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EC62[金融リテラシー/高難度]日本の財政について破綻論者の意見を検証してみませんか(2022/8/7updated)

数十年前から、日本の財政の破綻を主張する人たちがいます。数年の誤差であれば、まだ間違っていないとすることもできます。しかしこれだけ長期に亘ってそれが起きないとなると、その考え方を立ち止まって確かめた方が良いと思われます。

まず、日本の財政についてファクツの確認を行います。債務の規模はその国の付加価値の集計であるGDPと比較することで、その相対的な大きさを把握することができます。IMFの試算では2022年の日本の政府債務残高に対する国内総生産の割合は日本は252.3%と極めて高くなっています。その債務残高の実額は1421兆6966億円です。2022年1月1日時点の日本人の推計人口1億2544万人です。単純計算すると、国民1人あたりの借金は約1133万円となります。もちろん日本には資産があり、日本銀行が保有している国債は実質的に返済が終わっていると考えられ、それを考慮すると、債務の規模は半分以下になります。

大前研一は「日本が財政破綻する確率は100%」と数十年前から述べています。大前は「税金を払える生産年齢人口が減り続けている以上、破綻確率は100%である」と主張しています。「国の財政は破綻している状態だから、いつ国債が暴落してデフォルト(債務不履行)になってもおかしくない」とも述べています。税収は生産年齢人口だけで決まりませんが、国の債務が税金からのみ支払われるとしたら、デフォルトする可能性が残ります。大前は「国債を日銀が民間金融機関から買い取って自ら貯め込み、“禁じ手”とされている事実上の財政ファイナンス(中央銀行が通貨を発行して国債を直接引き受けること)を続けている」と財政運営の仕方を批判しています。しかしここに財政破綻しない理由の一つが隠れています。

日本円は無条件で取引できるハードカレンシーの一つです。経常収支の黒字国であり、世界最大の対外純資産国であることなどがその信認を支えています。アルゼンチン、ギリシャ、ロシア、韓国など過去に財政破綻した国の通貨はソフトカレンシーです。日本円は輪転機で刷って、円で発行した国の債務を返済することが出来ます。事実上の財政ファイナンスをしていても円の信認は落ちていません。もちろんそれに限界がある可能性を否定しませんが、ハードカレンシーの中で最も信用度の高い基軸通貨であるドルでも同じことが起きています。米国は貿易赤字と財政赤字を続け、ドルを世界に蒔き散らしていますが、使い続けられています。財政ファイナンスが禁じ手とされるのはハードカレンシーが無く、通貨と金と兌換することができる金本位制を前提に置いている場合と思われます。

2012年から学生向けに金融リテラシーを高める教育を行ってきました。そのコンテンツや教育方法が完成したことで、2021年から大人の金融リテラシーを高めるサポートを始めることしました。noteへの投稿がそのスタートです。