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私が息子に出逢うまで(15)

笑顔

あの日以来、課長の課長代理への当たりが強くなっていた。何かにつけて呼び出され、怒鳴られる毎日。課長代理から笑顔が消えた。

それと同時に課長が毎回私のことを引き合いに出すため、私と課長代理の間にも嫌な緊張感が生まれていった。
飲みに行くたび「主任は課長に色目を使っている。」と課長代理が言っていると、人づてに聞いたが、事実ではないのでどうでも良かった。

だが2階級下と比べられるのは相当屈辱的だろうことくらいは分かる。

-課長、代理とお話される際に私と比較するのはやめて頂けますか?もし逆の立場なら、とても辛いです。

私は課長にお願いした。

「辛いのは分かってる。でも事実、アイツはまだまだ課長の器じゃない。それを受け止めて改善して、俺が間違ってるって向かってきてほしいんだよ。それくらいじゃないと部下が苦労するんだ。お前なら分かるだろ?」

-課長、真意が全く伝わってません。私に今仰ったことをそのまま言ってあげてください。彼は私が依怙贔屓されているとしか思っていませんよ。

「依怙贔屓してるんだよ。」

-は?

「その理由もアイツに気づいて欲しいんだ。」

(ダメだこりゃ…)

課長は言葉足らずで、課長代理は理解力不足。これでは課長の退職日までに分かり合えるとは思えない。

-とりあえず依怙贔屓はやめて、私たちをせめて平等に扱ってください。

「無理だ。諦めろ。俺は変わらない。」

私はそれ以上何も言わなかった。
言われた通り諦めたのだ。

しかし、課長代理が酔っ払って話した噂は、思った以上に早く社内に浸透していった。

つづく…



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