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非日常の体験から、就労への一歩を踏み出す ~就労体験プロジェクト参加者に聞く~

誰もが輝ける、晴れ舞台での働く体験

「就労体験プロジェクト」※とは、さまざまな理由で社会参加や働くことが難しい方々に、スポーツやエンターテインメントのイベント会場などの非日常の“晴れ舞台”でお仕事を体験していただき、社会参加に向けた第一歩を踏み出すための取り組みです。
※ 本取組は、NPO法人ピープルデザイン研究所に委託して実施しています。

今回、「TOKYO SOCIAL FARM ACTION(東京ソーシャルファームアクション)」の一環で、東京に暮らし働く全ての人が輝き、活躍できる社会の実現に向けた取り組みとして実施しました。

今回、就労体験を行ったのは、立川市のアリーナ立川立飛で行われた、男子プロバスケットボールBリーグ「アルバルク東京」のホームゲームです。当日は就労を目指している若者が5名参加し、入場ゲートにて応援グッズやプログラムを配布。アリーナ運営スタッフの一員として、約2,900名のお客様をお迎えしました。


「体験できて良かった」

お客様にチラシを手渡す仕事でしたが、仕事を開始する前に、「こういう接客業は……苦手です」と話す参加者がいました。所在なさげにゆらゆら体を揺らしながら、終始うつむきがちな彼。それでも、仕事が始まると、お客さんの目をしっかり見て、チラシを渡しています。

 そんな彼に、今回参加した理由を聞いてみると、「就職に向けて、いろんな仕事を体験したかった。どんな仕事があるのかを知りたいと思っているから。今回は、やったことがない仕事を体験できて、『こういう感じの仕事なのか』ということがわかり、とても良い経験になった。『実際にやってみるとどうか?』ということを体感するために、就労体験に参加している」と話していました。

 「人と話をするのが得意ではない」と話しつつも、「今回のような仕事は、できなくはないと思った。今後も就労体験に参加していきたい。この体験で、自分が無理をしている感じはないし、就職をしたいから。就職に向けて、いろいろな体験をしながら経験を積んでいきたい」と話しており、体験を通じて就労意欲が高まっているのが伝わってきました。

お客さんの目をまっすぐ見て、チラシに両手を添えながら丁寧に手渡している様子は、彼の「自分にもこの仕事はできる」という自信を表しているようでした。


「仕事をする自信が持てた」

たくさんのお客さんにひっきりなしにチラシを渡し続ける仕事は、体力も使います。そんな時でも、明るい笑顔で楽しそうに仕事をしている参加者がいました。

でも、彼女は仕事開始前には不安そうな表情でスタッフの説明を聞き、固い表情で目線も下に向きがちだったのです。

それが仕事開始から5分もすると、別人のように口元が穏やかになって、次から次にくる人たちに笑顔でチラシを渡していました。

彼女に就労体験の感想を聞いてみると、「最近、ホテル清掃のアルバイトをしたことがあったけれど、プレッシャーがかかりすぎたのが原因で体調不良になってしまい、早退してしまった。そのことがずっと気になっていて‥‥‥。今日も『ちゃんと仕事できるかな』とすごく不安だった。だけど、今日はちゃんと仕事をやり切れたので、自信が持てた。お客さんとのコミュニケーションもとても楽しかった」と話していました。

最後に彼女は「他にも同じような仕事があったら応募してみようかな」と次のステップへの強い意欲を話していました。


次のステップにつなげる

最近就職が決まったという参加者は、「いろいろな仕事体験を通して、たくさん練習させてもらって就職できた。機会があったら、何事にも参加してみることが大切だと思う。実際にやってみると、『やって良かったな』と思うことがほとんどだから。でも、焦らず、ゆっくりやってほしい。僕もゆっくりだったから」と話していました。

今回、プロジェクトに参加した全員が「就職に向けてがんばりたい」と話していました。参加者の方々は、「働きたい」「社会に出たい」という強い意欲を持ちながら、少しずつ経験を積み重ね、就労に向けてまずは一歩を踏み出し、次の二歩目へと進んでいこうとしています。

 

「企業側はそんなに難しく考えなくてもいい」

今回の受け入れ先となった企業、トヨタアルバルク東京株式会社の担当 蓑輪さんは、今回の取り組みについて「バッググラウンドが違う人だからといって、構える必要はないと思います」と話しています。

その理由をこう語ってくださいました。「大切なことは、『どうすれば皆さんに気持ちよく働いてもらえるか』ということにつきます。これはどんな人にも同じように気をつけていることなので、受け入れる企業側はそんなに難しく考えなくてもいいのではないでしょうか」

就労体験の当日も、企業の方々が参加者をフォローしながら、この体験が“参加者”にも、“企業”にも充実したものになるように、自然とサポートをされていました。

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