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アーバンアルピニストの登らない山登り(2024年1月~3月)後編

「登らない山登り」を活動のコンセプトとするアーバンアルピニストの私、前田とまきが、地図に載るほどでもない低い山や、山がつく地名、古墳や屋上など、都会の山らしからぬ「山」をご紹介します。

前編では、2024年1月から3月に訪れた、富士塚や富士講に関連するスポットを18か所ご紹介しました。

この後編では、富士塚や富士講以外のスポットを23か所ご紹介します。公園や庭園の中にある築山や、都内にある屋上空間など。和歌山や、埼玉県の長瀞へも訪れつつ、いずれもほぼ登ることなく登頂できる、都会を中心とした山登りスポットです。

公園・庭園・屋上など

青山一丁目

オフィス

私がおそらく、人生で最も多く訪れている「山」は、この「青山」だと思います。もちろん、地図上の正式な山ではなく、単なる地名ですが。オフィスがここにあるので、コロナ禍前はほぼ毎日。現在も、週に3回は通っています。

青山一丁目駅から直結の、青山ツインビル。住所は、青山1丁目1-1です。このオフィスで働くようになって、もう12年目になります。その間、2年間六本木に出向したり、また2年間品川へ出向したりなどもしてきましたが、ずっとこの青山の会社の社員として仕事をしています。

登らない山登りの、グラウンドゼロ。

新青山ビル
東京都港区南青山1丁目1−1

日比谷公園(つつじ山、三笠山)

訪問日:2024年1月2日

昨年、2023年7月に、日比谷公園を「パブリックアート」をテーマに歩くというイベントを開催しました。友人たちを誘って、「パブリックアート入門」という本を執筆した浦島茂世さんと一緒に日比谷公園を歩くというもの。日比谷図書文化館の会議室を借りて、座学と散歩を組み合わせた個人主催のイベントです。

その下見とリサーチを兼ねて、イベント前にだいぶ何度もこの日比谷公園を訪れました。公園内にある、「つつじ山」や「三笠山」にも何度も登りました。もちろん、本物の山ではなく、あくまで庭園内の盛り土なんですけどね。「登らない山登り」を標榜するアーバンアルピニストの私にとっては、チャレンジするのにちょうどよい築山です。

日比谷公園(つつじ山、三笠山)
〒100-0012 東京都千代田区日比谷公園1-6

国立科学博物館 屋上ハーブガーデン

訪問日:2024年1月3日

年間パスポートの「リピーターズパス」を購入するほど私が大好きな、国立科学博物館。ここの屋上にある「屋上ハーブガーデン」と「スカイデッキ」は、都会で山登りごっこをするアーバンアルピニストにとっておすすめのスポットです。ウッドデッキやベンチなどがあり、飲食も可能。ハーブの香りの中、空を見上げながら休憩するのはぜいたくな時間です。

国立科学博物館 屋上ハーブガーデン
〒110-8718 東京都台東区上野公園7-20

摺鉢山古墳

訪問日:2024年1月3日

上野のお山として親しまれている上野公園にある、摺鉢山古墳。山 on 山という、二重に登らない山登りが楽しめます。

南側の西郷隆盛像に向かう石段から登っていくのもよいですが、さくらテラスの脇からエレベーターで一気に上まで行くこともできます。

摺鉢山があるのは、正岡子規記念球場の隣。昔はここに円墳群がいくつもあったそうですが、今はこの前方後円墳が残るのみです。

頂上に登っても、とくになにがあるというわけでもないですが。街灯がひとつと、それを囲うようにベンチ代わりの石が横たわっています。早朝に訪れると、酔い覚ましをしている徹夜飲みのサラリーマンや、段ボールで寝ている人などがいることも。

上野に来たときは、よくここに立ち寄ります。

摺鉢山古墳
〒110-0007 東京都台東区上野公園5-20

六義園

訪問日:2024年1月4日

入場料一般300円で堪能できる、都会の中の静謐な日本庭園。1月に、都内近郊の美術館・博物館・庭園のチケットや割引券をまとめた「ぐるっとパス」を購入した際に、真っ先にこの庭園を訪れました。

紀州・和歌山の地形を模した庭園の造作がある中に、「藤代峠」という人口の築山があり、ここから昔は富士山が見えたそうです。この場所もまた、ほぼ登らずに登頂することができる都会の山登りスポットです。

この藤代峠のモデルとなった、和歌山県海南市にある、熊野古道の入り口のひとつでもある「藤白坂」に、この後夫婦で訪れました。

六義園
〒113-0021 東京都文京区本駒込6丁目16−3

飛鳥山

訪問日:2024年1月4日

標高わずか25.4メートルの飛鳥山。かたつむりのような形をした「アスカルゴ」という名のモノレールであっさり登れます。まさに、アーバンアルピニストの登らない山登りにぴったりのスポット。目の前の明治通りを路面電車が走る姿を見下ろすことができます。

もともとは、将軍徳川吉宗が享保の改革の一環として造った公園とのこと。その後、渋沢栄一がここに邸宅を構えたことから、新1万円札のブームにのっかってあちこちに幟や看板などができていますね。

公園には、SLや路面電車が置かれていたり、飛鳥山古墳群があったりなど、ちょっと変わった見どころも多いです。私は「紙の博物館」が好きで、そこに何度か訪れています。

飛鳥山
〒114-0002 東京都北区王子1丁目1-3

清澄庭園(富士山)

訪問日:2024年1月7日

江東区清澄にある都立の庭園、「清澄庭園」。意外と都内には、こうした庭園が残っているのですね。大名屋敷から財閥の敷地、そして公共の公園へと、江戸から東京への歴史を感じつつ。

「富士山」を模した築山があります。「秩父青石」や、「長瀞」といった、私の地元に縁があるものも。

清澄庭園(富士山)
〒135-0024 東京都江東区清澄3丁目3-9

軍艦山

訪問日:2024年1月13日

千代田線の御茶ノ水駅から神田小川町の優美堂へ向かうとき、よくこの「軍艦山」に立ち寄ります。ここから、ニコライ堂がよく見えます。

軍艦山
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台4丁目

浜離宮(富士見山)

訪問日:2024年1月21日

隅田川をボートでクルージングする際、よくここの桜を水上から眺めていましたが、中に入ったのはこの時が初めて。ちょうどガイドツアーが始まるということなので、参加してみました。雨の日だったせいか、参加者は私ひとりだけ。おかげで、ガイドの方とゆっくり庭園内を話をしながら巡ることができました。

品川の鯨塚の話をしたら、偶然この場所とつながりがあることを知って驚きました。そうか、品川に流れ着いた鯨を徳川家光将軍が見たというのは、ここに船で運んできてだったのか。なんとなく、江戸の町を陸路で運んだと想像していたが、海から直接引っ張ってきた方が確かに現実的ですよね。

ガイドツアーのあと、ひとりでぐるりと庭園を歩き、富士見山に登りました。いつの間にか、雨はあがっていました。

浜離宮(富士見山)
〒104-0046 東京都中央区浜離宮庭園1-1

高野山 金剛峯寺奥之院

訪問日:2024年1月26日

和歌山へ旅をして、「高野山」へ。飛行機と電車、ケーブルカー、バスを乗り継ぎ、自宅を出てから8時間後に到着。着いた時には降っていた雪も、奥の宮に近づいていくと晴れ間が見えてきて、雲間の青空と、陽光に照らされた雪の高野山が美しかった。日本屈指のパワースポットだというのも、納得です。

高野山 金剛峯寺奥之院
〒648-0294 和歌山県伊都郡高野町高野山550

熊野古道(藤白坂)

訪問日:2024年1月27日

熊野古道というのは一本の道ではなく、熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)と呼ばれる紀伊山地のみっつの霊場に向かうための、複数のルートのことだということを今回和歌山旅行をするにあたって初めて知りました。なんとなく、屋久島の屋久杉へのハイキングコースのような一本道を想像していたのですが、実際はそうではなく、紀伊路、小辺路、中辺路、大辺路、伊勢路、大峯奥駈道という大きく6つのコースがあるのです。

「六義園」の藤代峠に登ったというご縁で、海南市の藤白坂を訪れてみることにする。熊野古道の北の入り口付近なのです。

海南駅を降りると、さっそく熊野古道についての看板であったり、ルートを示す標識などがあるので、それに沿って歩いていきました。途中、「王子」と呼ばれる摂社にもいくつか立ち寄りつつ藤白神社に参拝。少しだけ歩いて引き返したが、実際の熊野古道はこの先ずっと熊野三社まで続いているのですよね。今回は、ちょっとだけその入り口を歩きました。

熊野古道(藤白坂)
〒642-0034 和歌山県海南市藤白

高野山 東京別院

訪問日:2024年1月28日

和歌山の高野山を訪れたので、東京に戻ってきてからこちらの別院にも訪れてみました。我々が訪れた奥之院から570km、ここにある灯籠まで徒歩で火が運ばれたらしい。すごいですね。

高野山 東京別院
〒108-0074 東京都港区高輪3丁目15-18

亀塚公園

訪問日:2024年1月28日

三田にある、亀塚を訪れました。以前にも何度かここには来ていますが。公園の中にある、小山です。古墳だとも言われているそうですが、まだはっきりとは分かってないらしいです。ひたすらテンションの高い子供たちが、元気に走り回っていました。

亀塚公園
〒108-0073 東京都港区三田4丁目17-20

猿楽塚

訪問日:2024年2月3日

代官山に登れる古墳があるっていうと、びっくりされます。私も、この近くで仕事をしていたことがあり、この前の通りを何度も通っていたのですが、ずいぶんと後になってからこの古墳の存在を知って、驚きました。代官山猿楽町の町名の由来にもなった「猿楽塚」です。現存する、渋谷区内唯一の高塚古墳らしいですね。渋谷区指定文化財にもなっています。

猿楽塚
〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町29-9

小石川後楽園(小廬山 )

訪問日:2024年2月4日

「小石川後楽園」に初めて訪れました。後楽園球場が東京ドームとなり、後楽園遊園地も東京ドームシティアトラクションズになった現在、後楽園の名が残るのはこの庭園と駅名くらい。この小石川後楽園もまた、江戸時代の大名屋敷の敷地から東京の公園になった流れですね。江戸の大名庭園として現存する最古の庭園らしいです。

回遊式築山泉水庭園ということで、敷地の中に山や川などを模したつくりとなっています。中国の廬山をイメージしてつくられた築山「小廬山」があります。

小石川後楽園(小廬山 )
〒112-0004 東京都文京区後楽1丁目6-6

目黒天空庭園

訪問日:2024年2月10日

渋谷で「パン人間」という現代アートのパフォーマンスに参加した後、目黒天空庭園へ立ち寄ってみました。ここは、中央環状線の大橋ジャンクションに重ねる形でつくられた屋上庭園。ジャンクションがゆるやかなループ状の坂になってるので、この公園もぐるりと坂になってる。不思議な天空の庭園です。

先程まで、顔面をぐるぐる巻きにしていたパンのひとつをお土産にもらったので、それをカバンから出して景色と一緒に撮影してみました。

折元立身さんのサイン入り「パン人間」のパン

目黒天空庭園
〒153-0044 東京都目黒区大橋1丁目9−2

代官山と西郷山公園

訪問日:2024年2月21日

千代田区外神田にあるアートギャラリー、「PARK GALLERY」で開催されていた岩手在住の写真家・三輪卓護さんによる作品展『Dilute』の企画のひとつとして、会期中に撮影させてくれる方を募集していると聞いて、手を挙げてみました。

「自分の心が戻るような気がする」場所についてのエピソードとともに応募をするということで、私は「3331 Arts Chiyoda」と「渋谷の地下道」のエピソードをお伝えしました。

結果、選ばれたのは渋谷の方。というわけで、FabCafeを待ち合わせ場所に指定して、そこで「はじめまして」のご挨拶。渋谷から、代官山にかけて、お話をしながら撮影をしながら、小雨が降る中を歩きました。

2003年に、私はこの渋谷の地下道でゲリラ的な写真展を行いました。当時、Instagramが生まれる前に流行っていたFotologという海外の写真投稿サービスにアップした写真をプリントして、小さなパネルにしたものを展示。しばし眺めて、撤収するというシンプルなものでしたが。当時、日曜アーティストとして週末の創作活動を本格的に始めようとしていた頃。「アンダーグラウンド」というその展示空間も、当時の作品や気持ちにぴったりでした。

そんなことを三輪さんに話しつつ、西郷山や、猿楽塚などの「登らない山登り」スポットも紹介しつつ、代官山まで歩きました。

三輪さんに撮ってもらった写真

西郷山公園
〒153-0042 東京都目黒区青葉台2丁目10-28

八ツ山公園

訪問日:2024年2月21日

品川の「八ツ山」へ。ここから少し離れたところに、初代ゴジラが映画の中で初めて上陸したという八ツ山橋があります。このどこかに、「八ツ山富士」という富士塚があったようなのだが、今は取り壊されてしまったのか、どこにも見当たらない。この豊川稲荷堂の付近に「八ツ山公園」と「東八ツ山公園」があります。歩道との境界あたりに、「これは、溶岩石じゃないか?」っていうものもあったりするので、以前この近くに富士塚があったのかもしれないですね。とりあえず、「八ツ山」という地名が残る、登らない山登り。

八ツ山公園
〒140-0001 東京都品川区北品川1丁目14-7

がすてなーに ガスの科学館 屋上ひろば

こんなところに、豊洲を見渡せる屋上空間があったとは。東京ガスが運営する、ガスの科学館「がすてなーに」は、子供も楽しく学べる施設。小雨が降る中、子供たちが元気に走り回ってました。

がすてなーに ガスの科学館
〒135-0061 東京都江東区豊洲6丁目1−1

神田明神(獅子山)

訪問日:2024年2月29日

雨が降る日の夜、神田明神へ。参拝して目を閉じていると、ジャケットに雨が当たる音が聞こえました。
ここには、「獅子山」という石と水のモニュメントがあります。獅子が我が子を谷底に突き落として、試練を与えるというというこのモチーフは、能の出し物『石橋(しゃっきょう)』が元になっているとのこと。「可愛い子には旅をさせろ」のハード版といったところでしょうか。この獅子の像たちは、江戸時代の名工石切藤兵衛(別名・油売藤兵衛)によるものです。一度壊れて、仔獅子も紛失したが、再建されました。

昨年、モチベーションメーカーのまち歩きスケッチの企画にボランティアスタッフとして参加したときに、ここを訪れて絵を描きました。

神田明神(獅子山)
〒101-0021 東京都千代田区外神田2丁目16-2

宝登山

訪問日:2024年3月2日

宝が登る山と書いて、宝登山(ほどさん)。長瀞駅から坂を上り、中腹には宝登山神社、山頂に奥宮があります。縁起の良い名前なので、籤運を上げたい人などがよく参拝しているそうですよ。ちなみに、私は5歳から高校まで長瀞町に住んでいたので、いわば地元の山なのです。ロープウェイがあるのですが、元気に徒歩で登ることが多く、今回も宝登山神社から奥宮、頂上へと、歩いて登りました。

普段はほぼ登らずに登頂する登山ばかりですが、今年は少し、登る方の登山もしてみようかと。夏に、富士山にチャレンジするのが目標です。

宝登山神社(宝登山)
〒369-1305 埼玉県秩父郡長瀞町長瀞1828

愛宕神社(愛宕山)

訪問日:2024年3月3日

しばらくぶりに来てみたら、愛宕神社がきれいになってました。ここは、出世の石段と呼ばれる階段で登れますが、少し脇に行くとエレベーターもあって、登らずに登頂することもできます。

以前は、ひっそりと隠れるように設置されていた三角点が、現在はしっかり目立つように置かれています。几号点水準点もどこかにあったはずなのだが、この日は見つけられず。

だいぶ変わりましたね。

愛宕神社(愛宕山)
〒105-0002 東京都港区愛宕1丁目5-3

歌舞伎座屋上庭園

訪問日:2024年3月16日

歌舞伎座の屋上に、ちょっとした休憩に便利な庭園があります。アーバンアルピニストとしては、こういった屋上空間も、登らない山登りの絶好スポットです。

屋上に関しては、「屋上区(旧屋上アルプス)」というグループがあり、たまに私もそちらのイベントにも参加しています。都会の屋上空間も、おもしろいですね。

歌舞伎座屋上庭園
〒104-0061 東京都中央区銀座4丁目12

まとめ

というわけで、前半18スポット、後半23スポットの、合計31のアーバンアルピニストおすすめのスポットをご紹介しました。ほぼ登らずに登れる山であったり、屋上や富士塚、山がつく地名など、山登りごっこに最適な場所がたくさんあります。あなたならではの、都会の山スポットをぜひ見つけてみてください。


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散歩や登らない山登りの情報など

「アーバンアルピニスト」として、なるべく登らないことを目標に、都内でほぼ平らな山に登り続けています。散歩が好きです。

「日曜アーティスト」を名乗って、くだらないことに本気で取り組みつつ、趣味の創作活動をしています。みんなで遊ぶと楽しいですよね。