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『ゴジラ(1954年版)』/世文見聞録104【5部作映画談】

「世文見聞録」シーズン2。川口世文と木暮林太郎が11月3日の『ゴジラ-1.0』公開に向けて、シンプルに『ゴジラ』というタイトルがついた映画を「5部作」として括って、1作ずつ語っていきます。


○なぜ『ゴジラ』が「5部作映画」なのか?

木暮林太郎:どう考えても『ゴジラ』を「5部作映画」として語るのは無理があると思う。

川口世文:おまえがいいたいことはよくわかる。

木暮:そもそも「ゴジラ映画」って何本あるんだ?

川口:ハリウッド版やアニメ映画を加えたら40本近くになるか……だから、いいたいことはわかるってば。だけど、そのなかにはシンプルに『ゴジラ』というタイトルの映画が4本もある。そして、どれも「リブート映画」で、つまりは「第1作」なんだ。その4本に『シン・ゴジラ』を加えた5作品を「5部作」として一括りにまとめてみたいというわけ。

木暮:まあ、そうしたいなら勝手にやってくれていいんだけど、11月3日に公開の『ゴジラ-1.0』はどうなるんだ? あれもいわば「リブート映画」だろ?

川口:リブートかもしれないし、初の「プリクエル」かもしれない。今のところはそれはまだわからない。

木暮:確かに前日譚プリクエルという可能性もあるわけか……いや、そんなことあるのかな?(笑)

川口:仮にそうじゃなくても1954年の「第1作」を別格扱いにして、残りを「リブート5部作映画」で括る手もあるし、1998年のいわゆる“トライスター・ゴジラ”を無視しちゃう手もある。

木暮:ハハハ、あの作品の「ゴジラ」はのちに「ジラ」とか呼ばれていたからな。

川口:いずれにしても話の締めくくりは『ゴジラ-1.0』になる。その時点で真の「5部作」が判明するわけだ。

木暮:どうでもいいけど、来年の「70周年」でさらにもう1本『ゴジラ』が製作されたらどうする?

川口:『ゴジラ±0』とか? そのときはそのときだ。とにかくおれは今『ゴジラ』を振り返りたいんだよ!

木暮:最初から素直にそういえよ(笑)

○『ゴジラ(1954年版)』について(ネタバレ注意!)

木暮林太郎:当然、リアルタイムでは観ていないよな?

川口世文:ゴジラはおれより一回り年上だからね。彼も午年うまどしのはずだ。

木暮:初登場したのがその年で、別に1954年生まれじゃないだろ? それに「彼」と呼ぶのが正解なのか?

川口:細かい話はいいじゃないか?……最初に観たのは池袋の旧「文芸坐」で『ゴジラの逆襲』との二本立てだったと思う。2014年に「60周年記念デジタルリマスター版」が公開されたときにTOHOシネマズシャンテで“ほぼ現地鑑賞”したこともある。

木暮:なるほど、日比谷は銀座に近いからな。

川口:2014年は“レジェンダリー・ゴジラ”として久しぶりに復活した年でもあった。そのときに気づいたんだけど、1954年→1984年→2014年という風に、ゴジラは正確に30年ごとに「復活」を果たしているんだよ。

木暮:いや、それは“人間側の事情”じゃないのか? 30周年、60周年という区切りで、そろそろまた作ろうぜって話になるんだと思うよ。30年といえば観客の世代も変わって、新しいお客さんが呼べるわけだから。

川口:確かにそれはそうなんだけど、彼の“活動期間”は毎回21年間なんだぞ──それについてはどう思う?

木暮:どう思うって……どういうこと?

川口:つまり、1954年に誕生した「第1期」のゴジラは1975年の『メカゴジラの逆襲』まで21年間活動したあと、9年間の眠りについた。そして1984年版から「第2期」の活動をはじめ、2005年の正月映画『FINAL WARS』を最後にまた9年間眠る。

木暮:で、2014年に今度はハリウッドで復活か……仮に今が「第3期」だとして、それが2035年に終わったとしたら、何かしら周期性があるといえるかも。

川口:そうだろ?……つまり、ゴジラっていうのはさ、本当に生物として生きているんだよ。

木暮:そういう結論は短絡的だと思うなぁ。まあ、2035年を楽しみにしておこう(笑)

川口:長生きしなきゃ。ゴジラと張り合うのは大変だ。

木暮:それはそうと、この映画の人物配置は一種の「怪獣映画フォーマット」といっていいんじゃないか?

川口:登場人物たちの役割分担ってこと?

木暮:そうそう。まず学究的にゴジラと向き合う古生物学者の山根博士。演じている志村たかしは同じ年に『七人の侍』にも出ているんだよな。その娘の恵美子は、オキシジェン・デストロイヤーを生み出した元婚約者・芹沢博士(頭脳派)と、サルベージ屋の現恋人・尾形(肉体派)との間で微妙な“三角関係”を作っている。

川口:
クライマックスの「ゴジラVS芹沢博士」に向けて、世捨て人みたいな彼を覚悟を決めさせるために必要なシナリオ的仕掛けだったからね──ここがうまい。

木暮:演じている河内桃子、平田明彦、宝田明たちが、その後どんな風に“再登場”してくるかも面白い。

川口:オキシジェン・デストロイヤーで倒されたゴジラの「骨」がその後どうなったかも面白いんだよな。

木暮:『ゴジラ』シリーズには「第1作」もいっぱいあるけど、実は「第2作」もいっぱいある(笑)

川口:そこまで語っているときりがない。

木暮:公開当時、まだ日本には原発がなかったんだな。もし本当に1954年にゴジラが東京を襲って、オキシジェン・デストロイヤーが存在しなかったら、日本政府はアメリカに「核」を使うことを要請したんだろうか?

川口:そういう課題が1984年版のテーマとして引き継がれ、ひょっとすると『ゴジラ-1.0』でも語られることになるのかもしれない。

木暮:本当にそういう期待を持ってもいいんだろうか?


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