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エクレアの魔法

「牛乳、マーガリン、牛乳、マーガリン…」

そう呟きながら買い物に行ったのに、あんみつやコーラなどをカゴにぽんぽん入れていたら、牛乳を買い忘れてしまった。息子は1〜2歳くらいの時から、寝る前に必ず一杯の牛乳を飲むという牛乳健康法を実践している。牛乳だけは切らしてはいけないんだ。

で、再び買い物へ。ついでに昼ごはんも買う。

今度は、買い忘れない。

うんざりするような新型コロナウイルス騒動の中で、良かったことがひとつある。スーパーのお惣菜がパック詰めになったことだ。トングでコロッケや焼き鳥などの美味しそうなお惣菜を掴んで、それらをパックに詰めて輪ゴムで止めるという動作が苦手だ。落としてしまうかもしれない、とドキドキしてしまう。周りの人の視線も気になる。それから、お総菜売り場の近くでくしゃみや咳をしている人なんて見てしまったら、買いたい気持ちも失せてしまう。しかしパック詰めにしてくれたことで、以前よりも気軽にお惣菜を変えるようになった。この騒動が収束しても、パック詰めのままが良い。

スーパーの店内だが、コンビニの冷やし中華が食べたいと思いコンビニにしなかったことを後悔した。で、おろし牛蒡そばと、息子用におにぎり二個と78円のエクレアを購入した。息子はエクレアが大好きで、「エクレア買ってきたよ」というと「ンー♪」と犬が甘える時の鳴き声をする。何を言っているのかわからないと思うけど、家族だけが知っている息子が犬になる瞬間だ。あるときは下校中に「エークーレーアー」と何かのRPGに出てきそうな呪文を唱えながら歩いていた。エクレア愛だ。

大好物のエクレアをむしゃむしゃ食べているときの息子の顔がとてもかわいくて、たくさんある「産んで良かったと思う瞬間」のひとつだ。むしゃくしゃした時には、息子にエクレアを買ってあげると少しだけ心が落ち着く。またいつか、むしゃくしゃするであろう未来の私に「息子にエクレアを買うと良いよ」と、ここに助言しておこう。