八咫烏

 東京に住んで4年が経とうとしてる。
年々何もしないでボーッとする事にストレスを感じるようになってるなと思う事が増えてきた。
あーーもう何もする気が起きない気分に押しつぶされて寝て動けないのは別にしてね。

 数年前に知った玉置神社と言う場所。呼ばれないと行けない場所。旅行計画を立てても用事が入ったり、悪天候で行けなくなるというらしい…。自分の場合は行きたいなーの気持ちから全く前に進まず数年が経っていた。
正直に言うと、私生活の人間関係が空回り状態でもうしんどいし、現実に現実観を感じない瞬間がでてくるようなって、もうわけかわからない状態で日々をこなしていた。

 たまたまなのか、数年ぶりに大学時代の先輩からバースディメッセージが届いた。
 たまたまなのか、その先輩は玉置神社のある十津川村に住んでいて、民宿を親が経営していた。
計画があったわけではなかったが、すぐに東京からの行き方をきいて、今週か来週に行きますとメッセージした。呼ばれているとかわからなかったが、直感で決めた。
金曜の夜行バス出発だったので、仕事を定時で終わらせて帰宅すれば、用意の時間も含めても余裕だった。
金曜の朝、カラスが何羽も集まり鳴いていてうるさかった。幸先悪いな…。
 とはいえ、仕事もスムーズに終わり帰宅。余裕のはずが気づけば、ギリギリの時間。最寄り駅に着くが、遅延で電車が来ない。
ヤベーやっぱり呼ばれてなかったんだと思いながら、自分の用意の効率の悪さと時間に余裕をみなかったことに後悔した…。が結局間に合った。
 夜行バスに乗ると先輩からメッセージが来ていたことに気づいた。
十津川温泉に着いて疲れてなければ、熊野本宮大社に行かない?
 どこかと調べてみれば、熊野古道の最終地点場所が本宮大社であった。そして、熊野には導きの神鳥として信仰されている八咫烏がいるのであった。
 無事に十津川に着き、本宮大社に連れて行ってもらった。明治22年まで本宮が鎮座していた大斎原から参拝したのだが、近くの大きな木のてっぺんにカラスが1羽止まって動かずにいたのに気づいた。出発当日の朝のカラスがうるさいくらいに鳴いていた事も思い出して、気づいた瞬間にあー呼んでもらったという気持ちになった。
 たまたまの偶然の重なりと、勝手な思い込みかもしれないが、ある意味呼ばれると言う体験だった。というか導かれたのか…
 翌日も天気は良く、今回の旅の目的地玉置神社にも参拝する事ができ、長い帰路に着いた。

帰路のバス車中に子供が、僕らはみんな生きている〜生きているから生きている〜♪を延々とリピートで歌っていたが、あり意味そうだなーと感心した。 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?