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ノーリードとドッグラン

犬の飼い主にとっての必需品の一つに「リード」”Lead”があります。「リード」とは犬の行動を制限する引き綱のことを指し、英語では一般的に「リーシュ」”Leash”と言います。因みに、この「リーシュ」という単語には「引き綱に繋ぐ」という動詞もあります。 また、「リード」の動詞は「引き綱に繋ぐ」というよりは「(引き綱に繋いで)導く、連れて行く」の意味(要するに「リードする」ということ)になります。

では、「リード」というのは和製英語なのでしょうか。違います。引き綱を「リード」と呼ぶのも正しい英語表現です。厳密に言うと「リーシュ」は持ち手と反対の端が首輪やハーネスに掛けるようになっている引き綱で、「リード」は片端が輪のようになっていて、犬に掛けて制御する紐を意味するようですが、両者はほとんど同義に用いられているようです。(一説にはイギリスでは「リード」と言い、アメリカでは「リーシュ」ということになっていますが、そこまで顕著な差はないように思います)

「リーシュ」
「リード」のこと。伸縮性のものもあります
「リード」
Rope Dog Slip Lead (Dogs & Co.) 


この「リード」ですが飼い犬を散歩させるには欠かせないものです。犬を「リード」を外した状態にしておくことを「ノーリード」”No Lead”と言っていますが、これは和製英語です。正しく「オフリーシュ」”Off Leash”と言います。

日本では、一部の例外を除き、公共の場所では飼い犬をリードに繋がなければなりません。いわゆる「ノーリード」は原則禁止となっています

都立公園内の「ノーリード」禁止看板
併記されている英語は "Dogs must be leashed"


「ノーリード」禁止ポスター
「No ノーリード」の表現が「My マイナンバーカード」のような...


しかし、何の制限もなく「ノーリード」で愛犬を思い切り走らせてやりたいという願望は、どの犬の飼い主も皆、共通に持っています。それを叶えられるのが「ドッグラン」”Dog Run”と呼ばれる所です。隔離されたスペースである「ドッグラン」は、公園などの屋外から室内までさまざまな形態があり、そこは飼い犬を「ノーリード」で放牧できる運動不足解消の場であったり、他の犬との交流の場であったりと、飼い主によってさまざまな目的で利用されています。

「ドッグラン」
新舞子マリンパーク (愛知県知多市)

この「ドッグラン」”Dog Run” という表現ですが、ずばり言うと和製英語です。「ラン」“Run”には「家畜を飼養する囲い」の意味があります(養鶏場は「チキンラン」”Chicken Run”と言います)ので、この「ドッグラン」は英語では「(家畜である)犬の飼養場」、つまり「ブリーダーが繁殖目的で犬を飼育する囲い」というイメージになります。私たちが呼んでいる「ドッグラン」とは、似て非なるモノになってしまうのがお分かりいただけると思います。

それでは犬の飼い主たちが利用している「ドッグラン」の正しい英語表現は何でしょうか。それは「オフリーシュ・ドッグパーク」”Off-leash Dog Park”です。「リードを外した犬の公園」という意味で、まさしく私たちが言うところの「ドッグラン」のことですね。

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