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【Edge Rank 913】ハンコで絵を描く【TOMAKI】

最近、よくハンコで絵を描いているんですけどね。消しゴムハンコとかではなく、どちらかというと業務用のハンコ。版面デザインをイラレでせっせと作って、それをハンコづくりの業者さんにデータ入稿して、オリジナルのハンコをつくってもらいます。で、そのハンコを使って絵を描くという遊び。

なに言ってるかわからないと思うので、さっそく実例を。

■優美堂でハンコアート

昨年の8月から、神田小川町にある元額縁屋さんの古い建物をリノベーションしてアートコミュニティスペースを作るという、『優美堂再生プロジェクト』に参加しています。3331 Arts Chiyodaをつくった、中村政人さんがリーダーのプロジェクト。東京ビエンナーレのオープンに合わせて、この優美堂のギャラリースペースに、額縁を使った作品を展示することになりました。

「富士山」と「優しさ」というテーマで、それぞれ作家さんが二つの作品をつくるというプロジェクト。僕がつくったのは、この「富士山」と「優美堂」というハンコで描いた絵画です。まず、ハンコをつくって、そのハンコを絵筆の代わりに使いつつ、ペタペタと押しながら絵を描くという。

ハンコの押し方やインクのつけかたで微妙な濃淡を表現しつつ。時にはハンコの端や角を使いつつ。基本的に全部ハンコだけで絵を描いていきます。

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もともと、ハンコをつくるのが好きだったんですよ。いわゆる、業務用ハンコみたいなのを業者さんに発注して、いろいろとふざけたハンコをつくってました。「夜露死苦」とか「愛羅武勇」、「喧嘩上等」、「仏恥義理」みたいなヤンキー言葉をハンコにしたり。「国家機密」、「偽造文書」、「極秘任務」、「終電定時」、「金曜万歳」みたいな、仕事で使えそうだけど絶対に使えない言葉をハンコにしてみたり。こういうのをたくさんつくって、アートフリマで売ったり、ギャラリーショップに置かせてもらったりしてました。

そんな流れで、2013年に東京ビッグサイトで開催された「デザインフェスタ」に参加した時も、横8メートル、高さ3メートルのでっかい壁に、小さな「富士山」のハンコでペタペタと壁画を描いてたのですね。4人で富士山を描くという企画。会期中の2日間ずっと、僕はでっかい壁にひたすら小さなハンコを押して絵を描いてました。

今回は、搬入日まで時間がない中、大阪のハンコ屋さんに「富士山」と「優美堂」というハンコを作ってもらい、そのハンコを使って合計3枚の絵を描き、額装して優美堂に展示しました。

■ハンコで壁画を描く

そして、東京ビエンナーレの終盤。9月4日と5日に、優美堂内で開催された「yu-bido- art Relation」という作品展に参加。この時も、私はハンコを使って絵を描きました。額装作品よりももう少し大きな、壁画の作品です。

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先月のEdge Rankの記事にも書きましたが、優美堂3階のスペースに、「優美堂」のハンコでコツコツと優美堂のロゴを描いて、さらに「富士山」のハンコで大きな富士山の絵を描くというプロジェクト。

この時は、私が描いて終わりではなく、東京ビエンナーレのお客さんにもハンコを押してもらいました。ライブハンコペインティングですね。2日間で、60名以上の方たちが、ペタペタとハンコを押していってくれました。これは楽しかったー。

■東リ町アートフェス

さらにこのハンコアートは、今月に入ってもうひと展開ありまして。「江ノ島の海じゃないほう」の藤沢市片瀬三丁目で行われたアートフェスにも作品を提供しました。

たまたま、このアートフェスを運営している方が、優美堂再生プロジェクトの一員で、作品を募集しているとのことで、11枚のハンコアートを描いて搬入してきました。

今年第一回開催となる、「東リ町アートフェス」という芸術祭。昔、「東リ町」と呼ばれた、現在の藤沢市片瀬地域で、11か所のお店や施設が展示会場となり、さまざまなイベントや作品展示が行われるというもの。そこで僕は、その11か所の場所の名前を全部ハンコにして、それぞれの建物の外観をハンコで描きました。

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今回も、まず最初はAdobe Illustratorのソフトを使って、ハンコの版面をデザイン。ポイントは、文字同士の間隔をなるべく詰めること。このハンコを使って絵を描くので、画材としてなるべく描きやすいように。

版面のデザインができたら、ハンコを発注。ここ最近は、大阪にあるスタンプの専門メーカー、タイヨートマーさんに依頼しています。環境に優しい素材を使ったり、いろんな種類のハンコに対応してくれるのが魅力。そして、仕事がていねいで、かつ早いので、最近ハンコを発注する時はいつもお世話になっています。

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ハンコが自宅に届いたら、あとはコツコツ絵を描いていくわけです。今回は、薄いMDFの板に直接ハンコを押して描きました。1枚描くのに、だいたい1時間くらいかかります。平均して、1枚につき1万回くらいはペタペタとハンコを押して描いていくので、11枚描くには11万回くらいペタペタした計算になりますね。

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今回嬉しかったのは、現地でもハンコアートができたこと。東リ町アートフェスの現場を訪れ、各展示場所を巡った後、そのまま2枚ほど描きました。ちょっとした、「アーティスト・イン・レジデンス」みたいな感じです。一度、このような滞在制作をやってみたかったんですよね。残り9枚は自宅で仕上げて、翌週に現地へ搬入しました。

アイヌ音楽のライブ演奏が行われた、「密蔵寺」の境内にも、展示していただきました。完成した11枚の絵は、それぞれのお店にプレゼント。もし見かけたら、ペタペタとハンコを押してください。ハンコとインクパッドは、絵に直接くっつけてあります。

■今月のテーマは「制約」

会社員として仕事をしながら「日曜アーティスト」として気ままな趣味の創作活動をしているわけですが。何か作品を制作しようとすると、やっぱりいつもなにかしら制約はつきものです。平日の日中は仕事をしているので、その時間は作品制作はできません。作業スペースも、制作予算も、全て限られた中でなんとかやりくりしつつ、創作活動を行っています。

何か新しいプロジェクトを立ち上げる際に、もしそれがお金が必要なものだとすると、まずはその「お金をつくる」というところから始めなければならないというときもあります。そのうえで、制作に必要な場所を確保したり。必要なスキルやツールを手に入れたり。プロジェクトに関するタスク管理や、スケジュール管理なども全部ひとりで行います。

でも、それが楽しいんですよね。全てが「遊び」だから、まったく苦にならない。そういう制約があって、それをひとつひとつ解決していくのが楽しくて仕方ないのです。

そもそも、「ハンコで絵を描く」って、どんな縛りなの?っていう。わざわざ制約の上塗りをしているような感じですが。

「さて、次は何をしようかな」と考えると、ワクワクします。

=== 今月のテーマであなたも書きませんか? ===
今月の共通テーマは「制約」です。ルールは人を縛りもしますし、人の工夫を生み出したりもします。そしてルールを乗り越える強い人もいるし、ルールに押しつぶされる惜しい人もいます。制約を巡って、人々には様々なドラマが生まれるのではないかなと思います。そんな「制約」に関わる諸々を教えてください。
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■編集後記

この週末は、渋谷ストリームホールで開催された「チェコフェスティバル」のお手伝いをしてきました。2018年と2019年は、チェコ親善アンバサダーとして登壇してチェコの魅力をプレゼンテーションしましたが、今回は裏方のボランティアスタッフとして。昨年のチェコフェスはオンライン開催だったので、こうやってみんなに会えるのは2年ぶり。やっぱり、リアルに人の顔が見れるイベントは良いですね。

今回も、お読みいただきありがとうございました。
次号は10月29日(金)の配信。「東京散歩ぽ」の中川マナブさんです!

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「日曜アーティスト」を名乗って、くだらないことに本気で取り組みつつ、趣味の創作活動をしています。みんなで遊ぶと楽しいですよね。