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劇場一体型ホテルをつくりたい。

8月1日、強すぎる夏の陽射しのなか、いつもと少し違ったリリースを書いています。お久しぶりです、泊まれる演劇プロデューサーの花岡です。

これまで泊まれる演劇は、SNSや口コミなど、ゲストの皆さまの熱量に助けられながら、より多くの方に知られるようになりました。SNSにアップされた写真や感想を見た他の誰かが、さらに感想をつぶやいて、それをたまたま見た他の誰かが….という循環で、今や京都や大阪で1ヶ月以上のロングラン公演ができています。

そして調子に乗った我々は、これまで以上に皆さまの熱量に頼りながら、新しいプロジェクト計画をスタートさせようとしています。
「そんな上手くいくわけないだろ!?」って気持ちもありますが、泊まれる演劇自体がTwitterでアイデアを呟いたところから生まれたプロジェクトなので、今回も見切り発車で募集リリースを出したいと思います。
そしていつか、夢が叶った時に、「きっかけは2022年の夏に出したnoteで〜〜」って言いたい。なので、是非拡散&応援のほどよろしくお願いいたします!

(本題は「泊まれる演劇が目指す、その先」の項なので、「22年上半期と、来年に向けて」は読み飛ばしていただいても大丈夫です。)


22年上半期と、来年に向けて

本題の前に、まずは軽く2022年の上半期の振り返りを。

遅くなりましたが、『MIDNIGHT MOTEL’22 “ROUGE VELOURS”』、無事全公演終了いたしました。一ヶ月以上に渡るロングラン公演でしたが、チケットも早々に全日程SOLD OUTをいただき、このような情勢のなかで遠方からお越しくださった方も沢山いらっしゃったようで、本当にありがとうございました。

プロジェクトスタート時期が不運にもコロナ禍に被ってしまった我々ですが、『MIDNIGHT MOTEL』を含め、これまで一公演も欠かさずに完走できたのは本当に奇跡的なことで、関わるクリエイターやキャストはもちろん、お越し頂けるゲストの皆さまの徹底した意識やご配慮のお陰だと思っております。重ねて、ありがとうございます。


また、2023年の泊まれる演劇の公演スケジュールも発表されました。

2023年の制作テーマは”舞台芸術の再興”。

ダンスパフォーマンスやミステリー・謎解きなど、多くの素晴らしいイマーシブイベントが増えていくなかで、2023年の泊まれる演劇はその名の通り、"演劇"をつくります。ただ、一般的な客席から傍観者として観劇するそれとはやっぱり違って、私たちなりの解釈で、演劇に向き合います。

たとえば、その部屋に演者がいなくても、空間単体で物語が進んでいく舞台。もしくは、観客が何かを食べて飲んでいることが、演劇体験になっているもの。
舞台制作のプロフェッショナルたちと、演劇の枠から大きくはみ出すことを楽しみながら、これからも新しい表現を追求して参ります。

随時新しい情報を発表していきますので、是非チェック頂けると嬉しいです。


泊まれる演劇が目指す、その先

長くなりましたが本題です。

前述の通り、前作『MIDNIGHT MOTEL’22 “ROUGE VELOURS”』では、ゲストの皆さま及び沢山の方のサポートのおかげで、集客・商業的にも素晴らしい結果で幕を閉じることができました。

「新しいカルチャーを作りたい」。その理想を胸に、2023年への準備も進めつつ、もう一つ長期的に力を入れていきたい取り組みがあります。
(▽経緯ついては過去のメディアインタビューで語らせて頂きました)


それは、国内初の『劇場一体型ホテル』の建設です。

米ラスベガスのホテルのような、ショーステージを内部に併設したホテルではありません。
泊まれる演劇が目指したいのは、劇場こそがホテルであり、ホテルそのものが劇場である、そこに一切の境界のない空間です。生まれゆく物語のためにホテルのハード設備が備えられ、働くスタッフが全員エンターテイナーであり、エントランスの先には別世界の存在が約束されている場所。

ホテルが持っている特別な価値、その本質は”時間のデザイン性”だと考えています。レストランやテーマパークでも非日常感はもちろん味わえますが、一日の意識が生まれる瞬間・終わる瞬間まで非日常を演出できる場所は、ここホテルにしかありません。

海外ではディズニー・ワールド・リゾートに2泊3日の宿泊型体験アトラクション『Star Wars: Galactic Starcruiser』が2022年3月にオープンしましたが、ホテルという空間自体が非日常感を演出してくれるため、没入型,つまり次世代のエンターテイメントと非常に相性が良いと考えています。
また個室の多い構造自体が、美術や音響などの設備を三次元空間に立体的に配置することができるため、世界観を視覚的に表現しやすいのも特徴です。もし屋外の更地のような場所に「異世界」を作ろうとすると、莫大なコストがかかるだけでなく、よほど頑丈かつ可動式の基礎構造がない限り、例えばシーズナルで上演テーマや世界観を作り替えるといったことは困難でしょう。

まずは簡易なまとめとなりますが、泊まれる演劇の考える『劇場一体型ホテル』の特徴は以下の通りです。

(1)ホテルインフラ(客室やチェックインフロント、カフェラウンジなどの共有スペース)と舞台インフラ(ステージとしての大部屋 / 小部屋、地下室や隠し扉、迷路のように入り組んだ通路など演出装置)がシームレスに設計されている。
(2)天井のトラス構造またはバトン(昇降やグリッド形式)や音響/照明設備、搬入用EV、キャスト用の逃げ裏通路など、イマーシブシアター作品を上演するにあたって、必須となる基礎構造が初期のハードから組み込まれている。
(3)上記を踏まえて、定期的に上演作品を変更することのできるメディア空間として設計する。 ※1~3年単位で作品を変更想定。また、今後常設ホテルを国内で複数展開&上演できれば、初期制作コストの投資回収スピードもアップします。

その他の物件の理想条件としては、美術や機材等の保管場所が管内または近隣にある、搬入口が広く駐車場または大型トラックの入れ込みが可能、共有部や客室の最適な数や広さなど、過去4作品の宿泊型イマーシブシアターを自社ホテルで企画・運営するなかで、導線や機能面の細かい要件整理をチーム内でおこなっております。ですので、もしご協業頂けるパートナー様がいらっしゃった場合、より詳細の条件共有・すり合わせからご一緒できると嬉しいです。


劇場一体型ホテルを共創いただけるパートナー様を探しています。

ビジネスプランや立地条件など検討項目が山積みなチャレンジではありますが、新しい時代のカルチャーを一緒に生み出して頂けるパートナー様を全力で募集しております。もしご協業の可能性のある事業者様がいらっしゃいましたら、是非以下のアドレスまでご連絡頂けますと幸いです。
担当:花岡直弥(naoya.hanaoka@suiseiinc.co.jp

例えばですが…
▶︎デベロッパー・不動産会社・電鉄事業者 様
▶︎イベント事業者様
▶︎TVやラジオ等のマスメディア様
▶︎広告代理店様
▶︎コンテンツメイカー / ライセンサー様
▶︎その他:2ヶ月以上使用可能な空間をお持ちの施設・企業・団体様(「まずは所有している施設 / 物件で、まずは収益測定を含めたテスト上演から協業」なども柔軟に対応させていただきます。

※現フェーズでの募集事業者様は「物件のリサーチ、所有物件の賃貸または売却」となります。制作・出演・販促・運営単体での協業事業者様は募集しておりません。
※条件外の物件営業など、お問い合わせ内容によってはお返事できかねる場合もございます。予めご了承くださいませ。
※ご質問等もお気軽にお問い合わせください。

もちろん、具体的な対象物件がない場合でのお問い合わせも大歓迎です。ホテル一棟の賃貸・売りの対象物件の少なさや、一般的な宿泊以外の利用ハードルの高さもあるかと思いますので、物件探しを含め長期的な協業ができると嬉しいです。


最後に

これまでの泊まれる演劇は、運営会社であるSUISEI, incが同じく所有・運営する京都大阪のブティックホテルブランドのHOTEL SHE,を舞台にして上演をおこなってまいりました。

▽SUISEI, incコーポレートサイト。HOTEL SHE,や泊まれる演劇の他にも、宿泊や観光をドメインにした様々な事業を展開しております。(泊まれる演劇の花岡・飯嶋もSUISEI, incの正社員です)

実はこれが我々の唯一にして最大の強みでして、ロングラン上演ができるのも、舞台美術や音響,照明をホテル全体に仕込めるのも、チェックイン〜宿泊の垣根を越えた体験設計ができるのも、自社施設で働くメンバーが企画制作・運営をしているからに他なりません。同じプロジェクトメンバーであっても、他社施設で同じ濃度の体験を作れるかと言われると、絶対にできません。通常の営業を数ヶ月止めて一棟貸切できるホテルも、演劇のためにハード工事ができるホテルも、世界中見渡してもかなりレアだと思うので…(笑)

そのラッキーを肌で感じているからこそ、泊まれる演劇が今後さらに作品の幅を広げていくためには、常設かつ専用の劇場一体型ホテルが不可欠なのです。単に演劇やイマーシブーシアターを作りたいのであれば、これから先もずっとHOTEL SHE,で上演したり、たまに国内の遊休不動産物件で2〜3週間の単発公演を作っていけば良いと思います。でもそれだけだと、新しいカルチャーへと育つことは絶対ないですし、泊まれる演劇という環境のなかで仕事をする意義も(私花岡含め、クリエイティブメンバーは)感じられないので、やはり劇場一体型ホテルのプロジェクトは、泊まれる演劇本体と運命共同体のようなものです。

ですので、このプロジェクトはどれだけ年数がかかったとしても、しつこく粘り強く、ライフワークとして向き合っていく所存です。
(もちろん、HOTEL SHE,での公演も、常に全力で向き合って作っていくので、ご期待ください!)


2022年8月1日
泊まれる演劇(Produced by SUISEI,inc) 
プロデューサー 花岡直弥



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