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【Edge Rank 894】あっという間の夏【TOMAKI】

夏が好きです。暑ければ暑いほど、嬉しくなる。だらだら汗をかきながら「ひゃー、あちぃなー」っていうのが幸せ。

今月のEdge Rankの共通テーマは「特別な夏」です。

■夏に思い出すこと

お盆とか、怪談とか、お化けとか。夏はなんとなく「」を連想させる。それはたぶん、僕の個人的な体験とも繋がっていて。小六の夏に、僕は少しだけ死を身近に感じるという経験をしたことがあるから。

そんなに込み入った話ではないのですが。ある日突然、肺を壊してしまいまして。小児気胸っていうらしいんですけどね。肺に穴が開いて、空気が漏れてしまう。胸腔に空気が溜まると、いくら横隔膜を広げても、ちっとも空気が入ってこなくなってしまう。必死に息を吸おうとしているのですが、全然呼吸ができなくて、床に落ちた金魚のようにただ口をパクパクするだけの状態が一晩続きました。

怖かったですよ。だって、息ができないのですもの。呼吸をする努力を止めたら、そこで試合終了。「死」って意外と身近にあるんだなと思いました。

夜中に発症し、翌朝何軒かの病院を巡ったあと、ちょっと離れた大きな病院に辿り着いて即入院。体内に漏れた空気が皮膚の下にグジュグジュと溜まっている感触がしばらくあって気持ち悪かったですが、一週間ほどで治って退院できました。病気自体は一過性のものでしたが、この、死と向き合った記憶はその後もずっと自分の意識の中に残りました。

メメント・モリ」っていう、ラテン語で「死を忘れるな」っていうあれ。終わりがあるからこそ、今を精一杯生きるっていうね。今しかできないことを思いっきり楽しもうと思うのです。

■今年も特別な夏でした

全ての夏は、僕にとって「特別な夏」ですが、その中でも今年の夏は特に印象に残る忘れられない夏でしたね。

スポーツが好きなので、東京オリンピックも楽しみにはしていたのですが。結局競技をテレビやネット配信で見ることができたのは、せいぜい20分程度。

何をしていたかというと、平日はまぁ普通に仕事をしていましたが、週末をフルに使いつつ、さらに細切れに夏休みをあちらこちらで使いつつ、東京ビエンナーレをひたすら堪能していました。

昨年の夏から、東京ビエンナーレのプロジェクトのひとつ「優美堂」という元額縁屋さんの建物を活用したコミュニティー アート スペースの立ち上げに参加し、汗とホコリとペンキや木くずでドロドロになりながらほぼ毎週末作業をしていました。7月10日に東京ビエンナーレがオープンしてからも優美堂の施工作業を手伝ったり、あるいは街歩きのワークショップを主催したり、作品展示のキュレーション的な活動も体験させてもらったりしていました。他にも、神田川でタイムレースをする「天馬船」というミニチュアの木製の船に柿渋を塗るボランティアをしたり、藤浩志さんの「kaekko Expo.」では広い体育館スペースにひたすらおもちゃをならべるというお手伝いをしたり。50か所以上(70か所くらい?)もある東京ビエンナーレの作品展示も、30か所くらいは見に行きました。

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昨年の8月から、額縁の搬出、壁・床・天井の解体、壁の施工とペンキ塗りなど、みんなでつくりあげてきた元額縁屋さんの優美堂。7月10日に、アート コミュニティー スペースとして生まれ変わりました。

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木製のミニチュア船が神田川を下る、「天馬船プロジェクト」。一人千円で一艘の命名権を獲得して、タイムレースに参加することができます。9月5日の開催に向けて、防水・防腐性能を高めるために柿渋塗りのお手伝いをしました。

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3331 Arts Chiyodaの体育館スペースで、ひたすらおもちゃを並べるお手伝い。2012年から、藤浩志さんの「かえっこ」の企画には参加させていただいていて、キッズ向けの工作ワークショップの先生などをやらせてもらってました。今回は、「kaekko Expo.」と題して、過去20年以上にもわたるかえっこの歴史を振り返る展示もあります。

僕は、学生時代はひたすらアートを学んでいました。陶芸彫刻を専攻していましたが、卒業後は写真の仕事から、Web制作の道に。ここ10年ほどは、デジタルマーケティングのプロジェクトマネージャーとして、平日は普通に仕事をしています。その一方で、個人的な活動としてずっと「日曜アーティスト」を名乗り、趣味の創作活動を続けてきました。何かをつくるのが好きなので、アートは自分の性に合っているんです。

今年の夏は、こうして東京ビエンナーレの舞台裏をのぞき見しながら、思う存分いろんな工具の使い方を覚えながら、施工やボランティアの作業ができてとても楽しかったです。

学生時代に手掛けた最後のアート企画が、Wall Worksっていう、ギャラリースペースの壁面を使ったインスタレーション作品の展示でした。展示が終わって、壁を原状復帰するために真っ白に塗ったのが、大学生活最後の記憶。

そして今年の夏は、優美堂のギャラリースペースを白く塗りながら、ようやく24年前の続きを再開できたような感覚です。ずっと止まっていた時計が再び動き出したかのような。

9月4日と5日、東京ビエンナーレの終わりに向けて、優美堂で壁画を描かせてもらう予定です。どんな作品になるか。いまからわくわくしています。

今年の、僕の特別な夏は、まだもうちょっと続きます。

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今月のテーマは「特別な夏」です。例年とまったく違う2021年の夏。ともすればちょっと外出するのも大変な8月になってしまっています。そんな特別な夏を、みなさんはどんな風に過ごしていますか?過ごそうとしていますか?教えてください!
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■編集後記

富士山の看板建築が目を引く「優美堂」。この富士山を起点として、神田周辺の「山」をめぐる登らない山登りのツアーを主催しました。富士山の石や、バーチャル神田山、軍艦山と獅子山を巡りつつ。三つの橋(+幻の橋)に加え、東京ビエンナーレの見どころも紹介するという街歩きワークショップ。検温・消毒・マスク・ソーシャルディスタンスに加え、Notionで「遠足のしおり」をつくってスマホで見られるようにすることで、スポットの解説を手元で見られるように工夫しました。久しぶりの街歩き主催、やっぱり楽しいです。

今回も、お読みいただきありがとうございました。
次号は8月27日(金)の配信。「東京散歩ぽ」の中川マナブさんです!

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「日曜アーティスト」を名乗って、くだらないことに本気で取り組みつつ、趣味の創作活動をしています。みんなで遊ぶと楽しいですよね。