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ライティングコンテスト(東京報道新聞主催)

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東京報道新聞が開催しているライティングコンテストの募集要項や結果発表、過去の受賞記事をまとめています。 過去の受賞記事は、ライティングコンテストで「優秀賞」「特別賞」「東京報道新… もっと読む
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#受賞作品

生成AIと認知症介護:皆がフリーに幸せになる時代を目指せるか

認知症についての様々な研究がされてきている。 その予防法や治療法は一般的に知られるようになってきてはいるものの、現時点では、完治することのない病であることには間違いない。長生きする人口が多くなるにつれ、当然認知症患者も増えてゆく。幸いなことにそんな介護業界にもすでに生成AIは導入されており、これからもっと進化を遂げて行く必要がある。 私は姑の介護を経験した際、自分もいつしか他人に迷惑をかけるかもしれないという事が常に頭の片隅にあった。私は外国人として、その当時海外で生活をし

AIに負ける気がしない図書館の日常

図書館で働いていると、本当に様々な人がやってくる。老若男女、色とりどりだが、やはりご年配の方が割合に少し多い。 AIが注目され始めたとき、私はまだ学生だった。自動翻訳や画像認識、ある程度の未来予測までできるというのだから、大したものである。そんなAIに対して危惧していることと言えば、やはり人間が奪われてしまう仕事の数々だろう。 当時の国語の担任はこう言った。 「数学の教師というのは将来なくなる可能性があります。ただ、国語はなくならない」 自慢ではなく、単純に現実を教えて

AIが脇役の世界 ~建設産業界の若手不足とAIがもたらすもの~

AI技術の進歩とともに、AIに取って代わられない職業とは何かということが考えられるようになった。そのような問いは、実際に職業選択の際にも大きな影響を及ぼしている。そんな中で、私は建設技術者という職業はAIに取って代わられず、今後注目に値する職業だと考えている。そこにはマニュアル化しにくいという建設業界ならではの特性が作用している。建設産業界で重要なことは、AIに取って代わることができない技術者の直観なのである。 残念なことにAIが取って代わることができない職にもかかわらず、

新潟市|自然豊かな「ちょうどよい」地方都市

雄大な信濃川の景色を眺めていると、心が洗われる。流れが穏やかな日も、雨で水量が増した日も、凍えるほどの寒さでまわりが雪景色の日も。絶えず流れ続け、その日ごとに表情を変える壮観な景色は、今も昔も心に潤いを与えてくれる。 新潟市のシンボルである信濃川は水系全体で367km。日本一長い河川として知られている、新潟市民の誇りである。私のふるさと、30年以上暮らす新潟市は自然豊かな街でありながらも、都会的な暮らしが実現できる、まさに住むのに「ちょうどよい」街である。 日本海に面し、

漁業の消え去った街

おじいさんがゴツゴツと日焼けした腕から放り投げた投網は、空中で花火のようにぱっと一瞬にして広がり、公園の芝生の上に広がった。私は子供ながらにその巧みな腕捌きに見惚れていたのを今でも覚えている。 「昔はこうやって魚を取っていたんだよ」 小学生の私に、元漁師のおじいさんはそう教えてくれた。しかし今、私の故郷に漁師は一人もいない。 私の故郷からは漁業が消え去ったのだ。 江戸川の河口に広がる巨大な三角州に私の故郷はある。漁師町として古くからの神社や古民家が残り、下町情緒あふれ

戻れる居場所

5年前、大学近くの居酒屋で飲んでいた。自分の故郷の話になった際、私の地元の話をしてみた。すると、 「近くのバス停の名前が『佐藤家の前』なの!そんなことある?!」 と友達から爆笑されてしまった。都会で暮らしている人からしたら、信じられない場所。それが私の地元である。 地図帳で見ると、長野県のずっと下。愛知県の近くにある人口1万人の町が私の地元だ。秋になると、リンゴの赤色やナシの黄色で、街中が色鮮やかになる。そんな街の中心部に、思い出の場所がある。正式名称ではないが、『城山

アフリカの太陽

サハラ砂漠に黄色く、大きな太陽が昇る。辺り一帯を焼け付すかのように、眩しい光を放っている。「あぁ、これは太陽を神様だと思うわけだわ」と感じた。アフリカで経験した、印象に残る出来事の一つだ。太陽が沈んだ夜、私はある少年と出会った。後の人生を、大きく変えることとなる人物と。 私がチュニジアを訪れた2012年7月は、ラマダン(断食)の時期だった。現地人は何も口にしないのかと思いきや、実際はかなりゆるかった。大人の飲食は許されてはいけないはずが、シャワーを浴びながら水を飲む人や、「

役場の仕事なんてつまんねえんだ。でも、

初対面の人から受ける影響というのは、意外と大きい。10年以上経った今でも、あの言葉を鮮明に思い出すことができる。 初めて就職したのは、地方の町役場だった。卒業後地元に戻るつもりがなかった僕は、大学所在地の近辺で就職活動をしていた。 「かたっぱしから応募して、最初に内定をくれたところに就職しよう」と意気込んだ結果、奇跡的に1件目で内定をもらう。そこは、行ったことも聞いたこともない、ちいさなちいさな町だった。 見知らぬ土地というだけで、不安になるには十分過ぎる。ましてや人見

史上最も最強で単純な敵との奮闘記

A型の長女でも、未だに不安なことが頭をつきまとう。それはアパートを出ても、電車に乗っても、友だちに会っても仕事をしていても、いつもいつも頭にこべりついて離れない不安。そう、「鍵、かけたっけ」である。 コンロの火消しや窓の施錠に関してはまったく不安にならない。いつもいつも玄関の鍵の施錠だけ。なぜこんな単純なことがいつも不安なのかと言うと、それは私の生まれ育った実家に起因している。 私の故郷はかなり田舎で、家は山の奥の奥。コンビニまで車で20分かかるような奥地で、隣近所には祖

ふるさとを探す

22年も生きていれば、新生活の節目も何度か訪れる。その度に育った地からは離れるもので、新しい場所では今までいた地域の話が盛んだ。「どこの出身ですか?」「地元は?」と聞かれるといつも答える場所には、実際数年しか住んでいなかったりする。 大学の英語の授業では「ホームタウン」についての発表がたびたび行われた。「ふるさと」についてである。自身が出身地としている場所も、事実上ホームタウンではあるが、心からのふるさとかと聞かれれば答えるのは少し躊躇われる。 自身にとってのふるさととは

都会で電車に乗る 三カ条

私は「都会で電車に乗る」ということを甘くみていた。 自宅から2分で通学できた高校時代、バスにさえ乗らなかったにもかかわらず、大学に上京して、自宅から2時間かけて大学のキャンパスに通うことになった。東京といえども共通言語は日本語。わからないことがあれば聞けばいいし、もう18才という成人間近なんだからそれほど難しいはずがないと鷹をくくっていたが、「都会で電車に乗る」ことには特殊な能力が備えられていなければ、易々とできることではないという現実に私はまだ気が付いていなかった。 ま

【結果発表】第2回ライティングコンテスト

この度は第2回ライティングコンテストに応募いただき、ありがとうございました。 第1回と比べて約2倍の応募数があり、今回も多種多様なコンテンツが集まりました。 受賞作品および佳作は以下の通りです。 優秀賞(Amazonギフト券 3万円分)◆アフリカの太陽 特別賞(Amazonギフト券 1万円分)◆青春の記憶 東京報道新聞賞(Amazonギフト券 5,000円分)◆役場の仕事なんてつまんねえんだ。でも、 佳作◆ナゴヤドームの空に飛ぶ https://tokyonews