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今年の司法試験(予備試験)を受験するあなたへ

1 司法試験及び司法試験予備試験の実施延期


 こんにちは。弁護士の熊澤美帆です。弁護士を含む法曹三者になるための試験である司法試験、司法試験予備試験の短答式試験は毎年5月に行われています。
 今年も、5月の試験に向けて皆さんラストスパートをかけていたと思います。本当だったら今年の試験は終わっていたはずでした。
 試験まであと1か月という令和2年4月8日、司法試験、司法試験予備試験の実施延期が発表されました。過去にない状況に、皆さん困惑したと思います。

◉法務省 令和2年司法試験及び司法試験予備試験の実施延期について(令和2年4月8日)

2 延期後の実施日程


 令和2年5月15日、延期後の実施日程が発表されました。
 司法試験は、令和2年8月12日、13日、15日、16日に実施されます。
 ◉法務省 令和2年司法試験の実施日程について

 司法試験予備試験は、短答式試験が令和2年8月16日に実施されます。論文式試験は追って公表(令和2年10月頃を予定)、口述試験も負って公表(令和3年1月又は2月頃を予定)とされています。
 ◉法務省 令和2年司法試験予備試験の実施日程等について

 それぞれ延期後の会場はまだ公表されていません。

3 試験までの勉強スケジュールをどうしたらいい?


 「思ったより実施日程が早かった(遅かった)」、「ひとまず日程が決まってよかった」など皆さんいろんな感想を持ったと思います。
 もともと、5月に試験があることを前提にスケジュールを立てていたと思いますので、ピークを8月(予備試験の場合は論文試験の日程である10月も。)に持っていけるようにスケジュールを立て直さなければいけません。

 時間ができたからといって、今まで全くやっていない参考書を買ったり、教科書を買うことは避けた方がいいと思っています。「延期になった」といっても、もう3か月前です。延期前の日程でいえば、2月と同じ感覚です。2月から新しい参考書はやりませんよね。

 司法試験も司法試験予備試験も「基本」が分かっていることが何より大切です。基本とは、基本的な法律知識+問題文を読んで事案をつかみ必要な事実をピックアップする力+事案解決のための思考力(知識と事実をつなげる力)です。

 この基本が身についているかどうかを再確認してほしいと思います。この数か月、自分がどんな勉強をしてきたか振り返ってみてください。きっとこの「基本」のうち自分が意識してこなかったり、苦手だったりする部分があると思います。
 勉強する際には、むやみやたらにテキストを読んだり、むやみやたらに問題集を解いても力はつきません。「今、自分が何を得ようとしているか」という目的を意識することが大切です。
 新しい参考書などに取り組むのではなく、自分が今まで使ってきた参考書などを使って、「基本」のうちどの力をつけたいのかを意識しながら、取り組むといいと思います。

4 日程が変更になって気を付けるべきこと


 「延期」という状況を受けて、いくつか皆さんにお伝えしたいことがあります。

① 試験が8月という暑い時期であること
 特に司法試験は長丁場です。体力をつけること、健康管理、当日の昼食で何を食べるか、水分補給や服装などの暑さ対策(逆に冷房で寒いかもしれない)も大事です。試験当日は、普段の自分ほど元気ではありません。ちょっとしたことで不安になるし、ちょっとしたことがストレスになります。それをふまえて、準備をしてほしいと思います。

② 会場が決まったら・・・
 会場が公表されたら、家からどれくらいかかるのか、交通機関などを調べるようにしましょう。電車遅延などのトラブルは、試験前の不安定な精神状況には堪えます。ホテルを予約することも一つの選択肢にしてみてください。

③ 司法修習や来年の司法試験はどうなるのだろう
 司法試験に合格したら司法修習が待っています。予備試験に合格したら司法試験が待っています。今年の司法試験、司法試験予備試験の延期により、これらの次のステップもどうなるのかわからなくなってしまいました。先のことがわからないのは不安だと思います。でも、今考えても答えは出ませんので、とにかく今は目の前の試験のことに集中してほしいと思います。
 今年の司法試験予備試験に合格した場合には、来年の司法試験までの期間が例年よりも短い可能性があります(特に、来年の司法試験の実施が延期されない場合)。その場合には、選択科目(労働法、倒産法など)に取り組む時間が短くなります。とはいっても、本格的に選択科目の勉強をするのは、少なくとも10月の論文試験後でよいと思います。不安な方は「どの科目にするか」「どういうテキストがあるか」ということは早めに調べておいておいいかもしれません。

5 さいごに


 不安な気持ちはみんな同じです。あなた一人ではありません。一人で抱え込まずに、一緒に勉強している仲間と連絡を取ったり、学校や受験指導校で相談したりしてくださいね。

 この状況を乗り越えて、合格をつかみ取りましょう。

(本稿は2020年5月19日時点の情報に基づく記事です。)

                     文責 弁護士 熊澤 美帆