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ゲルのインフラ 水と電気に依存しない生活

インフラに興味があるわけではないのだが、とてつもなくモンゴルのインフラ事情に興味がある友達と一緒に行ったおかげで、私まで詳しくなった。
結構面白かったので、紹介したい。 


ゲルの電気


季節によって場所を移動するゲルは、草原の真ん中にポツンとたっている。当然電気は届かない。
ではどうするか。太陽光発電である。
なんと、一家に一台ならぬ、一ゲルに一台、ソーラーパネルが設置されているのだ。
私たちが滞在した遊牧民宅にも、ソーラーパネルが設置されていたし、畳んだら1メートルくらいまで小さくなる、折りたたみ式のソーラーパネルもあった。
発電所に頼ることなく、自分たちが使う分の電気は自分たちで生産する。それってとてもすごいことだ。

1ゲルに1ソーラー

もちろん、いくらモンゴルでは年間の降水量が極めて低いとはいえ、天候が悪い日もある。
そんな日は当然発電できないし、出来ても発電量が十分でなかったりする。

日本人からすると停電は大問題だが、遊牧民たちの反応は、まあそんなもんだよねというあっさりしたものだった。

確かに、私が滞在していた期間中で、遊牧民たちが電気を使っていたのはせいぜいスマホの充電くらいだった。冷蔵庫なし、エアコンなし、電子レンジもないゲルの生活において、電気がなくても致命的に困ることはないのだ。

停電を当たり前のこととして受け入れられるほど、電気への依存度が極めて低いゲルの生活に、改めて感動した。
 

ゲル内のポータブル電源。ここでスマホを充電する。

ゲルの水

移動式住居のゲルには、当然ながら水道管も通っていない。だから、定期的にトラックで水を運んでくる必要がある。

水は、近くの井戸から汲んでくる。基本的に草原には柵などないのだけど、井戸のある区域だけ、柵で囲まれており、鍵をかけて管理している。

井戸から給水中。

遊牧民の水汲みについて行った友達は、途中でやって来た他の遊牧民が、札束を管理人に手渡しているのを見たそうだ。要は、井戸使用料である。
貴重な水を、会社ではなく個人レベルで管理しているので、人間関係は良好に保つ必要がありそうだ。

( 彼女が、「水を汲んでるところがどうしても見たい!」と言って、日本語が全く話せない遊牧民の方に交渉しに行ったときは、本当に感心した。)

運んできた水は、タンクに溜めて大事に使う。

排水は簡単だ。外に撒くか、汚くなければ犬の飲み水にする。
水洗トイレなどがあれば、地下に排水を溜めておく。バキュームカーが定期的に吸い上げにくるらしい。


ゲルの電波

遊牧民たちは、普通にスマホを使っていた。
どうやら電波は届くようである。
後日友達が、基地局を発見したと興奮気味に報告してくれた。

一部のゲルには、テレビ用のアンテナも設置されていた。私たちが滞在したゲルにも、テレビとアンテナがあったのだが、使われていないようだった。
なぜなのか聞いてみたところ、ああ、冬営地では使えるんだよ!と返ってきた。

なるほど、遊牧民ならではの回答である。テレビに季節があるなんて、モンゴルくらいではないだろうか。彼らは冬の番組だけ詳しいのだと思うと、なんだかほっこりした。


ゲルの横にアンテナ。

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