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社名占いに乗っかって10年やってみた結果

占いはほとんど見ない性分である。
否定もしないが「結局は気の持ちようだよね」と思ってしまうタイプである。

そんな僕でも「占い」を信じてみたことがある。
むしろ一番大事なものを「占い」に委ねてしまったことがある。

そう、それは社名だ。自分が独立・起業するときの会社の屋号だ。

会社を設立するために最初につくる定款という書類がある。そこには資本金やら代表者やら設立年月日など会社情報をこと細かに記載する。はじめの下書きには、その社名の欄に「株式会社ナチュラル・パラドックス」と書いていた。

これは僕が大学時代につくった映像サークル「ナチュラル・パラドックス」をそのまま社名にしたいと思ったのがきっかけである。略して「ナチュパラ」という愛称で親しまれ、その映像サークルとしての活動経験が元となって、映像制作会社を立ち上げるのだから、これほど僕にとって意味深い名前はない。

しかし、実際に登記した社名は「株式会社ナチュラルパラドクス」である。よく見てもらえたらわかるが、「・」と小さい「ツ」がない。

恥かしくて今までほとんど誰にも言ってこなかったが、実は「社名占い」というサイトを見て僕がこっそり変えたのである。

ふと「そういえば、会社も画数とか気にした方がいいのかな……」と思って調べてみたのだ。ネットで検索すれば、誰でもそのサイトを見つけられて無料で占える。言い換えれば無料で占えてしまう程度のものである。しかし僕にはとても心強い相棒を手に入れた気分だった。

独立・起業する時には意気揚々と野心に満ちて設立する人も多いだろうが、僕の場合はむしろ「果たしてやっていけるだろうか」という具合に、期待と同じくらい不安も大きかった。だから頼れるものはなんでも頼ろうという気持ちであった。

早速、元々のネーミング案、「ナチュラル・パラドックス」で調べてみたら、下記のような内容が出た。

なんという言われようだ。ひどすぎないか。そこまで言わなくてもいいじゃないか。自分が10年近く愛し、守りぬいてきた青春の1ページを全否定されたような気持ちで悲しくなった。しかし、悲しんでばかりもいられない。起業しなくちゃいけない。そこで試しに、「ナチュラルパラドクス」で調べてみた。

なんということだ、わずかの差でこんなにも違うのか。特に赤線で引いた部分が気に入った。
 
そこで僕は一息ついて、行きつけの喫茶店に行き、一杯の珈琲を飲む。
 
英語表記にすれば「ナチュラル・パラドックス」も「ナチュラルパラドクス」も、結局は「natural Paradox」である。Pが大文字なのは、学生時代の僕の厨二病的発想である。何かしら違和感を持たせたかったのだ。言うのも恥ずかしい。
 
わずか5分程度での決断だった。珈琲を半分も飲み終わらないうちに決めた。そして、僕はこっそり社名を書き換えた。一緒に仕事で関わるスタッフの人たちには恥ずかしくて、社名占いが理由で変えたとは言えなかった。
 
そして2012年11月21日。
何事もなかったかのように、株式会社ナチュラルパラドクスは設立された。

そして、あれから10年が経った。
社名占いに乗っかってみた結果、どうだったか。
 
会社は現在進行形で続いている。月末になればキャッシュフローでバタバタすることもあるが、今のところ、かなり当たっていたのではないかと思う。
 
コロナ禍では、新サービス「ライブ配信おたすけ隊」をリリースし、第二の事業の柱になった。まさに「アイデア次第で生み出したサービス」である。
 
そして何よりも当たっていたと思うのは、
「優れた才能や知識を持つ人材が集まってくる」
という点である。
 
先日、会社のキックオフイベントがあり、みんなの前でこの話をした。まさかの社名の由来に爆笑していた。
 
改めていい仲間に恵まれていることにワクワクした。正直、この10年間、「社名占い」を意識してやってきたわけではない。むしろ、10年ぶりに資料を見返して思い出した程度だ。
 
それに画数に関係なく素晴らしい会社はたくさんいると思う。それでも、やはり自分や仲間が「当たっている」と思えるならそれでいいじゃないか。
 
これもまた、やはり「気の持ちよう」なのである。

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