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私が息子に出逢うまで(22)

援護射撃

「一体、贔屓されることの何が悪いんだ?言ってみろ。」

A社長の迫力に負けて、課長代理も一緒に私をからかっていた男性陣も黙り込んだ。

シーン…と静まり返る2つのテーブル。
A社長は立ち上がったまま続けた。

「依怙贔屓されるのは才能なんだよ。誰もがして貰えるものじゃない。もちろん頼んでもして貰えない。しかもだ、好きじゃない相手には女だろうが男だろうが、絶対しない。性別は関係ないんだよ。

コイツが皆に贔屓されてる?
俺からしたら当たり前だ。俺の元部下だから分かる。俺もどれだけ助けられたか。全部話そうか?仕事に情熱を持って、人の役に立とうとする人間は可愛がられるんだよ。
課長代理さん、俺はお前をよく知らないけど、お前が贔屓されないのは人間力不足が原因じゃないのか?」

「でも、やっぱり女だから贔屓されたり甘やかされたりするじゃないですか!」
課長代理は不満げに言い返した。

「俺はなぁ、コイツが男でも中身が一緒なら可愛がるよ。まだ分からないのか?何度も言わせるな!これ以上続けるなら、外に出ろ。」

「……失礼しました。」そう言って課長代理は自分たちのテーブルへ戻り、飲み始めた。

それを見届けるとA社長は席に座り、私の方へ向き直り、言った。

「堂々と依怙贔屓されておけ!才能だから。」

-はい!ありがとうございます!

自分の存在意義を認めてもらったようで、私は嬉しかった。

つづく…

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