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Kindle電子書籍『7つの異界』の読み方

【7つの異界とは?】

〈演劇集団テアトロー〉主宰・木暮林太郎が、新作台本を書く前に、
物理的・予算的に舞台ではできないことへのフラストレーションを
吐き出すために、毎回必ず執筆していた奇抜な短編小説群──

それらのなかから7編を厳選し、『7つの異界』としてまとめました。
巻末には「感想戦」と題して、「舞台版」はどうなったのかなど、
木暮林太郎自身が作品にまつわる諸々を語ります。

電子書籍の特性の一つは、短編1作が独立して存在しうることです。
短編集にまとめると、どうしても読む順番が決まってしまうので、
今回は7編を並列させ、全作品を同時に発売します。

読む順番は関係ありません。気になった順番で読んで大丈夫です。
全部読む必要もありません。気になった作品にだけ触れてください。

とはいえ、なかなか選びにくい方のために、ここではその「ヒント」を著者の二人が語ります。

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○『7つの異界』の読み方論

木暮林太郎:「電子書籍の特性の一つは、短編1作が独立して存在しうること」だっていうから、特に読む順番を指定しないって案に賛成したけど、さすがに年代も巻数もわからないんじゃ、最初の一冊を選びにくくないか?

川口世文:まあ、それも含めて「実験」だからね。

木暮:だからって、あんまり不親切なのもなぁ……説明しないカッコよさっていうのは、おれは信用しない。

川口:そういわれるんじゃないかと思って、こんなものを作っておいた。

木暮:『7つの異界』各話相関図?……何だよ、こんなのあったのか?

川口:この区分けに従って、「○○篇」ごとに分けて発売することも考えたけど、結局初志貫徹することにした。

木暮:でも、分類自体は変わっていないわけだろ?

川口:そういうことになるね。

木暮:「予兆篇」「変容篇」「異法篇」か……悪くないね。

川口:意外ときれいに分類できたでしょ?

木暮:ということは、まず1冊読んで、ほかにも読みたくなったら、同じ「○○篇」を読んでもいいし、違うのを試してもいいってことだな……確かにわかりやすい。

川口:そこをグッと我慢して、あえてわかりにくい出し方をしてみた。

木暮:その考え方はまったく理解できない。でも、こうして「裏」で説明しているんだから、結局、同じか。

川口:読んでもらいたい気持ちはあるからね。

木暮:これを見て気になったんだけど、真ん中にある『デスカフェ』だけを読めばいいってことにならないか? ここから読むのが手っ取り早そうだ。

川口:3つの「○○篇」が交差する場所に位置づけてあるから?

木暮:そうそう。でも、あの話は別に、すべての要素を兼ね備えているわけじゃなよな?

川口:そういう誤解が起きそうだから、この図を前面に出すことはやめた。

木暮:なるほど、あくまで便宜《べんぎ》上の分類か。ちなみに上下左右の配置は何か意味があるの?

川口:左右は特にないけど、上下には多少意味がある。

木暮:ほぉ──どんな?

川口:中央の3作品は「地上」の話。

木暮:「地上」の話?

川口:「地続き」の話といってもいいかな。現実社会の法律が変化したらどうなるか、とか。『デスカフェ』の塔は、まさに「地上」にどーんと聳《そび》えているわけだし。

木暮:じゃあ、下の2つは「地下」の話か?

川口:「地下」というより「海中」かな。どちらもが関わっているし。

木暮:だったら上の2つは「空中」?

川口:そういうこと。

木暮:自衛隊みたいな区分だな。それにかなり強引だ。『つばさの翼』は羽が出てくるからまだいいとして、『涙代』はむしろ「地上」だ。

川口:でも、が出てくる──。

木暮:つまり、ちゃんと整理するとこういうことだろ?──「空に関わる話」「地上の話」「海に関わる話」

川口:──正解!

木暮:何が「正解」だよ……こんな分類でも少しは選ぶ役に立つのかな? そもそもがこんな風に一括りにする作品群じゃないしな。

川口:で、自分で選ぶとしたら、まずどの話から読む?

木暮:うーん、悩むなぁ。

川口:そこははっきり道を示してくれないと。

木暮:ここでおれが一冊選んじゃったら、“本末転倒”じゃないか!

○全7作品ラインナップ(50音順)

○番外編

『法律事務所×家事手伝い』シリーズの世界観との「接点」となる特別編。


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