傀儡

深夜、僕はスマホのアラームで目が覚める。
「出発の時間か。」
僕はそうつぶやきトラックから降りると、サービスエリアにある自販機から1本、コーヒーを買う。

小気味よい音と共に開く缶とは裏腹に、僕の気分は雨模様だ。

缶を捨ててからもう1缶買って出発しようと考え、その場でちびちび缶コーヒーを飲む。

ふと、目の前を太ったリーマンが横切り、コーラを買っていった。

ここで僕の悪癖が顔を出す。

僕の缶コーヒーが110円
彼のコーラが170円

つまり飲み物1つ当たり140円と仮定して10分に1本売れる計算。

1時間で840円。

実働24時間だから

一日で20,160円。2万円とちょっと。

一日の電気代が3000円。

一日でだいたい17000円。

それが365日あるから、

年収6,205,000円。600万円とちょっと。

20で就職して定年まで40年として

248,200,000円。すなわち2億5000万。

サラリーマンの生涯年収が2.7億。

つまり俺のこの仕事はこんな自販機1台よりも価値が無い訳だ。

つまり俺のこの人生はこんな自販機1台よりも価値が無い訳だ。

あぁ。また僕の悪い癖だ。

考えても仕方の無いことは考えるな。

手元を覗くとコーヒーを飲み終わっていることに気づく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?