最先端教育STEAM/PBLから考える、学校と家庭教育の課題と実践−後編−
子どもにはどんな教育を受けさせるべきなのか?子どもにとってベストな教育とはどんな教育なのか?
Tokyo Cross Point主催の「とうきょうみらいゼミ」のイベントでは、最先端の教育についてFutureEdu代表の竹村詠美さんから学び、「子どもたちに受けさせたい教育」について考えるためのワークションプを実施しました。
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最先端教育STEAM/PBLから考える、学校と家庭教育の課題と実践 −前編−
質問・疑問
質問タイムでは、さまざまな質問がされました。
質問:「アメリカでPBLを実践している学校と紹介があったHigh Tech Highでは特別な費用がかかっているのでしょうか?」
竹村さん:「公立の学校なので、特別な費用はかかりません。スクールバスがないので、往復の交通費がかかるくらいです。」
質問:「プロジェクトベースの教育だと、基礎的な学力がない子どもが置いていかれることはないのでしょうか?」
竹村さん:「基本的には、プロジェクトの中で、基礎的な知識を学べる設計がされています。また、すべての授業がプロジェクトベースなわけではないので、数学や哲学対話などプロジェクトではない学びの時間もあります。年齢や学校によって、プロジェクトにかける時間は様々です。例えば小学校では読み書き計算といった時間も大切なので、High Tech High でもプロジェクトベースのクラスは1週間に3回くらいのペースで、高校になると時間配分が増える形になっています。」
ワークショップで「教育」について話し合ってみよう!
後半は、3つのグループに分かれてのワークショップ。今回は3つのテーマについて議論してもらい、それぞれのチームの代表者に話し合った内容を発表してもらいました。
テーマ①:「明日から子どもにどう接しようと思ったか」「子どもにどういう教育を受けさせたいか」
・自然の中での活動や遊びが好奇心を刺激し主体性を育むのでは?
・子どもが自分で選べるように選択肢を与えることが大切
・「自分の意思で学び、結果を観察し、そこから学ぶ」というプロセスが身につけば、子どもがどんどん主体的に学んでいくサイクルを生み出すことができる
・子どもが自主的に前向きに学べるように「何のために学ぶのか」という教育の本質的な目的を理解させる
・子どもの能力を伸ばすには、自己コントロール能力を身につける教育が必要
「子どもの意思を尊重する」「子どもに選択肢を与え自ら選ばせる」、などの意見が目立ちました。子どもたちに自分の意思で主体的に学んで欲しいという思いを持つ方が多いようですね。
テーマ②:「ここを変えたい!今の小学校」「私たちができること」
・親が子どもに同調圧力をかけていることもあるのでまずは親の意識を変える必要がある
・習熟度別の授業が必要では?
・畑仕事など自然の中で行う活動を増やしたい
竹村さんから次のようなアドバイスがありました。
「大きな変化でなくても、小さなことや今すぐできることもたくさんあります。様々な自治体が面白い取り組みをしているので、他の地域の事例を調べて自治体に働きかけるのもいいと思います」
テーマ③:「こんな小学校に通わせたい」「1日のカリキュラムを作ってみよう」
・オンラインで知識を学び対面でディスカッションをするなど、オンライン学習と対面教育を組み合わせてメリハリをつける
・グローバルな世界で生きていく力を身につけるために、語学を学ぶだけでなく文化や考え方を学ぶ授業があるといい
・外国語はあくまでツールなので英語や中国語で学問を学ぶ
・体験を通して学ぶことができる授業
・社会性を育み日本の食文化について知るために外でランチを食べる
・1日に5分だけでも英語で会話するなど、「使える英語」を身につけるアウトプットの機会を設ける
・体育の動きを科学的に学ぶ体育と科学を組み合わせた授業
小学生の参加者がいるチームからは、「おやつの時間」や「宿題は与えられた課題ではなく自主的に考えて学ぶ自主学習にする」というアイデアも出ていました。
まとめ
社会が多様化し、教育にも多様性が求められる時代です。先進的な教育やユニークなシステムを導入する学校も増えています。
しかし教育の正解を見つけるのは難しいです。試行錯誤しながらチャレンジしていくしかないこともあります。
まずは、子どもにとって大切なことは何か、子どもに学んでほしいことはどんなことかを考えてみてください。お子さんと一緒に、家族で話し合ってみるのもいいかもしれません。
★今後のTokyo Cross Pointのミッション★
①子どもたちが学校内外で、テストでいい点をとることだけでなく、実社会で役立つ能力を磨くことができる環境整備について、政策提言していきます。
②政治とは、実は課題発見→解決策の調査→意見調整→プレゼンテーション→実行というPBL(問題解決型学習)ではないかという仮説のもと、高校生から大学生向けの政治を通じたPBL事業を始めます。