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【Edge Rank 993】おもちゃの「かえっこ」ワークショップ【TOMAKI】

Edge Rankの今月のテーマが「かえる」ということで。自分の中で真っ先に思い浮かんだのが、このカエルのキャラクターが愛らしい「かえっこ」のプロジェクトですね。縁あって、ここ10年くらいワークショップコーナーの先生役をやらせてもらってます。つい先週も、子どもスタッフのための勉強会のお手伝いをしてきました。というわけで、今回はこの「かえっこ」について。

「かえっこ」とは

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「かえっこ」とは、現代アーティストであり、秋田公立美術大学教授でもある藤浩志さんが、2000年にご家族と始めたアートプロジェクトです。子どもたちが遊ばなくなったおもちゃを会場に持ってくる。そしてそれを「かえるポイント」に交換をして、他の子どもたちが持ち寄ったおもちゃたちと交換するという「かえっこ(交換すること)」をテーマにした体験型のイベントです。以来、日本だけでなく海外も含む1000か所以上で開催されています。

かえっこのワークショップコーナー

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私が最初にこの「かえっこ」のことを知ったのは、今からちょうど10年前、2012年夏のこと。この年、3331 Arts Chiyodaで藤さんの作品展と、このかえっこの企画が催され、そこに私は「かえっこワークショップ」の先生役として参加しました。そこで、会場に来た子どもたちに自由に会場の写真を撮ってもらい、「フォトウォール」をつくるというワークショップを行ったのがかえっこに参加するきっかけです。

最初に企画したのは、壁一面にかえっこのキャラクターでもある「カエル」のイラストを写真を使ってモザイクアートのように作成するというもの。ドット絵の要領で設計図も作成し、藤さんに提案しました。自分ではわりと自信のある企画でしたが、藤さんからは「もっと子どもたちが自由にのびのびと参加できるように工夫した方が良いよ」とアドバイスをいただきました。あらかじめ設計図があって、それに沿って写真を撮って貼っていくのは、どちらかというと「作業」に近く、子どもたちの創造性を活かすことができないという助言をいただき、企画の内容を見直しました。そして、子どもたちと一緒にのびのびと、設計図なしに自由なフォトウォールをつくることにしました。

子どもの目線で撮影した写真はどれも個性的で面白く、斜めであったりブレていたりなどもありつつ、大人では撮れないような写真がたくさん集まりました。自由に撮った写真を次々に壁に貼っていき、ワークショップは成功しました。

以来、年に数回のペースで、私はこの「かえっこ」のワークショップを担当しています。

ワークショップの先生役をした10年間

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とにかく、このかえっこには、おもちゃがたくさん集まります。そのおもちゃを使って、どのようなワークショップを組み立てるか。このアイデアを考えるのが毎回楽しかったです。

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2014年に開催した「絵にかいたおもちゃ」というワークショップは、シンプルにおもちゃの絵を描くというもの。「絵にかいた餅」は触れることができないけど、「絵にかいたおもちゃ」は実際に持って帰れるという企画です。「上手に描けたら、そのおもちゃを持って帰って良いよ」と言ったら、みんな真剣に絵を描いてました。絵に描いたおもちゃの実物がもらえるって、なんか魔法みたいで素敵でしょ?

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会場には、壊れたりして使えなくなったおもちゃなどもあります。そういったおもちゃを再利用して、アクセサリーをつくってみようというワークショップもやりました。小さな欠片をUVレジンで加工して、オリジナルのアクセサリーをつくってみました。指輪や、チャームなど。

ちなみに、藤さんは壊れたおもちゃの小さなカケラのことを「大吟醸」と呼んで、それも捨てずに大切に保管しています。ワークショップではそういったカケラも使って作品を制作しました。

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藤さんの最初の教え通り、子どもたちの自由な発想と創造力に任せて、ワークショップ自体は比較的シンプルなものをつくりつつ、いろいろカスタマイズなどができるように工夫しました。

A4サイズの紙を利用して、オリジナルの封筒をつくってみるというワークショップをやった時は、デコレーション用の画材やスタンプ、ステッカーやマスキングテープなどを大量に買ってきて、みんなが自由に使えるようにしました。テーブルの上にあるものは基本的に全部使い放題。子どもたちが集まってきて、それぞれ個性的な作品をたくさんつくっていきました。

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工作だけでなく、ゲーム的な企画もやりました。面白かったのは、おもちゃを使ったしりとりゲーム。通常、しりとりは前の人の言葉の最後の一文字をつなげていく形式ですが、この時は既に会場にある言葉のどれにつなげてもよいというルールにしました。かつ、シンプルな単語だけでなく長い文章もありにしました。さらに、「ん」がついても終わらないルールに。「んーと…」というような形で文章をつくり、そこからまた言葉をつなげていくなど。これもまた、自由なワークショップです。

会場にあるおもちゃを選び、しりとりの言葉を考え、それを紙に書いて紐でつなげていく。ワークショップコーナーで、つぎつぎといろんな言葉とおもちゃがつながっていきました。

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ここ最近やっているのは、おもちゃ箱をつくってみるというワークショップ。MDF材をレーザー加工機でカットしてパーツをつくり、割としっかりした箱をつくったり、あるいは紙を使って箱をつくることも。しっかり箱をつくったら、中におもちゃを入れて持ち帰ります。その箱をつくりながら、自分がつくっている箱の空間をイメージして、そこにどんなものが入るかを想像します。そして、会場からおもちゃを探してきて、そこに入るかどうか試してみるまでが、ワークショップです。そして、ちゃんとおもちゃが入ったら、そのおもちゃは持って帰ってOKです。

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10年前に、ちょっとしたきっかけではじめたこの工作ワークショップ。自分が教えるというよりは、みんなでつくってみよう!という感じで。私は場所と道具だけを提供して、あとは子どもたちが自由につくれるようにしてきました。一応やり方は教えますが、その通りにつくらなくてもよい。むしろ、説明を無視してどんどんオリジナルの作品をつくる子もいたりして。そういう自由な作品をつくるのは、大歓迎です。

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先週、8月11日に3331 Arts Chiyodaで開催された「かえるスタッフワークショップ」のお手伝いをしてきました。かえっこのイベントでスタッフをやってくれる子どもたちに、そのやり方を教えるという勉強会イベント。この勉強会に参加すると、かえっこの当日に「かえるスタッフ」としてイベント運営のお手伝いをすることができます。子どもを対象にしたスタッフ養成のワークショップは、9月3日と、11月5日にも開催されます。そして、3331 Arts Chiyodaで開催される次回のかえっこバザールは、11月23日の開催を予定しています。

楽しいですよ。

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今月のEdge Rank共通テーマは 「かえる」 です。お盆の月は、実家に帰る人も出てきますよね。魂が田舎にかえってくるかもしれません。魂が帰ってくるころの田舎では蛙が鳴いているかもしれません。そこで、漢字にとらわれない「かえる」を募集します。帰る・代える・買える・蛙。あなたの「かえる」は何ですか?
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編集後記

『独学大全』という本を読みました。友人から「この本、面白いよ」と教えられて、さっそく図書館で予約をしてみたのですが、びっくりするくらいたくさんの人たちが予約待ちをしていたので、だいぶ時間が経ってから忘れたころに順番が回ってきました。図書館で本を受け取った瞬間「なんだこの分厚さは!」と思って、まったく完読できる気がしなかったのですが読み始めてみたらするする読めて、3時間ほどで一気読みしました。独学に限らず、なにかを学ぶって楽しいよなぁと再確認。読書中に書いたブログ記事、こちらです。

今回も、お読みいただきありがとうございました。
次号は、「東京散歩ぽ」の中川マナブさんです!

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「日曜アーティスト」を名乗って、くだらないことに本気で取り組みつつ、趣味の創作活動をしています。みんなで遊ぶと楽しいですよね。