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附属校の劣等生の指導は個別の短期で

 大学附属校で成績が慢性的に低迷している生徒は多くいます。学校のフォローが当然必要ですので個別指導を依頼することになります。私立の中高ですので集団塾では対策になりませんし、まず付いていけません。個別一択です。

 個別指導の選択には大きく2つあります。

1.個別指導塾の教室に通わせる
2.家庭教師を付ける

 附属校の生徒の指導は定期試験対策が中心になりますので、試験前に振り替え授業や追加授業を組みたいという要望はかなり強いと思います。そのとき、特定の講師を付けている場合はその先生の都合が付かなければ出来ないのに対し、教室指導であればその時手の空いている講師に見てもらうことも不可能ではありません。とくに1:2以上の複数指導の個別指導塾では、片手が空いている講師が結構いますので、臨時に対応してもらえると思います。懸念としてはいつもの先生ではなくなってしまうため、先生が十分に状況を把握してくれるとは限らない点です。また、個別指導塾の講師は大半が大学生のアルバイトですから、経験も浅く、劣等生の指導には生徒に大きな不満を抱かせるケースも少なくありません。それでも試験直前の勉強をどうしても一人では出来ない生徒の場合は、教室に通わせるのは有力な選択肢になります。

 家庭教師を付ける場合はそれほど自由に振り替え授業は出来ません。家庭教師は曜日を固定して仕事を組んでいますので、イレギュラーな授業に対応できるスケジュールの余裕はあまりありません。また、試験前の振り替え授業のニーズはどこの家庭にもありますので、特定の生徒ばかりを贔屓にするわけにもいきません。試験前の振り替え授業は一律に1回まで、もしくはまったく対応しないというのが公平なところでしょう。
 しかし特定の家庭教師を付けるメリットはやはり大きいです。劣等生には様々な困難な事情があります。まず勉強する能力が致命的に低いことです。それが根本原因ですが、そこから派生してモチベーションの低下や問題行動なども起こります。また、親子間のコミュニケーションにも困難を抱えているケースが少なくありません。そのような個別の困難を理解した上で接してくれる家庭教師は非常にありがたい存在になるでしょう。また、個別指導塾などの経験の浅い学生講師では心無いことを言われて傷ついてしまうケースもありますので、経験豊富な社会人講師に依頼することが多いようです。

 さて、そこで本題に入りますが、附属校の劣等生を個別指導する場合、長期指導をすべきか、それとも短期指導をすべきか。この点を考えていきたいと思います。一般的には個別指導は長期指導のほうが望ましいと思われているでしょう。しかし私は、生徒によっては逆に短期指導のほうが良い場合があると考えています。その典型的なパターンが附属校の劣等生なのです。

 最初にはっきり申し上げますが、附属校の劣等生の指導は、いくら長期指導をしても成績は上がりません。進級・進学も結局出来ないかもしれません。焼石に水だと思ってください。そのうえで、長期指導と短期指導のどちらがよりマシか、という話です。

 保護者の意思は当然、附属校のレールにしがみつき、無理やりにでも大学卒業まで漕ぎつけたいという一心です。一方子どものほうは本心では大学になど行きたくない。勉強はもうコリゴリ。一日も早く勉強から解放されたいと思っています。大学でやりたいこともなく、勉強したいこともなく、興味のあることもありません。自分には勉強の才能がないことも百も承知しており、大学に行っても何ら学問を身に着けることはできないと思っています。かといって親の敷いたレールを拒否して自分の責任で生きていくほどの自立心もなく、自分の人生を真剣に考えているわけでもないので、ただ詰まらなさそうに一応レールに乗っているわけです。ですからモチベーションがあるはずもなく、サボれるだけサボろうとします。勉強はサボったほうが得だと考えています。
 そもそも、根本的なところで矛盾があるのです。大学に行くための資質もなく、その意志もない子どもがいたら、普通は大学など行かせないはずです。本人の適性で出来そうな仕事を一緒に考えて、専門学校にでも進学させるのが普通の保護者だと思います。そこが附属校に通わせる親は狂っています。とにかくレールに乗せていたいだけで、思考停止になっています。思考停止している親に逆らえない子どもも当然思考停止に陥ります。附属校の劣等生の家庭とはたいていそんな感じです。どこも似たようなものです。

 私が長期の指導をすべきではないと言うのは、生徒のためというより講師のためです。根本的な矛盾を覆い隠している家庭で指導しようとしても、まともな指導はまず通りません。指導が長期化すればするほど講師は煮詰まってしまいます。打つ手がなくなってしまうのです。長期の指導をして見えてくるのは、根本的な矛盾の深さだけです。だから短期契約のほうが講師にとって望ましいのです。そうすればウンザリする前に辞めることができます。
 家庭にとっては不満かもしれませんが、そもそもまともではない無理な要求をしていることを自覚してください。そういう家庭にはそれ相応のサービスが与えられることになります。指導しないとは言っていません。数か月単位の短期間で講師が交代しながら面倒を見ると言っているだけです。

 家庭教師派遣会社としても悩ましいところだと思いますが、このタイプの家庭については短期契約で繋いでいく運営をしてほしいと思います。それが現実的な妥協点です。会社によっては劣等生指導にかなり高い料金を設定しているところもあります。しっかり料金を頂戴するのも大切なことです。

 以上です。


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