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~新型コロナウイルス、ツイッターをやらない人の為のツイッター情報~   集団免疫とワクチン その1


経済誌が予測する今後の世界経済

今年の春、日本で新型コロナウイルスの感染第一波が収まった頃、複数の経済誌が今後の世界経済の行方を予想していました。予想に共通していたのは、新型コロナウイルスのワクチンの成否が今後の世界を決めるという点です。

「パンデミックを終わらせるには人類が集団免疫を獲得しなければならないが、ワクチン無くしては集団免疫は実現しない」

「ワクチンが速やかに開発されれば、新型コロナウイルスの世界経済へ及ぼす影響は小さくてすむが、逆の場合は、リーマンショックを遥かに超える大不況になるだろう」

と、どの紙面にも書いてありました。



予想される4パターン

パターン 1
ワクチンが1~2年以内にできた場合。 集団免疫は速やかに獲得され、経済はⅤ字回復する。人々は何事もなかったかのようにパンデミック前の生活に戻る。

パターン 2
ワクチン開発が遅れた場合。 人類が集団免疫を得るのには3~5年かかるので、自由な経済活動ができずに世界経済は低成長を続ける。その後は緩やかに回復する。

パターン 3
新型コロナウイルスのウイルスが変異するか、もしくは、効果的なワクチンが開発できなかった場合。 一度感染した人が二度、三度と罹って集団免疫は得られない。全世界的な終息は難しく、部分的な封鎖と解除を繰り返す。経済活動は長期にわたって低迷。

パターン 4
ワクチンが開発できなかった場合。 もしくは、未知のウイルスが出現して新たなパンデミックが起きた場合。 感染者は激増し、致死率が高まり、先進国でもライフラインが維持できなくなる。更にワクチンの配布を巡って紛争が勃発する。全世界で内戦状態になり、統治機能が失われる。


どうでしょうか? あなたは、どのパターンになると思いますか?

さすがに、4番目のパターンは無いと思いたいですね。


株価はワクチン情報に一喜一憂する

経済界はパターン1しか念頭にないようです。航空業界や旅行業界は人員整理を行う傍ら、再来年には通常営業に戻るとして長期計画を立てています。音楽会も芸能界も、「ここ一年の辛抱」が暗黙の了解のようです。ワクチンさえ開発されれば、以前の生活に戻れると信じている人々がたくさんいます。その期待に応えるかのように、ワクチン関連のニュースが毎週のように報道され、世界中の株価が上ったり下がったりを繰り返しています。

本当に、ワクチンが世界を救うのでしょうか? そして、集団免疫は成立するのでしょうか?

その辺を調べたので、書いたみたいと思います。


集団免疫とは?

集団免疫とは大勢の人が疫病に対する免疫を持っている状態のことです。このレベルに達すると、病原菌やウイルスはそれ以上拡散できなくなり、感染拡大がストップします。結果、病原菌やウイルスに抵抗力を持っていない人でも感染しなくなり、命が救われます。


集団免疫と感染力の関係

集団免疫が成立する為にはたくさんの人が感染する必要がありますが、その割合は病原菌やウイルスの感染力によって変わってきます。一般的に、感染力が小さい病気ならば少ない感染者で成立し、感染力が大きいとたくさんの人が罹らないと成立しません。


感染力は基本再生産数、R0(アール・ノート)の数字で表されます。平均して一人の感染者が何人にうつすかで、強さを示すのです。天然痘は5から7、感染力がとても高い麻疹(はしか)は12から18です。日本では、新型コロナウイルスの感染力は季節性インフルエンザよりちょっと高いくらいと聞いていますが、もっと高いとする専門家が多いです。その理由は、無症状感染者が非常に多いことと、空気感染するからです。

アメリカのロスアラモス研究所が、武漢の感染ピーク時の感染者数を再推計したところ、公式感染者の数十倍から数百倍の取りこぼしがあったことが判明しました。新型コロナウイルスの感染力は5~6になったそうです。この説を支持すれば、新型コロナウイルスは天然痘と同じくらいの感染力をもつことになり、人類が集団免疫を獲得するには、全人口の7割から8割の人が感染しなければならないことになります。

WHOの主任科学者であるSoumyaSwaminathanは、新しいコロナウイルスの伝染性を考えると、集団免疫を達成するためには人口の約65〜70パーセントが感染する必要があると述べています。

 ↓ ウィキペディア(Wikipedia)基本再生産数より 感染症のR0値 「COVID-19」が新型コロナウイルス。R0は1.4から6.6と幅がある。

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日本の学者の中には、百年前のスペイン風邪の時、日本は4割の感染で終息したので(他の国々と比べて少ない方です)、今回も同じくらいで良いのではないかとする意見もあります。そうなってくれれば嬉しいのですが・・・。


集団免疫が成立した(?)トロール船

実際に集団免疫を獲得した(可能性がある)ケースがあります。それは、今年の春にマグロを獲りに出港したアメリカのトロール船内で起きた感染です。全乗員は出航前にPCR検査と抗体検査を受け、PCR検査で陰性と診断されてから船に乗りました。ところが、無症状感染者がいた為に船内で感染が拡がり、3か月後に港に戻ってきた時には乗員122人中の104人がPCR検査で陽性となりました。全員が軽症か無症状で、入院した人はいません。

さて、感染しなかった18人のうち、3人は出航前検査で中和抗体(ウイルスと細胞の間に割って入って感染を予防する抗体)の量が充分あった事が判っています。が、残りの15人は、抗体を持っていなかったにもかかわらず感染しませんでした。これは、船内が免疫力を持った人ばかりになり、ウイルスが次の感染者へと移れなくなったせいだと考えられます。つまり、トロール船の乗員に集団免疫が成立したのです。

↓ 論文


集団免疫が成立した貧しい地区の現状

トロール船の他にも、米国の空母などで集団感染が起きたものの重症者が出なかったという例はあります。しかし、それらは非常に幸運なケースです。

中南米やブラジル、インドなどの貧しい地区には、感染者が激増して集団感染獲得のレベルまで達した(可能性がある)と噂される街がありますが、その現状は悲惨でした。病院は診察を断られる人で溢れ返り、墓地が一杯で埋葬できない遺体が穴を掘って埋められていました。物流が止まり、仕事はなくなり、失業者が続出して治安が悪化します。発展途上国はライフラインが脆弱な為、今でも停電や断水が日常的に起き、それが更に感染を広めています。


 ↓ インド東部の街、チェンナイで感染したTakashiさんのツイート。カラスの直接の死因が新型コロナウイルスかどうかは判りませんが、街全体の衛生面が悪いのは伝わってきます。(彼はその後、無事に欧州へ脱出されています)

しかも、こんな状況で、陽性率はまだ40%程度です。7割の人が感染したらどうなるか、想像もつきません。



自然感染で集団免疫を獲得することは無理だと判りました。では、ワクチンは速やかに開発されるのでしょうか?


~新型コロナウイルス、ツイッターをやらない人の為のツイッター情報~   集団免疫とワクチン その1、終わり

(その2、へ続く)


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