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ノミで木と対話する

心静かに、木と対話する。

「こうですか?」
「いえ、ちょっと違います」
「じゃぁ、こっち?」
「そっちも、間違いじゃないですけど……」
「あ、わかった!こんな感じですね」
「えぇ、そうです。そのまま、まっすぐに」
「はい!ありがとうございます」

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木には、節とか木目があって、きれいにノミで加工するには、そういった年輪の流れみたいなのを把握して、的確な方向に削る必要があるんですね。正しい向きで削ると、するりとノミが通る。逆向きに削ろうと知ると、木が逆立って「イヤイヤ」をしてくる感じ。ガツンと、変な方向に削ってしまうとまずいので、慎重に木の目を見極めつつ。

中学時代の、美術の授業で木彫をやった時のことを思い出しました。彫刻刀で、木と対話をしながら彫り進めていく。昔から、こういう作業にひたすら没頭するタチだったので。いつの間にかえらく細かいところまで彫り進めていたら、美術の先生に作品を気に入ってもらえて、地域の展覧会でなにがしかの賞をもらった思い出。そういう体験が、大学に入ってから突然アート学部に転部するというような行動に繋がっているのかも。大学でも、木工彫刻の作品もつくってました。

優美堂をアートコミュニティスペースとして再生するにあたって、構造を補強するための土台と柱をつくるということに。モルタルを流し、その上に鉄骨を設置し、1階から2階にかけてアーチ型の柱を組んでいく作業。一度組み上げてみたのですが、思ったよりもホゾの穴がきつかったので、「もうちょっとだけ大きくする」という作業をノミを使ってこつこつやりました。微妙な調整は、やっぱり人の手でやるのが良いみたい。たくさんあるホゾの穴を、ひとつひとつ人力で少しずつ広げていきました。

この日はほとんど丸一日、朝から夕方まで、ノミと玄翁を手にしてコツコツ木と対話をしていましたよ。


「日曜アーティスト」を名乗って、くだらないことに本気で取り組みつつ、趣味の創作活動をしています。みんなで遊ぶと楽しいですよね。