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常温可能保存牛乳はなぜ常温保存可能なのか?【危険?薬品?】

中国にきて、常温保存可能な牛乳(常温牛乳)をよく見るようになりました。

中国の常温保存可能牛乳
中国の常温保存可能牛乳

  中国はまだまだ冷蔵物流が全国に行き届いていない、という事情があり、常温牛乳はとても便利なんですね。 最近でこそ都市部では「冷蔵保存」の牛乳を多く見るようになってきました。ただし中国全土で見ると、未だに8割近くの国民が常温牛乳を飲んでいるそうです。 あるとき、同じく中国で働いている方から質問を受けました。なんで牛乳なのに常温保存可能なの?怪しくない?変な薬品とか入れているんじゃないの?たしかに日本は”冷蔵保存”の牛乳が主流なので、こういう心配も出てくるのかもしれません。そこで本記事では、常温牛乳はなぜ常温保存可能なのか?ということについて説明をしていきます。

結論は”全く問題無し!”

常温牛乳の原料の欄を見ると、「牛乳」としか書いていません。 いや、こっそり薬品いれてるんでしょ?と思うかもしれませんが、入れていません。本当に牛乳だけです。   

なぜ常温保存可能なのか?

ではなぜ常温で数ヶ月も置いておけるのか?という疑問が出てきますよね。それは細菌が関係しています。

牛乳と細菌
牛乳と細菌

殺菌と滅菌の違い

殺菌と滅菌は似たような言葉ですが、厳密にいうと違うものです。

  • 殺菌:食品などに含まれている細菌の大部分を殺す(⇒ 冷蔵牛乳)

  • 滅菌:食品などに含まれている細菌をすべて殺す(⇒ 常温牛乳)

冷蔵牛乳は”細菌が残っている可能性がある”という点がポイントです。「えー、そんなの気持ち悪くて飲めない」と思う方もいるかもしれませんが、世の中の大半の飲食物は細菌が含まれているので、気にすることはありません。 細菌は30~35℃くらいで活発に活動するものが多いので、冷蔵で保管することによって細菌の活動をおさえています。 それでも賞味期限はだいたい2~3週間くらいですよね?それはやっぱり細菌が残っているので、何か月も保管はできない、ということです。冷蔵牛乳は細菌がいる可能性があるので、常温での保管は絶対にNGです。
一方で、常温牛乳は滅菌処理がされています。細菌がいないので、常温で保管していても一向に腐らない、ということです。殺菌と滅菌の違いは、加熱する温度と時間の違いです。滅菌のほうが、温度が高く、時間も長いです。  

容器にも違いがある

容器にも工夫がされています。観察すると分かりやすいのですが、常温牛乳のほうが容器が硬いです。 なぜ硬いかというと、常温牛乳の容器にはアルミの層が織り込まれているからです。冷蔵牛乳の容器はポリエチレンと紙で構成されていますが、これにアルミ層を追加したものが常温牛乳です。 このアルミの層が容器の内側と外側を完全に隔ててくれているので、外から細菌が入ってくる心配がないんですね。自治体により分別の仕方も異なるので注意してみてください。

全部常温牛乳でいい説ってないの?

ここまで常温牛乳の利点ばかり説明をしてきたので、それだったら全部常温牛乳でいいんじゃないか?という疑問も生まれてきます。 でも世の中がそうなっていない、ということは、常温牛乳にもデメリットがある、ということです。それは・・・ 味が悪い ということです。 加熱の温度が高く時間も長いため、独特の香りがついてしまいます。どんどん”フレッシュな味わい”から遠ざかっていきます。 ただしこれも個人の好みがあり、僕は結構嫌いじゃないんですが、やっぱり嫌がる人のほうが多い、ということです。  

常温牛乳の使用時の注意点

”細菌がいないから常温保存可能” ですので、細菌が1個でも入ってしまったら常温保存はできません。つまり開栓したら使い切るまでの間は、必ず冷蔵庫で保管するようにしてください。すぐ腐りますよ!!

まとめ:常温と冷蔵をうまく使い分けよう!!

「牛乳」を題材にして説明をしてきましたが、世の中の常温保存が可能な食品は、ほとんどが同じ原理です。缶詰・レトルト商品・缶ジュースなどなど・・・常温の牛乳について味が劣ると書きましたが、災害などの非常時用にはちょうどいいですよね。同じように生のサバは保管しておけないですが、缶詰のサバの味噌煮は数年の賞味期限があります。 常温と冷蔵の食品をうまく使い分けて、賢く暮らしていきたいですね。

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