夕方の住宅街、リコーダーの音

チャーハンの素が一袋だけあったから、昼ごはんはチャーハンにする。

一人前のチャーハンを息子と二人で分けた。最近、いろいろなものをよく食べるようになった息子だが、まだまだ子どもの胃袋で、大人と同じ量のものを食べられない。半チャーハンが息子にはちょうど良い。

チャーハンに納豆をかけて食べる私を、息子は「うわぁ」という目で見た。納豆トーストを食べるとき、豆腐に苺ジャムを入れて混ぜて食べるとき、トマトに砂糖をかけて食べるとき…息子は変なものを見ているかのような顔で私のことを見るのだ。そんなに変な食べ方しているかな。

夕方、夫がソプラノリコーダーを買って帰ってきた。子ども用ではない、夫用のリコーダーだ。休校中、リコーダーを覚えるという宿題を出された小学校3年生の息子。初めてリコーダーに触れる息子にとって、穴を抑えるという一見、簡単そうな動作がとても難しい。もう20年以上もリコーダーを吹いていない夫婦が、教科書を見ながら、息子の手を取り教えていたが、コツがなかなか伝わらず、もう一本リコーダーを購入して実際に吹いて教えようということになったのだ。

「何十年も吹いていないけど、手は覚えているんだよね」

そう言って夫は、リコーダーで『パッヘルベルのカノン』を奏でた。一生懸命、練習する息子のリコーダーは「ピョヒョーーー」と情けない音を立てていた。

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