見出し画像

ホバークラフト作ってみたよ!【第3話】

このお話は、物語でなく実話です。

私はこのシリーズで口をはさむつもりはありません、モノづくりが好きな人は楽しめると思います。何を作ったかというと、パーソナルホバークラフト…しかもキャビン付き…???そんなの見たことないんだけど…それもそのはず、このパーソナルホバークラフトは、80年代のお話しなんです。


INDEX

  1. 自動車屋が創ったホバークラフト

  2. “ほな、やりまひょか”

  3. “なかなかイイじゃないか” 

  4. 強制操舵 ・ 非常ブレーキ、‟何やそれ ?”

  5. 自動車エンジニアが設計したら、エアクッションヴィークルはこうなる

  6. スタイリングだけじゃなく、センスが良いカラリングで行こう

  7. 1年がかりの 「設計承認」

  8. 放映日ギリギリのきわどい撮影

  9. 久米島 ・ イーフビーチが呼んでいる

  10. 撮影日がシェイクダウン航行 “トホホ‥‥(汗)”

  11. マーケティングもイノベイティブに

  12. ものすごいパブリシティに、業界も騒然

  13. 初めて見るエアクッションヴィークルに大興奮

  14. “カタログもハイセンスね”

  15. 世界に144個しかないジッポー SENSOR ACV 300 S ライター

  16. 販売会社設定に全国へ旅ガラス

  17. 海を汚さないエンジンオイル

  18. これぞ逆転の発想 ・ エンジン倒立搭載

  19. ‟ブルネイ王室ご用達~ !”

  20. トランポだってお洒落に

  21. レースに初出場、ノーマル艇でトップ

  22. “フロリダで生産して、アメリカとカナダで売らせてくれ”

  23. アメリカへ旅立った SENSOR ACV 300

  24. フロリダ州の新天地で

【3】“なかなかイイじゃないか”

  クレイモデルで造形が固まったら、データ取りできるデザインと設計作業に入る。車の場合、この段階で1/1 (原寸大) クレイモデルを作って、全体の造形バランスや細部処理を検討するが、SENSOR ACV300 の場合1/1 クレイモデルは製作しなかった。

  その代りという訳でもないけど、1/5 ハードモデルを製作した。クレイモデルから型取してGFRP (グラスファイバー強化プラスティック) 製で、カラリングも施したものだ。車の開発では、オーダーがない限りハードモデルは作らない。

  SENSOR ACV 300 では、プロジェクト支援を頂いている衣料品メーカーにハードモデルをお見せする目的で製作した。自社でも、塗装したイメージを確認したが、その後は衣料品メーカーの社長室へお嫁入りして展示された。“オモロイもんやってますな” と話題になったことだろう。

  SENSOR ACV 300 はホバークラフトに違いないが、新しい象徴的なネーミングとしてよりインパクトを高めようと考えた。ホバークラフトじゃ色気ないので、‟AERO CRUISER (エアロクルーザー)” というネーミングにして商標登録した。‟Air Cushion Vehicle (エアクッションヴィークル)” の略称 「ACV」 も正式呼称としたので、SENSOR ACV 300 の新鮮味を高める役割を担った。

  SENSOR ACV 300 は、最初から2モデルを同時リリースする戦略だった。2モデルではあるが、1モデルで S と U の2モデルに兼用できる。”どういうこっちゃ ? ホンマかいな ?”。

  S は世界初のジェットファイターキャノピー付シングルシーター、U はオープン2シーターで、1艇を持っていれば、ボディアッパーカウル (キャビン周りの腰から上のボディ) とシートを交換するだけで、S or U の仕様変更が簡単にできる世界初のコンバータブルだ。

【4】強制操舵 ・ 非常ブレーキ、‟何やそれ ?”

空気で浮いているので地面の摩擦がない…急に止まったり曲がったりが得意ではない特徴がある

  Air Cushion Vehicle (ACV) は、地面 ・ 水面とボディの間に高圧空気を噴出して空気膜を作り、滑るように走行する。じゃーステアリングとブレーキはどうするのか ? これが ACV の運動特性を決めるから特徴でもあるけど、モ~チョッと何とかならんかという課題も抱えている。

  車のようにタイヤが接地してる訳じゃないので、ステアリング (操舵) はハンドルを切るようにはいかない。進行方向を変えるには、推進ファンの後部に設定された舵を切って旋回するしかない。

  走ってて停止する場合はもっと厄介だ。スロットルオフすると、エンジンが高圧空気を送り出すファンを回せないから、圧力が低下して地面 ・ 水面との抵抗が増加するため減速し、やがて停止する。

‟もっとシャープに方向を変えたり、減速できないものか” が発想の原点だ。“摩擦という自然現象にお任せしているから難いしんで、地面 ・ 水面に対する抵抗を増せばイイんじゃないか” と考えた。トーシロは、恐れもせずこういう発想をするからコワいね~。エンジニアから ‟技術バカ” と言われそう。

従来に無い新機構をトライする狙いは、「強制操舵」 と 「非常ブレーキ」 だ。マニューバビリティ (機動性・運動性) を高め、非常停止手段をどのような機構で実現するか、“いけるんじゃないか ?” と思うシステムを発案して、試してみることにした。

これが巧く機能したら、今までのホバークラフト愛好家はビックラこくに違いない。最初は機能確認だけで、ラジコンモデルに初期的な機構を装備し、さまざまな抵抗の路面を作って実験した。

ラジコンモデルで考えたことを確認1
ラジコンモデルで思ったことを確認2

原理は、ボディから地面 ・ 水面に向けて張り出す左右2対のフラップにより、操舵または減速効果を得るもので、なかなか面白い実験結果を得たが、まずはノーマル機構の製品開発が先で、新機構は成立原理の確認だけとした。

底面の仕組みの検討

ーーーーーーーーーー
今回は、製品の構想と技術的なアイデア検討のお話でしたね

さらに、開発が進んでいきます、このお話し面白くなっていきそうね、と思ったら”いいね”よろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?