見出し画像

四捨五入して10年

今回の部員日記は環境情報学部4年の川口絢子が担当させていただきます.
粗末な文章ですが, 私が担当する最後の部員日記となりますのでご一読いただけると幸いです.


ドラえもんが未来から来た理由はこの前知ったって話

先日, 友人とタイムリープやパラレルワールドを題材に書かれた作品の話をしました.

そういう作品って, 特にタイムリープ系だと「現在」に何かしら不満とか不備があって「過去」に戻って都合がいい方に向くように操作したりするのが多いですよね.
「君の名は. 」とか, 「orange」(高野苺さんの漫画)とか.

皆さんはタイムリープが出来たらどうしますか?
パラレルワールドとか信じますか?

こういう話題が出たときとか, ふとした瞬間に思い出すことがあります.


中学生時代に当時の部活の同期とした話なのですが,


それは

「もし入部前に戻れたなら, それでもソフトテニス部に入る?」
「もしソフトテニス部に入っていなかったら今何をしてる?」

という話です.


中学2年生くらいだったでしょうか.
その日は部活終わりに近所の公園で自主練習をしていた時だったような記憶があります.


ちょっと言いたいだけの中学の話

先に中学生の頃の話を少し.

前回記事にも書いたように, 私は中学生からソフトテニスを始めました.
兵庫県はジュニアクラブが各地域にありますが, 神戸市にはほとんど有りません.
したがって当時のチームメイトも全員中学から始めています.
先輩にも後輩にもジュニアクラブ出身者はいませんでした.

そんな私たちの目標は県大会出場でした.
兵庫県は8つの地区に分かれており, その地区予選を勝ち抜いた上位3校(地区によっては2校)と上位16ペアが県大会に出場できます.
神戸市はジュニア出身者がほとんどいないため, スタートが大体同じ.
よくて硬式上がりとか.
だから頑張ればだれにでもチャンスのある, そんな環境だったんです.

それをよく理解していた当時の顧問の先生はとても熱心で,

「始めてすぐの大会なんて運動神経のいい子が勝つんやから勝てんでかまん. 神戸市は最後の総体で勝てるかどうかがこれまでの努力を証明する」

と常々言っていました.

そのため練習は超々基礎から.
1年生の間はジャストグリップという持ち方を強制するグッズをつけて練習するほどでした.

こういうやつ. グリップが極太になって正直持ちにくかったりする. 


顧問の先生だけでなく, 同期にも恵まれていました.

とりあえずみんなテニスが好きで真面目.

練習はほぼ毎日ありましたが, 男子部との兼ね合いもあったので半日練習の日もそれなりにありました.
そういう空いたもう半日で同期と自主練習をする日も沢山あったんです.
学校から歩いて20分ほどのところにテニスコートはあったのですが, 山奥のくせして高いコートだったので, そんなしょっちゅうはいけません.

だから練習場所はだいたい公園とそこら辺の壁.

もちろんネットもコートもないような場所で, ネットの高さくらいに目印をつけてひたすら壁打ちやらサーブの練習をして, スマホを持っている子にビデオを撮ってもらってフォーム確認したり.

夏休みにはよく練習終わりに近くの川に入ってアイス買って帰りました.
2年間くらい買い続けてもガリガリ君は結局1本しか当たらなかった. 


そんな地道な練習のおかげで中学3年生の総体では団体戦で準優勝, 個人戦3位で県大会に出場することができました.
2年生の秋にある新人戦も県大会に進めなかった私たちにとって, 自分たちで勝ち取った県大会はそれが最初で最後でした.

結果的に県大会は2回戦で負けてしまいましたが, 目標が達成できたことは素直に嬉しかったです.


そんなテニスバカ集団とテニスをしている時間がとにかく楽しくて仕方なかった中学生時代.


誰が言い出したのかとか, まったく思い出せないけれどこの話をしたことはとても鮮明に覚えています.
まだまだ結果がついてこなくてみんな少し行き詰っていた時期だったからか, 少し迷っている子もいました.

そもそも部活自体がみんなほぼ初めてだったのもあったから, こんなに怒られながらやるもん?という中学生らしい悩みもあったのかも.


「今の記憶がある状態でさ, 入部前に戻れたらそれでもソフトテニス部はいる?」

「どうかなあ…」

「ん~入るんちゃう?戻ってみんとわからんけど. 笑」

「そもそもソフトテニス始めんかったら今頃何しとんかな?」

「塾漬け?笑」

「とりあえず美白頑張りたいかな. 笑」


考え方がいっちょ前になった話

ソフトテニスを始めて早10年くらい経ちます.
この約10年間でモチベーションが下がってしまったことは数えきれないほどあります.

そのたびにこの日のこの会話を思い出して, 「今の状態で過去に戻ったとき, もう一回ソフトテニス部に入部するのかなあ」と考えるんです.

この1年はことあるごとに思い出していたような気がします. 笑


初めてこの話をした日から, いつ思い出しても, どんなにうまくいっていないときでも私の答えは変わらずYesでした.

なんだかんだ, テニスがずっと好きなことには変わりなかったから.
自分で頑張るって決めた道だったから. そもそもソフトテニスをやっていない自分なんて想像もつかなかったから.


でも引退した今考え直してみると, ちょっと違うんですよ.

今までは想像もできなかった, ソフトテニスをしていない世界線の自分を考えることが増えたんです.

もともと英語が好きだったから留学とかしていたんだろうか.
体育祭とか文化祭で漫画みたいに盛り上がってみたりとか?
高校生からバイトをしてみたり, 将来の夢をもっと真剣に考えて専門学校とかに行ったりしていたかな, とか.

案外, ソフトテニスをしていない世界線も歩んでみたかったなあと思うことが増えました.
(高校一年生の妹がいるのですが, 妹を見ていると特にそんなことを考えてしまします. 笑)

でも, 今考えても変わらないこともあります.
中学校1年生の入部届を書く瞬間に戻って, この10年がどれほどしんどくて想像とは違う学生生活を送ることになると分かっていても, 私はソフトテニス部って書くんだろうな.

結局そこに落ち着くんです.

今まではソフトテニスが好きで, やっていない姿の想像がつかないから何回やり直してもソフトテニス部を選ぶ, と思っていました.
  
でも今, ソフトテニスをしていない姿を想像できてもソフトテニス部を選ぶ理由は一つです.

「ソフトテニスが好き」以上に「ソフトテニスを通して出会った人が好き」だからです.
その人たちにもう一回巡り合うために私は何回やり直すことになってもソフトテニス部に入ります.


ソフトテニスを通して本当にたくさんの人に出会い, お世話してもらいました.
ソフトテニスをやっていない人も含めて, ソフトテニスをここまで続けたからこそ出会えた人がたくさんいます.
人の縁にとにかく恵まれすぎた10年だったと改めて思います.

先輩後輩含め, 全てのチームメイト, 顧問の先生, コーチ, 他校のライバル, 学校の担任の先生, 違う部活でも同じ志を持ったクラスメイト…

挙げ始めるときりがありません.
特に大学なんか, たまたま中学時代から練習にお邪魔させてもらっていた大学の監督がこの部活のOBで声をかけてもらえたという, 奇跡に近い巡り合わせです.


実際問題, これからの人生の方がはるかに長くて, これからもっとたくさんの人に出会うでしょう. 今まで以上に良い縁に恵まれることもあるかもしれません.
ソフトテニスを通して出会った人たちは, 今でこそ私の人生を形成してくれた大切な人たちだけど, 少しずつその人たちが私の人生を占める割合も少なくなっていくんだと思います.

そう考えると少し寂しい.


たった21年間の人生なので何十年も生きた風に言うなって感じですが.


しんどいこと7割, 後悔2割, 楽しかったこと1割みたいな10年でしたが, それでも私にとっては何にも代えがたい, かけがえのない10年です.

あ, もちろんしんどいことだらけでもテニスは相変わらずなんやかんやで好きですよ.

運動不足だから誰か誘ってくださいな.


最後に

最後になりましたが, この10年を締めくくる場所が慶應義塾大学のソフトテニス部でよかったと心の底から思います.

初めての一人暮らし, 初めての関東, 周りには知り合いもいない.
不安だらけの中迎えた大学生活でしたが, OB, OGの方をはじめ, たくさんの方に支えられて4年間走りきることができました.

本当にありがとうございました.

ここで過ごした4年間は今までの部活動とは違い, 伝統ある部の一人の部員としての自覚と責任を学ぶことができました.

ただテニスを頑張るだけじゃダメ.

これを高校生からずっと言われていたのに, 理解できたのは大学生になってからです.
それを理解できるようになったのも慶應にきたからこそだと思います.

チームの中で自分がどんな存在であるべきか?
自分はこのチームに何をして何をもたらしたいのか?
そのためには何が必要なのか?

今までの部活動では考えたこともなかったことをたくさん考えて, 新入生歓迎会のときの宣言通り, 人として成長することが少しはできたと思います.

本当に, ここに来てよかったです. 


後輩さんたち.

川口は後悔がたくさんあります.
だからみんなも終わった時にあの時こうしてればよかった, とかたくさん後悔できる人になってほしいです.

なぜなら後悔は本気で取り組んだ人にしかできないからです.

だから残りの学生生活, 全力投球してください,
いや, テニスやから全力打球か.

あと, 川口の一番の後悔は言っても仕方ないけどみんなともっといろんな試合で色んな景色を見たかったことです.

女子部には言ったことあるけど, これから去年のチームが見られなかった景色を次こそは勝ってみてきてほしいです.

ずっと応援しています.


同期の皆さん.

なんだかんだこの1年, 全員で写真を撮る機会がなかったので最後1回くらいは10人そろって写真撮ろうね.

4年間本当にあっという間だったけど, 終ぞ一人も欠けずに引退できて良かったなって言うのが一番.

これからも定期的に集まれたら嬉しいなあ.

10人の写真見つからなかった. もしかしてもしかするやつなの?


すんません, やっぱりもう一言だけ言わせて

もしタイムトラベルができて, 小学校6年生の私に会えたとする.
小学校6年生の私に, 「君は今からスポーツで人生変わるよ」って言っても, 絶対に信じないだろうな.

だって50メートル走9秒台だったし.

授業でサッカーやったらボール蹴れないし名字川口だからってキーパー固定だったし.

ドッチボールで人に球当てたことないし.

逆上がりできないし!!!(いまだに)

本当に人生って何があるかわからないもんですね.
いまだに地元の友人にスポーツやっているっていうと疑われます.

でもここまでこれたのは自分ひとりの力じゃありません.
関わってくれたたくさんの方に, 最後改めて感謝を申し上げて長ったらしい部員日記を終わりたいと思います.

楽しい10年間を, 本当にありがとうございました.


長くつたない文章でしたが, 最後までお読みいただきありがとうございました.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?