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『ゴジラ(2014年版)』/世文見聞録108【5部作映画談】
「世文見聞録」シーズン2。川口世文と木暮林太郎が11月3日の『ゴジラ-1.0』公開に向けて、シンプルに『ゴジラ』というタイトルがついた映画を「5部作」として括って、1作ずつ語っていきます。
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○『ゴジラ(2014年版)』について(ネタバレ注意!)
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川口世文:“トライスター・ゴジラ”の失敗のあと、日本の製作に戻って2005年までつづき、そこで9年間の眠りについた。
木暮林太郎:おまえがいう「第3期」はハリウッド版のリベンジとしてスタートした。
川口:確かにアプローチの修正はされていて、ゴジラのフォルムもCGにもかかわらず“着ぐるみ感”を取り入れていたし、劇中の人間はともかく、作り手はもはやゴジラを“駆除可能”な存在だと考えなくなった。
木暮:ゴジラの英語表記に「GOD」が入っていることに今更ながら気づいたというわけだ(笑)
川口:ただ、初見の印象は『ゴジラ』より『ガメラ』だったんだよな──特に「平成ガメラ」ね。
木暮:ゴジラ単体の話じゃなくて、「MUTO」が先に出てくるから余計にそう感じるね。冒頭で「孵化」したらしい巨大生物がゴジラだと思い込んでいたから、あの展開にはちょっと戸惑った。
川口:異質すぎたよな、あのMUTOは。
木暮:「ジャンジラ市」と同じレベルでズッコケた。
川口:まあ、そのあたりも少しずつ修正されていくからいいとして、問題はストーリーだな?
木暮:おまえの嫌いな“バカばっかり”出てくるから?
川口:そうそう。「怪獣を前にすると人間はかくも愚かになる」ということがデーマなら仕方がないけど、もしそうなら『シン・ゴジラ』のようにゴジラだけを相手にしてほしかった。それに加えて「原発」とか「核ミサイル」の扱いもお手軽すぎるし……。
木暮:人間たちがゴジラの引き立て役──というわけだな。登場人物が誰一人満足な働きをしていない。
川口:その割にゴジラの出番が少ない。正味20分ぐらいしか出てこないんじゃないか? 芹沢“猪四郎”博士を先頭に最初からゴジラを追いかけて、その先にMUTOが登場する展開でよかったんじゃないのかな? そうすればゴジラが画面に登場しなくても登場人物も観客も、ずっとゴジラのことを考える。
木暮:なまじ“トライスター・ゴジラ”があったからこそ、いろいろ制約があったんじゃないか? 『スパイダーマン』だって“3回目”になると「誕生の経緯」をわざわざ描いたりしなくなっただろ?
川口:そういう意味では「第1.5作」ぐらいの発想ではあるな。1からリブートではなくて“途中から”。
木暮:あるいはこういう考え方もある。MUTOというのは“トライスター・ゴジラ”のメタファーで、まずはそれを否定するところからはじめた──。
川口:いやぁ、深読みもそこまでくれば大したものだ。
木暮:大量の卵を産むところなんか、そっくりだと思うんだけど。
川口:そういう考え方もありだと思う(笑)。面白いのは、これだけリブートが繰り返されると、先行する作品に対する、批判、参照、立ち位置の変化など「力関係」が発生するってことだ。やっぱり「5部作」として括る意味はありそうだ。
木暮:しかし、相変わらずハリウッド版は「超兵器」を出してこないね? 「帰巣本能」を利用する発想はあるけど、「オキシジェン・デストロイヤー」はもちろん「スーパーX」も出てこない。
川口:のちにいろいろ出てくるから、この時点ではそういうリアリティ・ラインではなかったってことなんだろう。「電磁パルス」に対抗できる兵器ぐらい登場させてもよかった気はするけどね。
木暮:とにもかくにも“モンスターバース化”に成功したことは歓迎したい。
川口:日米で並行して製作される時代になるとはねぇ。
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