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暮らしっ句

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「日々の暮らし」の味わい、ぬくもり、それさえ忘れなければ、成功なんかとは縁遠くても、まっとうに生きていける。逆に言えば、こわいのは「こんな世の中、ぶっ壊してやり直した方がいい」と…
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#読書感想文

[暮らしっ句]新 緑[俳句鑑賞]

スナップショット編  新緑の木蔭や憩ふ 乳母車  吉田きみえ  新緑や補助輪はづす 父と子…

トマリエ
1か月前
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[暮らしっ句]悴 む[俳句鑑賞]

※ 悴む(かじかむ) 「あるある」編  悴みて 大阪駅に迷ひけり   樺山翠  一見すると…

トマリエ
5か月前
60

[暮らしっ句]寒 雀 2[俳句鑑賞]

 寒雀 群れより一羽 吾が前へ  松崎鉄之介  喪明けとはさみし 餌に寄る寒雀  服部幸  …

トマリエ
5か月前
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[暮らしっ句]寒 雀[俳句鑑賞]

 風を踏み 日ざしを踏みて 寒雀  村山秀雄  寒い時期、誰だって日向がいい。でも、建物の…

トマリエ
5か月前
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[暮らしっ句]福引き[俳句鑑賞]

被災者の方々にお見舞いを申し上げます。 .  福引や 見知らぬ人に拍手され  今井春生  福…

トマリエ
5か月前
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[暮らしっ句]ぼろ市[俳句鑑賞]

「ぼろ市」は十二月中旬と一月中旬の行事。時期がズレてしまいました。  そのことと「暮らし…

トマリエ
6か月前
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[暮らしっ句]古日記[俳句鑑賞]

 走り書きも 想ひはありや 古日記  いしだゆか  普通に考えると「走り書き」は「心が雑」な状態。しかし生きていれば、いろんな出来事がいっぺんに押し寄せてくることもあるし、感情が先走って問題をかえってややこしくしてしまうことも。  それは未熟といえば未熟ですが、おいしい経験は未熟な季節にこそ降り注ぐものかも。それが人生の「旬」だったりして。  だとすれば、「走り書き」は「雑」ではなく「即興のパフォーマンス」。「想ひはありや」というのは、そこに気づいたということでしょう。  

[暮らしっ句]釣瓶落し2[俳句鑑賞]

※心の弱っている方は、お読みにならないで下さい。  「死」や「あの世」にふれています。 …

トマリエ
7か月前
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[暮らしっ句]茸[俳句鑑賞]

 茸誕生 老婆が影を かぶせるとき  堀内一郎  雰囲気は何となく伝わってきますが、意味を…

トマリエ
7か月前
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[暮らしっ句] 柿 2[俳句鑑賞]

のどか編  柿の空 男のシャツを 叩き干す  ふけとしこ  秋晴れ、柿もそろそろ色づいてき…

トマリエ
8か月前
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[暮らしっ句] 柿 [俳句鑑賞]

偲ぶ編  いつもなら 祖母が剥いてる つるし柿  保坂加津夫 「サザエさん」で梅干し漬けた…

トマリエ
8か月前
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[暮らしっ句] どんぐり2[俳句鑑賞]

大人編  木洩れ日を踏んで 団栗拾ひかな  白石正躬  子どもの目に映っていたのは、おそ…

トマリエ
8か月前
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[暮らしっ句] 虫売り2[俳句鑑賞]

 集まった客が、虫売りのパフォーマンスに夢中になっている最中にも、 俳人はさめた視線を走…

トマリエ
9か月前
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[暮らしっ句] 紫蘇の実[俳句鑑賞]

 今年の猛暑、うちでは紫蘇が壊滅的に。  七月のはじめくらいまでは例年通りだったと思います。梅漬けに使いましたから。その後、気づいたら日陰にわずか二本。いつもなら、実を採って佃煮にするところですがさみしい……  よき日和と 香りを褒めて 紫蘇の実摘む  笹原ひろむ  紫蘇の実を 庭から摘んで 朝の卓  庄中健吉  紫蘇の実を 噛み日のあたる畳かな  西田美智子  紫蘇の実や 姑の暮しの身について  保坂さよ  いいなあと思いつつ、自分の暮らしとつい比較してしまいました。紫