ここがきみの居場所

休校延長の連絡が来る。それを告げると「イェーーーーーーイ」と大声を出して喜ぶ息子。サンシャイン池崎か。

爆発しそうな感情を抑えて無になろう。

もしかしたら、息子も不安なのかもしれない。大丈夫、どんなことがあっても、休校が1年くらい長引いたとしても、この家がひとつのきみの居場所だ。母さん、少しお疲れ気味だけど安心して過ごしていいよ。

三月から始まった休校が、まさかこんなに長引くとは思わなかった。もっと丁寧に日々の出来事や、新型コロナウイルスに対して徐々に変化していく自分の感情を記録していたら一冊の本にできたかもしれない。誰かのお手本になるような充実したおうち時間を過ごしているわけではないし、普段通りの引きこもりの専業主婦だけど、いろいろなことを考えている。いろいろな本を読んで、いろいろなテレビを見る。毎日、料理をする。今からでも遅くない。記録しよう。本にはしないと思うけど。

犬木加奈子『サソリお姉さま』を読んだ。ホラーの女王、犬木加奈子といえば『不思議のたたりちゃん』を真っ先に思い浮かべるけれど、この漫画も大好き。とても怖いサソリお姉さまと妹のサナギのお話。最初に読んだのは小学生の頃だったかな。お姉さまがサナギに飲ませたトンボの目玉ジュースが今でもトラウマ。

最初は「こんなかわいい妹をいじめるなんて、なんてひどい姉なんだ!」と怖いを通り越して怒りの感情が湧いていたけれど、読んでいるうちにサソリお姉さまと私を照らし合わせてしまい、心の奥に潜んでいる姉としての残酷な部分を見させられたような気分になった。私も姉だから、少しだけサソリお姉さまのさみしさがわかるんだ。

どんなにいじめられてもさそりお姉さまを慕い続ける妹のサナギが無邪気でかわいい。その無邪気さが時々怖い。

ホラーの中に潜んだ姉妹の絆と、姉妹の成長に救われる犬木加奈子ファンタジー。