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くろとぴんく⑥

2024年4月16日

入院。
往生際悪く、まだくよくよして真っ暗な私の心持ちとは真逆に、病院の前には、桜がとってもきれいに咲いていた。今日ばかりは、桜を睨みつける。

入院の手続きの後、PCR検査を受けて、沢山の書類にサインをした。

麻酔科の先生の所に行くように言われ、猫背でとぼとぼと麻酔科に行く。
説明を聞く。
「麻酔の点滴が始まったら、腕がピリッとして、20秒もしないうちに眠っちゃいます。それで、目が覚めた時には手術終わってます!」
(こわ!恐怖しかないわ。目、覚めんのかいなほんとに。)

「明日はよろしくお願いしますね。」
と言われて

「。。。お願いします。」

と答えるが

(本当はよろしくお願いしたくなんかない。逃げ出したいわ。)

命を優先したら胸を切る選択肢しかないだけで、胸がなくなることに心から納得している女性なんていないと思った。

何もしない時間があると、悲しくて涙が出てくるので、持参した本を読んでやり過ごす。

今回の乳癌を知って、友人が同じ病気の手記の『くもをさがす』という本を紹介してくれて、それを読もうと挑んだのだけれど、なんだか読み進めることができなかった。
自分が今直面して初めて聞く単語と同じ文字が沢山目に入ってきて、なんだかまだ覚悟が足りないのか、治療について読み進めるのが怖いのだ。


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