ下)には連勝ボーナスがあるため、ゴールド→プラチナではなく、連勝ボーナスがないプラチナ★→★★を目標にしました。
やったこと
ガイドを八角形にした
スイッチのプロコンをBluetoothで接続してプレイしているのですが、スティックのガイドが丸いのでしゃがみガードが漏れる漏れる…
対処法を考えた結果、スティックのガイドを八角形にしました。
巷ではシェルを換装して八角形にする方法もあるのですが、ねじを外さないといけません。
面倒だし、任天堂の修理を受けられなくなるし、ボタンの反応が悪くなったという事例も見たことがあるしで、さすがに手を出す勇気はありませんでした。
いろいろ検索していたところ、外付けの八角形リングを見つけました。
換装したりしないのでこれならさすがに大丈夫だろうと思い購入しました。接着が両面テープだけだったのが不安でしたが、事前にアルコールでふき取るといいと動画で知ったのでやってみました。
結果、1か月以上たった今でも外れる気配は全くありません。
しゃがみガードもしやすくなってモチベ維持に大きく貢献してくれました。
キャラ対策
「スト6 キャラ名 対策」でググりました。たぶん全部同じプロプレイヤーの動画。
全キャラはしんどいので、無理なキャラだけ。いまだに無理ですが…
フレームに対する考え方
格ゲー勢は森羅万象ありとあらゆる技のフレームを全て丸暗記しているイメージだったのですが、これを読んでちょっと考え方が変わりました。
ドライブインパクトでパニッシュカウンターになったときのコンボ
相手が倒れこむのでダメージを取るチャンスなのですが、なんとなく強アシストコンボでいいやと思っていました。ドライブゲージを節約するときは2段目までから中アロー。
これをもう少し火力の高いコンボにできないかとか思っていたところ、
(そういえばコンボトライアルのあれ、アレンジして使えないかな…?)
コンボトライアルの中級7を自分なりにアレンジして思いつきました、パニカン用のコンボ。
強アシストコンボ1段目
キャンセルラッシュ
しゃがみ強攻撃
強アシストコンボ
強アシストコンボは状況に応じていろいろ分岐させてます。全パターン書くのは大変ですがざっくりとこんな感じです。
ドライブゲージに余裕がないとき:強アシストコンボを2段目までにしてODストライクを出さない
ドライブゲージに余裕があるとき:強アシストコンボでODストライクまで出す
ドライブゲージに余裕があり、左右が入れ替わってもいいとき:強アシストコンボ2段目まで+ODアロー
運びを優先したいとき:アローで〆
ダメージを優先したいとき:スパイクで〆(後にコマンドで強版にするくらいの余裕ができました)
SAゲージがあるとき:SA1またはSA3で〆
ここでコンボトライアルが活きました、やっててよかった!
どこで見たかは忘れましたが、SAの火力に最低保証があるのを知ったのもこのころでした。
コマンド入力をしたほうがいいときと、簡易入力でもいいときがある。
カジュアルマッチ
対人戦ですが、正直ランクが下がるのが嫌だったので、カジュアルマッチをよくやってました。
一番よく当たったのはNEW CHALLENGERでした。試合が始まればすぐわかるのですが、絶対新参者ではありません。
たまに格上に勝てたりしましたが、基本的に勝てません。それでも操作を手に馴染ませることはできたので、無意味とは思いませんが…
ちょうどいいぐらいの人と対戦したい!そう思い利用したのが…
中級者用のバトルハブ
ドライブチケットをもらえるミッション?の条件に「バトルハブに行く」があったので行ってみたところ、中級者用のサーバーが存在することを知りました。
行ってみると、同じくらい~ちょっと格上くらいのプレイヤーが結構いるので対戦してみると、かなりいい勝負になって楽しい!
体感では「実力がある程度考慮されたカジュアルマッチ」という感じでした。
後に、バトルハブで数戦して指と気持ちを温める→ランクマッチに挑戦というルーティンができました。
中級者用のバトルハブに入れなくなって以降は、トレモで指を温めていました。
大体こんな感じで進めていきました。
スト6との和解と印象の変化
そして8月1日、なんとか目標のプラチナ★★になれました。
この後もプレイしていて、今(これを書いてる時点で)はプラチナ★★★にまでなりました。
最初の何も知らない何もやってない銅メッキの頃を思うと、上手くなったんじゃないですかね。
「MASTER行くまでがチュートリアルだからwww」とか言われても知りません。ここでは上達できるようになったことに意味があるので。
ではここで、当時のスト6ネガを振り返ってみましょう。
これは「本当にそう」から「部分的にそう」に変わりました。
やっぱりモダン操作だけじゃ「できる」までは到達できないと思っています。「勝ちたい!」と思った瞬間からやらなきゃいけないことが増えます。
でもそれをやれば「できる」まで到達できます。
必要なのは改善を試みる勇気と忍耐です。それさえあれば初心者でもなんとかなります。
逆に言えば、それがなければやめといたほうがいいと思います。お断りされるべきは初心者ではなく忍耐がない人。
そういう意味で「部分的にそう」です。
しゃがみガード出来てない。終わり。
今後
さて、この記事を書いている途中、ツイッターでブロ解された人とは別の方に、Misskeyでブロックされていることに気づきました。
その方はスト6もプレイしている方なので、当時のスト6ネガが原因でしょう。
きっと他にも縁を切られた人はいっぱいいると思います。
スト6と和解できたのはなぜか。ゲームは和解を拒まず付き合ってくれるからです。
しかし、人間は和解を拒否することができます。
今自分がどう思っているかなんて関係なく、伝える手段もなく、その方との和解の余地はありません。
もう元通りには戻りません。それくらいのことをしたことにようやく気付きました。
正しいと信じて疑わなかった生き方は、否定されました。
これからどんな風に生きていけばいいのか、今の私にはわかりません。
正しい生き方があったとして、自分にできるものかもわかりません。
ですが、もしできるなら縁を切られた人とスト6で戦ってみたいです。かなわないでしょうけど。