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経営のイロハ、起業ビフォーアフター[04]

連載記事【04/34】

起業したい人は、ぜひ見てみてほしい、「生々しい起業家の半生」にみる経営のティップス。そこには、時代を超越した起業と、その後に関するティップスが存在します。30年眠ってきた日本、そろそろ目覚めてみませんか?

尾崎氏のお話し、連載4回目はクラウドファンディングのお話し、起業後のビジネスに対する態度、という感じです。

INDEX
1. “儲かる”ことをやるのではなく、やりたいこと・得意なことを軸にする
2. 事業計画・フィジビリティスタディ(=FS)の重要性
3. 起業の手続や作業は、全部自分で出来る
4. 資本金・運転資金の集め方極意
5. 政府金融機関・銀行との付き合い方
6. ベンチャーキャピタルは期待するほど機能しない
7. クラウドファンディングは資金集めになるか ?
8. 最初は恰好を付けない、実質勝負できる武装が必要

9. 情報収集は、ありとあらゆる手を使う
10. 意味のある人材ネットワークを構築する
11. 企画立案の極意・方法
12. 製品アイデア発案の極意・方法
13. 文書作成と文書管理の極意・方法
14. 営業の極意・方法
15. キーパーソンを見つける
16.“それいいね”と言われる「刺さる話」を展開する
17. 中小企業との付き合い方・大企業との付き合い方
18. いわゆるサラリーマンが言うことは、契約して金が入るまで信じるな
  (企業勤務者でもビジネスマンなら良い、この違いを見抜くのが重要)19. プロジェクトチームの創り方極意
20. 製作監理ではなく“一緒に編み出す”
21. 営業や技術の苦労は少し、大半は資金繰りの苦労
22. 出港した以上「空荷」では戻れない
23.“幸せ家族”の生活は少ないが、それでもかなりのことは出来る
24. 経営者は個人に全責任が掛かる、覚悟はあるか
25. 第三者の保証人にはなるな
26. 間違いがあれば全部負わなければならない
27. インチキ・不正は絶対しない
28. 節税しても脱税はしない
29. 競合との対応
30. 知的財産権(特許)
31. 世の中の要素を組み合わせ展開すれば、かなりのことが出来る
32. 所有する必要は無い、使用すればよい
33. 時間が経っても、本当の人間関係やネットワークは、いつまでも活きる
34. 必要充分で展開し、余剰は社会や次世代の若者に還元する
35. 事実と実質3

 おそらく、日本でクラウドファンディングというと、ここでいう『購入型』が最も一般的です。スタートアップの方々が初期の事業資金を何とかしたいときに使うのは『投資型』でしょう。『購入型』クラウドファンディングはテストマーケティングや、実際の事業が回せるのか、どんな顧客に受けるのかというのをMVP(Minimum Viable Product)で手軽に確認できるのが出資を募る側のメリットです。そしてリスクが小さい…ファンド成功時のみ手数料が発生する場合が多いと思います。出資してくれる一般の方は、新しい商品にワクワクして、その開発過程を共にすることに興味関心があります。しかしデメリットがあるとすれば、そこで得た商品が永続的なサポートをできるようなものではない場合もあることです。これは出資者側のリスクとも取れますが、プロセスエコノミーという観点でいえば、体験価値の高さを優先すると割り切る場合はありなのかもしれません。

 『投資型』については、私も内容を確認したことがあります。きちんとした事業計画と市場予測、損益計算ができていて、ファンドのコンセプトと合致していれば、1億程度ならば割と早期で決まるとおっしゃっていました、この場合の出資者というのは、一般の人ではなく、投資家達です、集め方はクラウドファンディングという形を取りますが、VCと同じであると考えてよいのでは?と思います。
クラウドファンディングには、いくつかのリスクもあります、その辺参考になるかもです。
それでは今週も本編行ってみましょう!今回は全編無料です。

7.  クラウドファンディングは資金集めになるか ?

  最近あちこちでクラウドファンディングってのが流行っている。私は、クラウドファンディングに精通している訳でもないし、自分で使ったことは無いけど、果たしてクラウドファンディングは資金集めの手段として適合するのか。

 Crowdfunding(クラウドファンディング)は、Crowd(群衆)とFunding(資金調達)の合成語だ。“多数の人が他の人や組織に対し、少額資金の財源提供を行う”ことで、社会・政治・芸術などの支援運動、ベンチャー企業への出資、発明品の開発や科学研究、プロジェクトへの貸付など、幅広い分野で活用されている。

 多数の人々から少額資金の出資を集めるから、貸手(群衆)と借手(事業者)の間にプラットフォーム(引合せ組織)が存在し、多彩な関係者を伴なう。

 クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人々に比較的少額の資金提供を呼びかけ、一定額が集まった時点でプロジェクトを実行する。資金調達リスクを低減し、ソーシャルメディアの発展により個人プロジェクトの立ち上げや告知が容易になり、資金調達が活発になった。

 出資をして貰った以上は資金提供者に対するリターン(見返り)が必要だが、現状のクラウドファンディングは3つのタイプがある。

『寄付型』は金銭的リターンが無い。
『投資型』は金銭リターンが伴うが、このうち
『購入型』は、“何らかの権利や物品を購入することで支援を行う”もので、日本ではこのタイプが一番多いと思われる。

本来の『投資型』は、“集めた資金により事業展開し、得られた収益を出資者に分配する”タイプだ。
 近年は、政府の方針もあって、関連する法律や制度を変えてまで起業(スタートアップ)を支援する傾向があるが、基本的に様々な問題を内包しているし、法律に違反するスレスレの線(グレーゾーン)にあることが課題だ。テーマはクラウドファンディングの研究ではないので、大まかな問題提起や注意に留めるが、“募集”であろうが“広く募る”んであろうが、「出資法」には本質的に“不特定多数から出資を募ってはならない”と定めがある。
 他にも、『寄付型』は「資金決済法」、『購入型』は「金融商品取引法」や「貸金業法」などの縛りがあるが割愛する。

 現在、多くが『購入型』と思われるが、見ると、「小額の新しい商品を開発するとし、先行予約販売の形を取って、生産後に配達する」という通信販売の形が多い。しかし、様々な問題を内包している可能性が高い。
 商品の仕様・性能・効能・品質などは、クラウドファンディングをする方(金を集める方)が言ってるだけで、裏付はどう取るのか‥‥金を集めても商品を開発もしない・作りもしない・届けもしないなどの場合、責任を取らせられるのか‥‥金だけ集めて逃げたり潰れたらお終い‥‥などだ。
 私なら、そもそも顔が見えない人から出資をして貰いたくない。どこの誰か判らない人から資金提供を受けるのは嫌だ。自分が出す方でも同じだ、どこの誰か判らず顔も知らない人に出資などする積りは無い。

 商品の先行支払なら受け取った時点で終わるが(中身がどうであれ)、出資ならその権利はどのように保全され、権利の転換(第三者が買うなど)はどうなるか不明だ。事業として、こういう点を明確にしないで、流行りのように安易に導入すると何かしら将来の問題を生む懸念がある。
 経営と同時に、資金の導入も正しく適切にやらないと、技術力や営業力がいかに優れていても頓挫することになる。特に資金にまつわる話は、人間の根源を揺るがす原因を内包するので、慎重にやって貰いたい。

8.  最初は恰好を付けない、実質勝負できる武装が必要


 そりゃ~人間は自分の意思で何をやろうが、他人や社会に迷惑を掛けなければ、第三者がとやかく言う筋合いはない。その前提の話だが、起業した零細企業は、格好を付けたり、見栄を張っているところは、大抵3年くらいで潰れている。

 力が付くまで(付いてからでもだけど)絶対見栄を張っちゃいけない。一等地に事務所があるとか、何ビルの何階だとか‥‥そんなことは二の次だ。起業前でも直後でも大きな売上があるとか、あり得ないのに“振り”をしちゃいけない。

 面白いことに、それらは不相応な見掛けに表れてくる。起業か創業何年かを問わずに同じ様相を呈している。そういう人たちには共通項がある。
 社員が社長を合わせても数人くらいの零細企業で、社長室なんか置いている会社は、新規企業ならさほど続かないし、長くても実態は訳ありの例もある。私は、社長室があって、政治家や有名人と一緒に写ってる写真が飾ってあれば、取引はしない。かように「格好を付ける」社長の会社は碌なことが無い。

 もとより企業信用は、理念・マネジメント・技術力・従事者の人格などで決まるので、体裁は無関係だ。ある程度資金が回り出してから必要充分な事務所を構えれば事足りる。

 学生時代に住んでたアパートを本社にして起業するも良し、実家暮らしなら1室を事務所として起業するも良し。むしろ重要なのは、取り扱う仕事においてエネルギーを使う方向は、実質勝負できる武装を如何にするかが正論だ。

 情報収集から始まり、顧客が求めている仕事を的確にスピーディに妥当な価格で提供するかブラシアップした方が、顧客が満足する仕事が提供できる。

私の基準は、発注頂いた金額の2倍の価値を提供することを信条としている。コスト割れしてもサービスするというのではなく、顧客が“やって貰って良かった”と思う付加価値を代金の2倍にして返すのだ。そうすれば、必ずリピーターになる。

 そういう付加価値はどこにあって、どうやって武装するか。さまざまな道筋があるけど、競合他社が持ってないような機能を備えることもひとつだ。発想・アイデア・技術などから生み出されるが、具体的な実践力が大きくモノを言う。
  私は、創業時に友人たちのカンパみたいにして資本金50万円を集めたが、登記や創業準備で15万円しか残らず、来月の生活費で無くなる事態になった。このとき、今まで取引の無い大手広告代理店が、月間数十万円の仕事を長期にオーダーしてくれて立ち上がることが出来た。

 発注を決めてくれた企業と社員に大変感謝しているが、当社の体裁ではなく“何が出来るか”が大きな理由であり、さらに、広告代理店の便宜に貢献する納品方法を取って、大いに重宝された。
業務内容は従来に無かったモノで厳しい秘密保持を要するので、信頼されなかったら請けられない。源流のクライアント(得意先)と広告代理店の意向もあって、毎週金曜日の夕方に作業内容説明があり、翌月曜日の午前中に納品だ。多くは、土日に徹夜して間に合わせるスタイルになって、それなりにきつかったけど、クライアントと広告代理店にとっては、週末にニーズを開示した案件のソリューションが翌週明けに納品されるので、作業内容にも増して重宝な作業の存在が、私の存在価値を高めたと思う。サントリーの70年史で、“やってみなはれ・みとくんなはれ”という本が刊行されている。日本初のウィスキー製造に取り組んだ創始者・鳥井信治郎、ビール市場参入を果たした二代目・佐治敬三のベンチャー精神溢れる実話から、同社宣伝部の社員であった芥川賞・直木賞作家コンビが綴った「サントリー社史」
として編纂したものだ。エキサイティングな実話を、山口瞳・開高健という巨匠が執筆したものだから面白くない訳が無い。“やってみなはれ・みとくんなはれ”の本編はA4判2冊の立派な装丁で非売品だが、文庫本でも出版されているので是非読まれたら良い。

まとめ

今週も興味深い内容でした、企業の価値はなんであるか、考える機会になったかなと思います。起業の時、登記簿に記載したい住所はどこにしたい、とかいろいろあるかと思いますが、資金が潤沢でないときは肩肘がらず、がいいのかもしれませんね、それよりは、なんか抜きんでた価値を提供する事。商品のユニークネスさ、だけでなく、無形のものを販売している場合は顧客対応力とか、そういうことでも価値ということはできますから。みなさんの価値はどこになるのか。考えてみるのも良いかと思います。

 次回は、
9. 情報収集は、ありとあらゆる手を使う
10. 意味のある人材ネットワークを構築する
についてのお話が続きます。このあたりは、起業家だけでなくすべての社会人にとって大切な事かもしれません、楽しみです。

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