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ラブレター

初めまして。大好きなnote読者の皆さんへ。
チョモランマヒデオです。

今日、五反田のイマジカに行って仕事をするために
車を走らせていましたら、ラジオから素敵な音楽が流れてきました。
YOASOBIです。

そうです。今更ですが、知らなかったんです。こんな素敵な曲があったなんて。

音楽にラブレターを出しちゃいけないなんて決まりはない。
ハッとしました。なんて美しいのでしょう。
なんて彩りに満ち溢れているんでしょう。

素敵な音楽のおかげで山手通りがキラキラ輝いておりました。

パラリンピックの閉会式でも唄われていたように、
この世界は「What a wonderful world」でございます、
と言いたくなるくらい素敵な曲でした。

       *

昨日、友人のHくんとお茶をしておりましたら
「20年前の自分に手紙を書くとしたら、どんなことを伝えたい?」
という僕好みの哲学的な問いかけをふいにいただきました。

僕が最初に思いついたのは

「ネガティブや不安を回避するためにやることは、大抵大した結果は生まない」

ということです。僕は大学4年の終わりにニューヨークに一人旅をしました。
そこで、1泊12ドルの安宿に泊まったのですが、
だだっ広くて汚い不衛生なフロアに、パーテーションで区切られたような
天井がつつぬけの、漫画喫茶のブースみたいな部屋に泊まりました。

受付をしていたら、いきなり僕の荷物をあさり始めるヤバいおっさんがいました。
「何すんだ!」と鞄を引き寄せたら、悪びれる様子もなく黙ってこちらをみたあと、無気力そうに部屋へと戻って行きました。

シャワーも共同で仕切りなんてないのですが、
なにか念仏のようなものをとなえながら、
ヤバそうな人たちがシャワーを浴びながらこっちを見てきました。
夜中はいろんなところから奇声やうめき声、独り言の怒声が聞こえてきました。

あの恐怖の一夜は僕にとっての強烈な原体験となり、
セントラルパークやMOMAですごした優雅な気分はいっさい吹き飛んで、
「絶対にこんな惨めな気持ちになるような人生にはしたくない」
というネガティブ回避思考が根強く生まれました。

そして社会に出てしばらく経ってみると、やっぱり、あらゆるところで
その思考がブレーキを踏み、多くの場合、たいした結果にはなりませんでした。
傷ついても転んでもいいから、がむしゃらに真剣にやってるときのほうが
たいていいい結果を生み出してきたように思います。

そして、もう一つ。会話の途中でふと思いついたのが、
「他人の期待には応えないほうがいい」ということです。

吉野弘さんという詩人が、自分の娘にあてた「奈々子に」という
素敵な詩があります。その一部を紹介します。

唐突だが
奈々子
お父さんは お前に
多くを期待しないだろう
ひとが
ほかからの期待に応えようとして
どんなに
自分を駄目にしてしまうか
お父さんは
はっきり
知ってしまったから

お父さんが
お前にあげたいものは
健康と
自分を愛する心だ

ひとが
ひとでなくなるのは
自分を愛することをやめるときだ

出典:吉野弘詩集(ハルキ文庫)『菜々子に』より

自分の楽しみのためにやることが結果として誰かの役に立ってる。
その順番でやることのほうが大抵楽しいし、
たいていいい結果を生むんだよな。

       *

そして、ふと帰り道、思いました。
そうだ、20年前の自分に伝えたいことは、
たぶん、これからの自分にも伝えたいことだ。

今の自分にラブレターを出しちゃいけないなんて決まりはない。
ハッとしました。東京夜時も、きっと、自分へのラブレターだ。

あなたなら20年前の自分にどんな手紙を書きますか。

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