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【背伸びしたジャズ鑑賞】バラードの名曲で味わうジャズのエッセンス(1/4)

「ジャズは聴きどころが分からない」「おしゃれな感じはするけど、具体的にどこが良いのか明示できない」など、多くの人が感じるのではないであろうか。この原因は多分に、元の楽曲自体(つまり形式)の理解が不十分なために、その中でのプレイヤーの個性的な表現(つまり内容)も捉えなれないことにあると思われる。ルールが分からない競技を見ても、凄さは分からない。
そこで、楽曲の要素の中でもっともとっつきやすいテーマ(メロディー)の美しさを“導きの糸”として、ジャズの“エッセンス”を味わいたい。今シリーズはバラードの名曲『The Nearness Of You』を題材に、4種類のテイクを鑑賞する。その内の第1回、紹介するアーティストは「Norah Jones」である。

全4回で獲得したいジャズのエッセンスまとめ

- ジャズ特有の緊張感(テンション)とブルースフィーリング(#1)
- シンプルな歌い上げによるメロディーの美しさ(#1,#2)

- 楽曲の世界観を活かしたモダンジャズ流のアレンジ手法(#2)
- アドリブソロ中の琴線に触れるメロディーと盛り上げ方(#2)
- スウィングによるグルーブ感の心地よさ(#2)
- バラードにおける「いき」な感情表現(#3)
- コンテンポラリージャズにおけるアウト感(#3,#4)
- 世界観の表現方法(#4)

1. 歌もので理解するメロディーの美しさ - Come Away With Me | Norah Jones

ジャズミュージシャンが楽曲をカバーする場合、メロディーをアレンジして演奏することが多く、どんな楽曲なのかが分からないことが多い。
そのため、シンプルに楽曲を理解する上での"ベストプラクティス"は、メロディーを崩さず演奏されることが多い、「歌もの」を選択することだ。

息を飲む緊張感

このテイクの出色は冒頭、ピアノとヴォーカル(ノラ)のルバート(テンポが無い)部分。どのような状景が浮かぶであろうか。テンポが無いこと、またノラのスモーキー(夜のジャズバーで紫煙が燻るような)な声音があいまって、文字通り呼吸するのを忘れるほどの、はりつめた緊張感。「冬の寒さに空気が澄み、静まり返った夜空、凛として月が出ている」ようなそんな美しさ。
そして、歌詞が2番に入ってからは(1:40~)、冒頭の緊張感ある繊細な美しさから打って変わり、力強く、しかし枯れたブルージーなフィーリングが味わえる。ピアノの伴奏がブルージーになるとともに、ノラも心持力強く歌い上げている。

【付録】明日自慢できる「コンサル」用語集

エッセンス・・・大事なところ(と言えば済む話)

(クライアントとの)定例会議の前に、内部で方向性だけ決めたいから、スケルトン作って、エッセンスだけ認識合わせしよう。
※スケルトンとは、認識合わせに使用する、中身まで作りこまれていない骨組みのみが記載された資料。

ベストプラクティス・・・最善の方法/事例(といえば済む話)

ベストプラクティスに則ったマネジメント手法を杓子定規に用いればすむ話ではない。マネジャーには、もっと生の現場を見る経験が必要だ。

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